364.リヤカーいっぱいの理由
「あの・・・。警備員の方はいつもより多く皇居内に配備されていたんですよね。それなのに、なぜこれだけ動物の死骸が落ちていたんでしょうか?」
すると警備員達はお互いに顔を見合わせ、誰が説明をするかその役割をなすりつけあっている。すると島津さんが、
「まだ学生の女性に話すことではないのですが・・・。気分を害されたら申し訳ありません。」
と言うので、私は
「警備のために必要なことですから、大丈夫です。」
と答えた。
「今日は皇太子殿下の婚約者候補を選定する夜会でしたが、夜会には候補者のご家族も来てましたよね。・・で、まあ、なんと言いますか、この様な夜会の場は男女の出会いの場でもありまして・・・。夜会を抜け出して暗がりで・・・というまあ、伝統といいますか、なんと言いますか。」
「なるほど、分かりました。夜会は貴族同士の出会いの場でもあるから、男女が抜け出して庭園で愛し合っている事が多々あり、それを辞めさせようにも貴族同士の出会いの場を奪うわけにもいかないと・・。」
「はい。その通りです。」
と島津さんは答えた。私は
「確かに・・その慣習を利用して悪さをする奴を見つけるのは難しいですね。・・・なるほど、今日私がテラスで警護をしていた意味もわかった気がします。でも魔物に襲われるリスクを冒してまでやりたいですかね?やってる最中に魔物が現れたりしないんでしょうか?」
「やりたいって・・・。まあ、最中に魔物が現れることもある様ですが・・・。その時は警備員が助けに入るわけですが・・。まあそこは置いといて。それでさらに厄介なのが、夜会が終わってからも盛り上がって残っていらっしゃる方もいらっしゃって・・・。なので毎回会が終わった2時間後くらいから見回りをしていたんです。」
「なんだ。私がお願いしなくても見廻はされていたんですね。よく分かりました。島津さん、言いにくいことを教えてくださってありがとうございました。みなさんも気を使っていただきありがとうございました。」
それから警備員の方々は各々持ち場に戻り、私と島津さんはバイクで皇居に戻った。




