381.術指南(肆)の取り扱い①
「これって・・・。」
「この本ヤバくないか?」
私達が読んだ『術指南(肆)』には、魔物を人の手で作り出す作り方法や魔物を強化する方法、そして人間を魔物にする方法が書かれていた。
私は桜華様と、風花様が父に連れられて冨久岡に来た時に(137〜140作られた魔物をぜひお読み下さい。)作られた魔物と、自分自身も魔物になった男が高尚院に攻めて来た時の事を思い出した。その男は科学の力で魔物を作り、その力で、自身も魔物となったと話していた。・・・男が使っていたであろう研究施設も後に見つかったが、男もその関係者達ももうこの世にはいないし、皇帝陛下に強い恨みを持ってたその男は皇后様の死に関与しているかもしれない。この男に関する疑惑(陰陽教との繋がりや魔物を呼び出すチラシをばら撒く、協力者の存在など)は、他にもあったが、全て解決していないのだ。
・・・あの男のようにここに書いてある内容を誰かに悪用されたら大惨事になってしまう。食事会の部屋は皇帝陛下や皇太子殿下、百合ちゃん御一家だけでなく護衛もメイド達もいる。みんなを疑う訳ではないがこの内容は私と桜華様の秘密にしておく方がいい。まあ、出版物なので探せばどっかから出てくるかもしれないが・・。用心に越した事はない。
私は、
「桜華様、この本の事は今は私と桜華様だけの秘密にしてください。」
「うん。わかってる。」
「この本の事を聞かれたらまだ読んでないって答えますから。あ、でも南武政右衛門の話をするのに今日頂いた本を持っていかないのは不自然かしら?」
「とりあえず、ここにあった『術師覚書』だけを持って行ったらいいんじゃないか。持ち主が読んでない本を見せてくれとはいわないよ。」
「そうね。そうします。・・・はぁ。」
「何ため息ついてんの?」
「こんな本が出版されてるなんて。この本が誰かの目に触れていると思うと不安になるわ。もちろん、魔物を作ったり、人を魔物に変えたりは簡単な事じゃない。準備もそれができる術師も必要よ。でも術じゃなく他の方法が応用できれば・・例えば科学とか。まあ、ちらっと見ただけだしなんとも言えないんだけど。」
「なぁ、俺、この本見てよかったのか?俺、一応皇子で権力者だぜ。」
「うん。でも桜華様はこの本を読んでもここに書いてある事を悪用する事は絶対ないって。わかってるから。」




