383.術指南(肆)の取り扱い③
「これで開きません。」
「じゃあ、今日このはが譲り受けた3冊はここに入れておこう。」
そう言って桜華様は本を机の引き出しに入れ、鍵をかけた。
「はい。これ合鍵だから預かってて。」
「わかりました。」
そう言って私は鍵を預かった。
「ふふ。なんか2人だけの秘密って嬉しいな。」
と耳元で桜華様が言った。
「でも秘密の内容が楽しくないです。」
「だな。」
それから私と桜華様は皇居の客間に向かった。
「遅くなってしまい申し訳ありませんでした。」
と桜華様が頭を下げると、
「構わんよ。公務が早く片付いたので、太政大臣殿と飲んでいたんだよ。さ、そんな所に立っていないで座りなさい。」
と皇帝陛下が仰った。私達が席に着くと
「今日は百合子が世話になったね。私達は百合子から沢山の土産話を聞かせてもらったよ。で、南武政右衛門について何かわかったかい?」
と西園寺さんのお父様に尋ねられた。
「まだ、今日手に入れた本は読んでいないんです。ですから、陛下にいただいた『術師覚書』の話をさせていただいたらと思ってます。」
と答えたら、友見さんが
「そうなんだ、てっきりこのはさんが本に夢中になってこちらにくる事を忘れてるかと思ったよ。あ、もしかして宿題終わってなかったとか?」
と言うと、西園寺先生が
「だったらこれから僕と部屋に戻って終わらせる?」
と言ってくれた。私は
「いえ。大丈夫です。おかげさまで無事に終わらせましたから。又明日、よろしくお願いします。」
と伝えた。
「そっか。よかった。今日、学校の図書館で南武政右衛門の本を借りてきたんだ。読んでみたんだけど、魔導師の術に関する記述は載っていなかったんだ。その代わりに世界各地の民話や自然、宗教が載ってるんだ。」
そう言って西園寺先生は私に本を渡すと、
「このはさんのお役に立てる本じゃなくてごめんね。」
と言って苦笑いをした。私は受け取った本を隣にいる桜華様と見ていると、百合ちゃんが
「ちょっと、桜華様、私もチャリコさんと本が読みたいです!制服姿の凛々しいチャリコさんと一緒にいたいです。」
と言うと、
「百合子さんは私のことを忘れてこのはさんとたくさん遊んできたんでしょ。これからは僕と話をする時間にしてくれると嬉しいんだけど。」
と皇太子殿下が百合ちゃんを見てニコリと笑った。
「はあ。仕方ありませんわね。」
そう言って百合ちゃんは渋々皇太子殿下の話し相手を始めた。




