375.本探し①
「蚊に刺されただけならいいけど、どんだけ掻きむしったのよ。限度があるでしょ。」
と上岡さんに言われ、
「夜中何箇所も刺されてそれで痒くなっちゃって。」
と答えた。
「チャリコさんに吸い付くなんて憎ったらしい蚊ですわね!」
と言う百合ちゃんに桜華様は、
「このはが美味しそうに見えたんだよ。確かにうま・・痛っ。」
と余計なことを言いそうになったので私は又桜華の足を蹴っておいた。友見さんは私達のやりとりを見て、クスッと笑い百合ちゃんに
「その憎たらしい蚊は案外近くにいるかもね。」
と言って笑っていた。
食事を食べ終えた私達は古書店が多く立ち並ぶ通りに移動した。今いる通りに10数軒、その向こう側の通りに7、8軒の店があるそうだ。私と桜華様とゆりちゃんと松本くんのグループと、友見さん、西田くん、上岡さんのグループと2グループに分かれて探すことにした。
私は店主に、
「南武政右衛門の本は取り扱っていますか?それと魔術や呪術、まじないといった本も探してるんです。」
と尋ねると、
「南武政右衛門?店内の棚には無いね。あるとしたら店先のゴザに積んでいる中にあるかもな。まじないとか、呪いとか怪談の本は壁際の本棚にあるよ。」
と答えた。
私達はまず店内の本棚を探したが思うような本はなく、店先に移動した。店先のゴザには本が積み上げられており、今にも倒れそうだ。私達はその本の山を確認した。
しばらく探していたら
「これは作者名はありませんが、術の本ではありませんか?」
と百合ちゃんが一冊の本を渡してくれた。
「『秘技四十八手』初めて聞きますね。」
そう言って本を開こうとすると
「ちょっと、これは違うと思うぜ!」
と松本くんが私から本を取り上げ、桜華様が
「ああ。これは俺たちが確認するから他を探してて。」
と言って2人でその本を読み出した。
「桜華様が確認してわかるんですか?」
と尋ねると、
「これはこのはが探していない本だという事はわかった。」
と答え、松本くんも
「俺たちが確認しておくからの他の本も探してて。」
と言って、その本を私達には見せてはくれなかった。
10分ほどでゴザの上の本を全て確認し終えたが、結局南武政右衛門の本も術に関する本も見つからなかった。私達が次の本屋に行こうとすると桜華様と松本くんは本を買ってくると言って店に入っていった。




