382.術指南(肆)の取り扱い②
「このははさ。中東王国の箱の呪いを解いただろ?逆にこの本を開かなくできないか?」
「できますよ。」
「とりあえず用心に越した事ないからさ。」
「ですね。・・あの、桜華様、ちらっとしか読んでませんが、この本に書いてある事は基本的には魔導師の力があってできる事ばかりのようです。だから私が悪用したら大変なことになるんです。」
「そんなこと、このはがする訳・・。」
「そう言ってもらえるのはうれしいんですけど、用心のため、この本は2人の同意がなければ見られないように封印をしておこうと思うんです。」
「・・で、どうすればいい?」
「唾液をいただけれ・・・うっ。」
その瞬間桜華様は私に深く口づけを始めた。
「お、うか・・ちがっ・・。」
その時、ノックの音がした。
「お、お・・か。」
私は桜華様から距離を取ろうと胸を押しているがびくとも動かない。桜華様は口づけに夢中なのか、その後もノックの音が聞こえても桜華様は口づけをやめようとしない。すると
「あ、失礼しました。」
菊さんの声とバタンと扉が閉まる音が聞こえた。桜華様は唇をゆっくり離して私を抱きしめると、
「邪魔が入ったな。」
と嬉しそうに言った。
「はぁ、はぁ。あ、あの・・はぁ。話をさ、最後まで聞いてください。」
「え?」
「・・く、口づけは必要ないんです。」
「あ、そうだったんだ。うん。わかった。」
と言って私の背中をトントンと優しく叩き始めた。
「照れてるこのは、かわいい。」
「恥ずかしいです。菊さんにも見られてしまいました。」
「このは、こっち向いて。照れてる顔見せて。」
「嫌です。」
「そっか。じゃあ落ち着くまでこうしてよう。」
「・・・はい。・・・って食事会。今何時?」
「6時2分。」
私はガバッと顔を上げて桜華様に
「食事会始まってます!」
と伝えると、
「いいって。菊がうまく伝えてくれている。それより落ちついたなら本に術をかけよう。」
「はい。桜華様の唾液を少し私の掌に下さい。」
そうお願いすると桜華様は私の掌を口元に持っていきゆっくりと舐めた。その瞬間、私の脳みそが沸騰しそうになった。今から術をかけるんだから色気とか必要ないのに・・・。私は集中するために深呼吸をして、腕の瘡蓋を剥がし桜華様の唾液に血を混ぜて『術指南(肆)』に封印をかけた。




