371.跡が消えない
「お疲れ様でした。」
「このはさんこそお疲れ様。昨日から忙しかったんだからゆっくり休んでね。」
「ありがとうございました。」
「ただいま帰りました。」
「おかえりなさい。このはさん。今、桜華様は道場で練習中です。」
「そうですか。では、勤務終了時間まで自室で過ごしますね。何かあったら呼んでください。それと。申し訳ないのですが、洗濯石鹸とアイロンをお借りできますか?桜華様にスカーフをお借りしたんですが結界を張って回ってたら汗かいちゃって。」
「承知しました。すぐに持ってきます。」
スカーフにアイロンをかけ終えたタイミングで菊さんが戻ってきた。
「ちょうどアイロンをかけ終えたところです。」
「そうですか。あとで片付けておきます。このは様、はい。これ着替えです。」
「ありがとうございます。」
私が着替えをうけとると、菊さんが、
「首、吸い跡しっかり残りましたね。すみません。お役に立たなくて。」
「いえいえ。こちらこそありがとうございました。・・でも、どうしよう。着物を着ていく予定にしてたのに。着物だとしっかり目立つな。」
「ですね。」
「あ、首元全体を掻きむしれば目立たなくなり・・。」
「おやめください。」
「まぁ、いっか。手ぬぐいでも巻いていきます。」
「本当、桜華様はもう少し配慮してくださったらいいのに。」
「今日はいいとして、セーラー服だとますます目立ちますよね。はぁ。やっぱ掻きむしって・・」
「いけません。」
「あ。ガーゼで隠します。怪我したって言えばいい話だし。よしよし解決!」
「それはそれでどうかと思うんですけど。あ、お風呂にお湯貯めておきますね。時間がたった吸い跡は血行が良くなれば治りも早くなるって聞いたことがありますから。」
「菊さん。ありがとうございます。」
「ダメだ。」
風呂上がりに血行が良くなったはずなのに、首元の吸い跡に変化は無かった。
「はぁ。仕方ない。」
私はガーゼで吸い跡を隠しテープで固定した。
・・なんか痛々しい。でも、私はよく怪我をするし、そう考えると違和感はない。今日は学校も、休みだし、中華そばをたらふく食べるために朝は食べずに寝よう。仕事の後の休息大事!
私は作務衣に着替えて、ベッドに、横になった。




