378.アンコンブルで②
「もう4時半か・・・。そろそろ帰る時間だね。このはさんはあの本買う?」
と友見さんに尋ねられ、
「この機会を逃すと2度とお目にかかれない気がするので2冊とも買うことにしました。先日、臨時収入もありましたしね。」
と答えると、
「じゃあ、購入する商品がある人は会計しようか。」
と友見さんが皆んなに声をかけた。百合ちゃんは北欧柄の編み物の本、上岡さんは西洋の伝説が書いてある本を持って来た。(桜華様、西田くん、松本くんは「後5分待って。」と言ってまだ本を選んでいる。)
私達が会計をしに店主の元へ向かうと、立派な髭を蓄えた高齢の店主が、新聞を折り畳みながら、私の顔をじっと見た後、私が手に持っている(『術指南』)2冊の本を見て、
「ちょっと待ってなさい。」
と言って席を外し、2、3分で戻って来ると、店主は私に『術指南(肆)』を持たせた。そして私の目をじっと見つめ、
「お嬢さん、この3冊はさしあげます。」
と言った。私は
「タダでいただくわけにはいきませんよ。ただ、少しお安くしていただけたら嬉しいですけど。」
と言うと、店主は
「わしは魔術が使えんが、魔力を感じることはできてな。・・お嬢さんは、わしが子供の頃、魔物に襲われ時に助けてくれた命の恩人に魔力と顔が瓜二つなんだ。」
と静かに言った。その時、私の頭にひいばあばの顔が浮かび思わず
「あ。」
と声を漏らしてしまった。すると、店主は
「この(肆)は相応しい持ち主が現れなければ処分しようと思っていたんだ。お嬢さんならこの3冊をきっと人々のために役立ててくれるとわしは確信しておる。だから受け取ってほしい。」
と言ってくれた。私は友見さんや、百合ちゃん、上岡さんもから「ここまでおっしゃってくださってるのだから受け取らないと失礼だ」と助言をされ、
「ありがとうございます。大切にします。」
と店主にお礼を言い貴重な本を頂いた。
しかし、私は、何も買わずに店を出るのは申し訳ないと思い、この店に売っていた幸せを運んでくれる瑞典のダーラナホースというお守りを8個買い店を出た。
「かわいい。芦屋さん、ありがとう。大事にするわ。」
「ありがとうございます!私、この子の名前はチャリちゃんに決めましたわ。大事にします。」
「俺ももらっていいの?ありがとう。嬉しいよ。」
「はい。今日は買い物に協力してくれてありがとうございました。」
と百合ちゃん、上岡さん、友見さんに感謝を伝えていると、桜華様達も店から出て来た。私は3人にもダーラナホースを配り、買い物に付き合ってくれたお礼を言うととても喜んでくれた。
それから私達は仁母町駅に戻り、解散をした。




