22.誘拐発生
優弥が気持ちを落ち着かせるために飲んでいたコーヒーを飲み干すと、息を吐いて調べて分かったことを百合に伝えるためにスマートフォンを手に取る。
その時だった。
――――トゥルルルル……トゥルルルル……。
優弥のスマートフォンが着信音を響かせる。
画面に表示された名前を見ると百合からの電話だった。
仕事中は基本電話をしないという事になっていたので、不思議に思いながら電話を出る。
『ゆ……優弥さん……!どうしよう……!!』
百合が電話越しに何かがあって少しパニックになっているのが分かる。
「落ち着け、百合。何があったんだ?」
『莉愛ちゃんが……』
「あの子がどうかしたのか?」
『そ……それが……!』
百合が聞いたある話を優弥に話す。
「…………なんだと?!」
百合の言葉に優弥は電話越しに驚いた声を発した。
***
少し前の時間。
莉愛がなかなか百合の所に戻ってこないので、百合は少し心配になっていた。
腕時計を確認するが、フェスティバルは夕方五時までなので、ギリギリまで花を見ているかもしれないと思い、莉愛が戻ってくるのをじっと待つ。
この開催場に到着したのは昼の一時頃……。
しばらくしてアナウンスが流れる。
『本日はご来場ありがとうございました。間もなく閉園となりますので、お忘れ物が無い様に退場口の方からお帰り下さい。本日は『ワールド・フラワー・フェスティバル』にご来場いただき、誠にありがとうございました』
アナウンスが流れ終わり、退場口から人が次から次に出てくる。
しかし、莉愛はなかなか百合の元に戻ってこない。
やがて、退場口が園の職員の手で閉められる。
さすがにおかしいと感じた百合が退場口の方に駆けて行って、職員に中には本当に誰もいないのかを尋ねる。
しかし、職員は確認したが中にはもう誰もいないという事を話す。
その時だった。
「主任!落とし物です!」
一人の職員が袋に入ったお菓子を手に主任と呼んだ人に駆け寄ってくる。
どうやら百合が声を掛けたのは主任の人みたいだった。
「やれやれ……。どうしたものかな……」
主任がその袋を手にしながらため息を吐く。
「…………え?」
その時、百合の目にその袋に取り付けられているメッセージカードが飛び込んでくる。
「す……すいません!それ、見せてくれませんか?」
百合がビスコッティの入った袋に取り付けられているメッセージカードを見て声を発する。
「え?あなたのですか?」
主任がそう口を開くと同時に百合がその袋を奪うように手に取る。
そのメッセージカードにはこう書かれていた。
『百合さん、優弥さん。本当にありがとうございます。莉愛』
莉愛がビスコッティを買ったお店でしているサービスは、メッセージカードを添えることが出来るというサービスだった。莉愛はその時に、百合と優弥に感謝の気持ちを込めて、メッセージカードにそう言葉を描いたのだった。
「まさか……何かあったんじゃ……」
その時だった。
「いいわね~♪あんな風な優しい恋人♪」
「そうよね~♪歩き疲れて寝ちゃった彼女をお姫様抱っこしてね~♪」
二人の女性職員がきゃいきゃいと楽しそうに話す声が聞こえる。
百合はまさかと思い、二人の女性職員に声を掛ける。
「あの……その彼女ってこの子の事じゃないですか?」
百合が莉愛の髪をカットしたときに撮影した写真を二人の女性職員に見せる。
「えぇ。確かにこの子でしたよ」
一人の女性職員がそう応える。
「はい。確かにこの子で間違いありませんよ。この子を抱っこして出てきたので、私、心配になって声を掛けましたから」
隣にいるもう一人の女性職員もそう言葉を綴るので、お姫様抱っこされた子が莉愛であることは間違いなかった。
百合は愕然となりながら、震える手で急いで優弥に電話を掛けた。
***
「こ……こ……は……?」
いよいよ終盤です!!
是非最後までこちらの作品をお読み頂けると嬉しいです(^^)
よろしくお願い致しますm(_ _)m




