1.絶望の音
「「「………ハッピバ~スデ~トゥ~ユ~♪おめでとう!莉愛!」」」
ある一軒家のリビングで誕生日パーティーが行われていた。
本日の主役でもある、松島 莉愛はケーキに付いているローソクを消す。
「お誕生日おめでとう!」
「はい!これ、誕生日プレゼントだよ!」
「わ~!ありがとう!」
仲の良い友達二人に囲まれて、莉愛は笑顔で友達からのプレゼントを受け取る。
「今日だよね?両親がバイオリン工房に行っているの」
友達の一人が莉愛に微笑みながらそう声を掛ける。
「うん!山の中にあるんだけどね。夕方には帰ってくるって言っていたよ」
莉愛が笑顔で嬉しそうにそう言葉を綴る。
莉愛の両親は注文していた莉愛のネームが入っているバイオリンを受け取るために、山の中にあるバイオリン工房に行っていた。
「凄いよね~。誕生日プレゼントにバイオリンだなんて……」
友達の一人が感嘆の息を吐きながらそう言葉を綴る。
その後も、ケーキをみんなで食べながらワイワイと仲良くお喋りして、楽しい時間が続く。
莉愛は中学三年生で受験も終わり、春から通う高校も決まっていた。莉愛の希望で高校はちょっと離れているが音楽関係に力を入れている高校で、莉愛は得意のバイオリンでその高校の試験をクリアすることが出来た。
春から通うその高校に、莉愛は楽しみと期待で胸がいっぱいだった。
その時だった。
――――トゥルルルル……トゥルルルル……。
家の固定電話が鳴り響き、莉愛は「誰だろう?」と首を傾げながらリビングにある電話を取る。
「……もしもし」
莉愛が電話に出る。
『もしもし、松島さんのお宅で間違いありませんか?私、警察の者ですが……』
「警察??」
電話は警察からの電話だった。
なぜ警察が自分の家に電話を掛けてくるのかが分からなくて、莉愛は頭の中がはてなマークで埋め尽くされる。
「あの……何かあったのでしょうか?」
莉愛が警察からの電話という事で、少し不安になりながら恐る恐る声を出す。
『ちなみにあなたは?』
「娘ですけど……」
莉愛が警察からの問いに少し委縮しながら答える。
莉愛の言葉に受話器の向こうで沈黙な雰囲気が流れる。
「……あの??」
警察側が黙っているので、莉愛が恐る恐る口を開く。
『……非常に言いにくいのですが……』
電話越しに警察官が重い声でそう言葉を発する。
『…………ご両親が事故に遭いました』
「………………え?」
電話越しに警察官が言った言葉に莉愛は把握が出来ない。
『ご両親が事故に遭い、死亡が確認されました…………』
警察官が放った言葉に莉愛はすぐに声を発することが出来なくて、しばらく呆然とする。
「噓…………ですよね…………?」
莉愛が身体を震わせながら、震える声でそう声を発する。
『自宅に迎えに行きますので、そのまま家でお待ちください』
警察が電話越しにそう言葉を綴ると、電話が切れる。
莉愛はその場からしばらく動けなかった。
「………莉愛?一体…………どうしたの………?」
友達が莉愛の様子でただ事じゃないと分かり、莉愛に駆け寄る。
「噓…………噓…………」
莉愛が呆然としながら受話器を握り締めたまま小さくそう声を発する。
その様子を見て、友だちは何か大きな出来事があったのかもしれないと思い、莉愛を落ち着かせようとソファーに座らせる。
しばらくして、家に警察官が二人やって来て、莉愛の友達に事情を説明すると、友達はその事に驚きが隠せないのか、愕然としてしまった。
莉愛はその出来事が受け入れられなくて、呆然としたまま警察官と共に、警察署に行った。
そして、警察署に到着して、そのまま霊安置室に通される。
そこで莉愛が見たのは、白い布を頭の上から足の下までかけられている変わり果てた両親の姿だった。
「顔は……確認しない方が良いです……」
その場にいる白衣を着た一人の男が莉愛にそう声を掛ける。
「本当に……両親なんですか……?」
莉愛がここに横たわっているのが両親だと認めたくないのか、懇願するように震える声でそう言葉を綴る。
「はい……。間違いありません……」
警察官が俯きながらそう言葉を綴る。
「嘘……そんな……そんなはずない……」
莉愛がそう呟きながら二つの並んでいる遺体を見つめる。
次の瞬間だった。
――――バッ……………!!!
「「なっ?!!」」
突然の莉愛の行動に警察官と白衣の男が驚いた声を出す。
なぜなら、莉愛は二つの遺体を覆っていた布を両手で剥がしたからだった。
「あ……あ……」
遺体は焦げているが顔を見れば両親だという事が分かる。
「あ……あ……」
莉愛が間違いなく両親だという事が分かり、声にならない声を発する。
「あ……あ……ああぁぁァァァァァァァァァ!!!!!!」
莉愛は大きな声でそう叫ぶと、その場で意識を失った……。
***
「……上手くいったみたいだな」




