380.食事会まで
「お待たせしました。」
(仕事用の制服に)着替えを済ませた私は今日いただいた3冊の本(『術指南(壱)(肆)(伍)』)と『術師覚書』を持って桜華様の部屋に入った。桜華様は外出時に着ていた庶民的な服装から、スーツに着替えていた。桜華様は嬉しそうに
「うん。待った。さ、ここに座って。」
と言って手招きをしたので、私は桜華様の隣に座った。
「あ、付け襟まだ付けてるんだ。」
「はい。しっかり跡が残ってますから。」
「そっか。ねぇ、また消えたら付けていい?」
と言って私の腰に腕を回した。
「ダダダダメに決まってます!離れてください。」
私が離れようとしても桜華様は離してくれず、桜華様は耳元で
「じゃあ、見えない所だったら?」
と全身から色気を放出しながら囁いた。その瞬間私の脳みそは沸騰し、身体中から力が抜けた。
「え?」
その時桜華様はゆっくり私を抱き寄せた。その瞬間、私は我に返り
「いい加減にして下さい。離して下さい!」
と抵抗すると、
「このは、少しだけこのままでいさせて。俺、食事会で西園寺の兄さんに嫉妬してこのはを困らせたくないんだ。なぁ、このはにこんなことするの、俺だけだよな?他の男にこんなことさせてないよな・・?」
「されてませんよ!っていうかこんなこと誰もしませんよ。」
私がそう言うと
「よかった。」
とにっこり微笑んでそのまま私を抱きしめた。
「ちょっと!もー。離してって言っても離してくれないんですよね。」
「うん。」
「はぁ。」
私はため息をつくと
「今日頂いた本、一緒に読みませんか?」
「離れたくない。」
「私は店主の方が店頭に出さずに大事に持っていらっしゃった『術指南(肆)』を桜華様と一番最初に見たいんです。桜華様と一番最初見たいなー。見たいなー。」
私がそう言うと、桜華様は
「はあ、仕方ないな。」
と言って『術指南(肆)』を取りページを開いた。
「これって、魔物の作り方?」
「・・・ですね。昨夜はこれのおかげで大変でした。この内容を誰かが悪意を持って広めているんでしょうね。」
私達の周りから甘い空気は一気に消え去り、更にページをめくっていくと、私たちの背筋が凍るような内容が書いてあった。




