235.離してください
「薬は?」
私が島津さんを居間にお連れすると、座布団に座りちゃぶ台に肘をついている馬鹿皇子がいた?
「早く薬持ってこいよ。」
「自分でやります。」
「わかったから、早く処置しないと寝巻きも汚れるぜ。」
「はいはい。」
私は薬の入ったカゴを脱衣所に取りに行くと、馬鹿皇子もついて来た。
「何でついて来たんですか?」
「このはに任せておけないから。」
馬鹿皇子は薬の入った籠を手にすると、
「このはの部屋で手当てするからついて来て。」
「は?何で。」
「ここ狭いだろ。」
と言って勝手に階段を上がって行った。
「ちょっと、勝手に部屋に入んないでよ。」
私が馬鹿皇子を追いかけて居間の前を通ると島津さんが
「すみません。」
と申し訳なさそうに言った。
「いえ。慣れています。少し待っててください。終わったらお茶淹れますね。」
「いえ。お構いなく。」
私達が話していたら2階から
「このはー、まだー?」
と馬鹿皇子の呼ぶ声がした。
「はーい。今行きまーす。」
私は
「はぁ〜。」
とため息をひとつついて2階の部屋に向かった。
「お待たせしました。」
「待ちくたびれた。さっ、座って。」
そう言って馬鹿皇子は座布団をトントンと叩いた。
私が座布団の上に座ると馬鹿皇子は、
「足出して。」
と言った。私は寝巻きの裾を持って左右に開いた。すると馬鹿皇子は急に体育座りをし、その姿勢のまま、処置を始めたが、手際が悪い。
「どうしたの?」
「あ、え、いや。なんでもない。」
そう言う馬鹿皇子の顔が赤い。傷口にガーゼを当ててテープで固定するときも何度もテープを貼り直していた。・・・もしかして体調が悪い?そりゃ南条寺さんをはじめ女子達に追いかけられて、生徒会の仕事をして、魔物に襲われて。そりゃ疲れるし、具合も悪くなるよ。
「あの、具合悪いんじゃないですか?私、あとは自分でやりますよ。早く帰って休んだ方が。」
「ごめん。・・その。いつもと違って寝巻きだろ。その・・さっきこのはが着物の裾を開けた時に、その・・。緊張したと言うか・・。ごめん。」
「は?」
「なんでもない。だからじっとして。包帯を巻くから。」
「は?ちょっと、いやらしいこと考えるのやめて下さい。あとは自分でやります。」
「悪かった。ごめん俺がやるって。」
「キャ。」
その時、私は馬鹿皇子を押し倒してしまった。私は馬鹿皇子が頭を打たないように咄嗟に馬鹿皇子の頭を私の腕で庇ったので、馬鹿皇子の顔が目の前に。私が離れようとすると馬鹿皇子は、私を抱きしめてたまま起き上がり
「ごめん。」
と言って頬に口づけた。
「え?」
そして私の肩に顔を押し付けて、
「ごめん、このはは痛い思いをしてるのに、いやらしいこと考えた。」
「そう思うなら離してください。」
「離さない。」
「島津さんが待ってます。」
「待たせればいい。包帯を巻いてないし、太ももの処置も終わってない。」
「嫌・・です。・・・恥ずかしいです。一応私も女子なんで・・。」
「・・ごめん。わかった。」
そう言って馬鹿皇子はようやく私を解放してくれた。」




