379.帰りの車内で
「今日はとてもいい一日でしたわ。」
「なぁ、西園寺さんは早めに戻って、兄様とお茶をするんじゃなかったのか?」
「あっそうでした。」
「俺もすっかり忘れてた。」
私と友見さんは口を揃えて言った。
(・・もちろん、忘れていたのは皇太子殿下と百合ちゃんのお茶のことだけで、私は桜華様と、百合ちゃんの安全については常に気を張ってましたよ。)
すると百合ちゃんが
「とっても楽しかったんですもの。忘れるのも当然ですわ。お二人とも気にしないでください。それにチャリコさんにこんな素敵な贈り物もいただいて。嬉しすぎて眠れませんわ。又、おでかけしましょうね。」
と言って百合ちゃんは私の左腕に身体ごと抱きついて言った。
「そうですね。今度は女子会しましょ。私の幼馴染にも百合ちゃんを紹介したいわ。」
「それは嬉しいです。ぜひチャリコさんの幼馴染ともお友達になりたいですわ。」
「痛っ。」
私の右脇腹桜華様が突っついた。
「ちょっと痛いです。どうしたんですか?」
「女子会って。俺は?俺、一緒に行けないじゃん。」
「確かにそうですね。桜華様も西田くんと松本くんとお出かけしたらいいじゃないですか。アンコンブルで仲良く本を見てたでしょ。」
「確かに楽しかったけど、このはが来ないと出かけられない。」
「じゃあ父さんがいる時に出かけたらどうですか?たまには男同士もいいかもしれませんよ。」
「それも楽しいけど。このはと一緒にいたい。」
と言って私の右腕に抱きついた。すると前の席に座っている友見さんが、
「このはさんモテモテだね。」
と言って振り返って笑った。
皇居の玄関では皇太子殿下が待っていた。私と友見さんは百合ちゃんの到着が遅くなってしまったことを謝ると、百合ちゃんも
「申し訳ありません。今日のお出かけがあまりに楽し過ぎて時間を忘れてしまいました。お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。」
と深々と頭を下げ、皇太子殿下について行った。
私達は2人を見送ると、友見さんが
「このはさん、君の部屋にこれから行っていい?今日君が店主にもらった本を見せて欲しいんだ。」
「はい。構いま・・・。」
「ダメだ。食事会までの時間、40分、このはは俺と過ごす予定ですから。食事会の時にお見せします。では失礼します。」
そう言って桜華様は私を引っ張って部屋に向かった。




