表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻獣使いの運命  作者: 蒼空
幻獣と心の関わり編
33/34

幻獣と心の関わり編 久しぶりの休息2

お久しぶりです! 

だいぶ空いてしまって申し訳ございません!

 秋真っ只中。

 日中の幻獣出現が多いといっても、そこまで頻繁でもなく、相変わらず少ない。

 今は俺の部屋で魔衣達とだらけた日々を送っている。

 美依の事は、下手に詮索して危険な事になったら困るし、幻獣を追っていたら、いずれ必ず会えるということだ。


「シュン! 私は羽休めをしたい!」

「お、おう。到達だな」 


 沙希と戦闘するようになって、数日が経った。

 最近は切羽詰って、確かに魔衣にも苦労させていた。


「って言ってもな。金ない何もないの俺じゃ、そうおいそれとどこにでも行けるわけじゃ……」

「流石にここでゴロゴロは、飽きた」


 幻獣にしては割と贅沢なんだな。


「なら私が手配しましょうか?」

「そんな事できんの?」


 そう唐突に告げたのは沙希だ。

 聞けば、本部に休息地を要求すれば、手配してくれるそうだ。

 さしずめ、流石は大切に保護されている人種なだけはあるって感じかな。


「どこにしますか? テーマパーク、温泉、温水プール、南国ビーチ、雪国、あとは―――」

「待て待て待て! どんだけ候補出すんだよ!」


 というかそんな遠出に行くわけには行かない。


「シュン。温泉って何?」

「えっ、知らないのか?」

「記憶にはあるけど、行ったことはない」


 行ったことないのか。

 まあ、温泉ならそんな遠くないし、いいかな。

 俺は沙希に温泉を提案し、近場の温泉地をお願いした。





 秋の紅葉が色づき始めた時期。

 あたりを見待たせば、どこもそんな景色でいっぱいだ。


「温泉! 早く行こうシュン!」

「わかったから落ち着けって」


 久しぶりの、一泊二日のプチ旅行。

 魔衣達を連れては初めてだ。

 というか、男子俺一人なのはなんか少し気まずい……。


「てか本当に取れたんだな」


 隣にいる沙希に聞く。

 手配を要請したその次の日は、既に返事が来ていた。

 

「そうですね。だいたい私がお願いすると、すぐに準備してくれますよ」


 いいのかよ。こんな事にお金使って……。

 ま、それはさておき。今はこの状況を大いに楽しむか。

 気づけば魔衣は子供のようにはしゃいで、既に旅館の入口にまで行っていた。

 走って魔衣に追いついて、女将さんに説明を受けながら部屋まで案内をしてもらった。

 どうやら部屋は和室のようで、木と畳の匂いが落ち着く。


「シュン! 温泉いこ!」


 そう言って、旅の疲れを、沙希の入れてくれたお茶を飲みながら癒していると、魔衣が俺の手を取って誘ってくる。


「悪い。久しぶりにあんな長時間電車に揺られたせいか、酔ったかも……先に二人で入ってくるといいよ」

「そうなの? じゃあ沙希、行こう」

「わかりました。今準備しますね」


 そう言って沙希は準備をするが、待ちきれない魔衣は急かしている。


「早く!」

「わ、わかるました!」

「いや慌てないくていいからな」


 そう言いつつも魔衣に急かされて準備を終えて部屋から出て行く。

 やっと一人になれて、ゆっくりできる。

 俺はまだ早いが、布団を敷いて横になる。

 そして気づけば眠気が襲う。

 静かな部屋。何も気にすることなく、考えることもなく、久しぶりに熟睡出来そうだと思って、ゆっくりと目を閉じた。





 気づけば、日が落ちていて、魔衣達の姿が見えない。

 スマホの通知ランプが光っていて、開いて見れば『ちょっとお店みてくる!』ってきていた。

 

「俺もちょっと売店でも覗きに行くか」


 部屋を出て、喉が渇いて売店に飲み物と軽食を見に行く。

 

「ふあ~。久しぶりによく寝た」


 高らかにあくびをして歩く。

 我ながらかなり堕落している。


「きゃっ!」

「お……っと!」

 

 角を曲がったところで、人とぶつかった。


「すみま……美依っ!」


 俺よりも身長の低い彼女の髪が見えた。

 髪の色は、珍しい青色。


「ってて。いえ、こちらこそ」


 そう言って顔を上げた彼女。

 

「っ!? ……アナタは!」

「あの時の……!」


 青髪の正体は美依ではなく。

 あのフードをかぶった幻獣使いの少女だった。

 以前何度か戦闘した時に見た髪色。そしてこの声は明らかにその人物だった。


「……そんなに身構えないでください。こんなところで戦闘するわけないじゃないですか。……それともアナタは、そんな常識もない人間なんですか?」


 美依は二人を倒せなかったのか。


「……話でもしますか」


 唐突な彼女からの提案。


「だから、そんな身構えないでもらえますか? 自意識過剰ですよ?」


 んな事言われても無理がある。

 敵である彼女とふたりっきりで会話。身構えない奴がいるのかって話だ。


「ここじゃなんですし、中庭で話しませんか? この時間なら誰もいないはずです」

「わかった」


 俺は彼女に連れられて、中庭に場所を移す。

 中庭に着くと、真ん中あたりに一つあるベンチに、座る。


「アナタは、あの女のなんなの?」

「……唐突だな。家族だよ」

「兄妹?」

「血は繋がってないけどな」


 なんでこんな事聞いてくるんだよ。

 意味分かんねえ。


「恋人とかじゃない?」

「今はな」

「じゃあ前はそうだったってことね」

「あのさ。俺の私情を知ってどうすんだ?」


 まあ、利用するにしたって、特に意味のない情報ばかりだけどな。


「なあ、逆に聞くけど、二人は何なんだ? 普通じゃないよな?」


 ずっと知りたかった二人の力。

 その力を、まさかこんな形で聴くことになるとは。


「……いいわ。特別に教えてあげる。……私たちはとある実験施設で実験を受けた。幻獣を使わずに幻獣使いを生み出す。禁忌。人工幻獣ならない、人工幻獣使いの製造。既存の幻獣使いを超えて、来るべき厄災に備えて生み出すはずだった。……だけど生み出されて生き残ったのは、私と隼人だけ……それ以外はみんな殺された。こんな忌々しい力を植え付けて……」

「……その力は? なぜ幻獣を使わずに?」

「幻獣ならある、体内に。私たちはその実験で、幻獣の魂をその身体に取り込んだ。……その結果幻獣を必要としない能力を手にした。だけどその結果がこれ」


 そう言って彼女は、さっきまでかぶっていた帽子を取る。


「耳? 幻獣化なのか?」

「いいえ。近いけど違うわ。これは力の代償。大きな力にはその対価が必要。普通の幻獣使いは約束がその対価。けど私達は、身体の一部を無条件で、最初に取り込んだ幻獣に侵食される、私達はお互いに狼神を取り込んだから、半獣化した」


 だから常にローブに身を包んでたわけか。


「幻獣の力を喰らって力にできるのが、二匹目の幻獣の力、三匹目が翼。これだけ話したんだ、もういいわよね?」

「ああ。十分なくらいだ」


 むしろこっちにとっては大きな情報すぎる。


「私はもう行くわ」


 そう言って帽子を隠し、尻尾に出して、空を見上げる。


「しっかりと、普通の人間として生きたかった。……今日は、満月ね。さよなら、次に会うときは戦場で、敵よ」


 そう言って彼女は、建物へ戻っていった。


「……さて、俺も戻るか」


 魔衣達もそろそろ戻っているだろうし、俺も部屋向かった。

 結果その日一日、彼女が最後に言った言葉が気になって仕方なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ