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霧に覆われた森は月を見つける  作者: 華ノ月


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19.見つけた○○


 智己がその写真を見て小さく声を出す。


(あのアーチ……どこかで……)


 智己が記憶を辿りながら、そのアーチをどこで見たかを思い出そうとする。


「……そうだ……確か……」


 智己がある記憶を思い出す。



 それは、莉愛が最初の頃見せてくれた両親と一緒に映っている写真の背景と全く同じアーチだった……。




***


「……じゃあ、行きましょうか!」


 百合が出掛ける準備を終えて、莉愛に声を掛ける。


 昨日の夜、優弥から連絡があり、警察署に泊まることと、今日のイベントを楽しんでくれということを伝えられて、百合は優弥にお礼を言って電話を切った。


 そして、昨日の夜は明日のイベントに持っていくものを莉愛と一緒にリュックに詰めて、明日のイベントを二人で楽しみにしながら夜を過ごしていた。


 そして、朝が来て莉愛と百合は準備を終えると車に乗り込み、莉愛が言っていたイベント『ワールド・フラワー・フェスティバル』の開催場となっている緑地広場に車で向かって行った。




***


「………よし」


 智己は着替えを済ませ、ポケットに忍ばせている薬品を確認すると、車に乗り込む。


「……絶対にそこにいる……」


 智己が車のエンジンを掛けながら、小さな声で呟く。


「お兄ちゃんがすぐに迎えに行くからね……。ほのか……」


 智己が黒く歪んだ笑みでそう小さく呟くと、『ワールド・フラワー・フェスティバル』の開催地に向けて車を走らせていった。




***


「……やはり、そうだったか……」


 優弥がある映像を見つけて、そう声を発する。


 その映像を二人の警察官も確認するが、優弥が誰を見てそう声を発したかが分からなくて、困惑する表情を浮かべる。


「……悪いが、この転落事件はこちらで預からさせて貰う」


 優弥が「転落事故」ではなく「転落事件」と言ったので、単なる事故ではないという事が警察官に伝わり、警察官はその件を了承する。


 そして、優弥はその映像を元にその事件の証拠を掴むためにその部屋を出て行った。




***


「……今年はどんな花があるのかな~♪」


 百合が運転する隣で莉愛が嬉しそうにそう声を出す。


「そうね♪どんな花があるか楽しみだわ♪」


 そのフェスティバルを楽しみにしながら莉愛と百合は車内でワイワイと楽しく会話しながらその開催地に向かう。


 そして、緑地広場に着くと、指定の場所に車を停めてお互いリュックを背負い、その開催場所に向って歩きだそうとした時だった。


「…………うっ」


 百合が急に屈み込んで口元を抑える。


「百合さん?!」


 莉愛が驚いて百合に声を掛ける。


 百合の顔は真っ青だった。


「ど……どうしよう……」


 莉愛がどう対処していいか分からなくて、その場で慌てふためく。


「だ……大丈夫よ……。ちょっと気持ち悪くなっただけだから……。少し座っていれば楽になるわ……」


 百合が顔を真っ青にしたまま、莉愛に心配を掛けまいと、笑顔でそう言葉を綴る。


「莉愛ちゃん……。リュックの横ポケットに入っている水筒を取ってくれる……?」


 百合の言葉に莉愛が水筒を取り出し、百合に手渡す。


「ありがとう……」


 百合がその水筒を受け取り、冷たいお茶を少し飲む。


 しばらくその場にしゃがみ込んでいた百合だったが、少しずつ顔色が戻ってくる。


「……もう、大丈夫よ。行きましょうか」


 百合が少し落ち着いたのか、莉愛にそう声を掛ける。


「で……でも……」


 莉愛が心配そうに百合を見ながら何かを言おうとする。


「楽しみにしていたんでしょう?私なら大丈夫よ。だから行きましょう」


 百合に手を差し出されて莉愛はその手を取るかどうか戸惑ったが、百合の手を取り、ゆっくりと歩きだす。





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