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霧に覆われた森は月を見つける  作者: 華ノ月


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17.明かされていく闇


「……あの子はもう寝たのか?」


 優弥が帰って来て百合にそう尋ねる。


「えぇ。客間で寝ているわ。気持ちは少し落ち着いたみたいよ?」


「そうか……」


 百合の言葉に優弥が安堵の息を吐く。


「………何か分かった?」


 リビングに並ぶように百合と優弥が座り、百合が尋ねる。


「それなりに情報は集めているが、何かがあるのは確かだな……」


 優弥がそう言ってファイルに貼られていた写真の事を話す。


「……じゃあ……」


 百合がその話を聞いて愕然と声を出す。


「あぁ……。多分、そういう事だろう……」


 優弥が神妙な顔でそう言葉を綴る。


「例の事故についても調べる必要がありそうな感じだ……」


 優弥の言葉に百合もただ事では無いことが分かり、強く頷く。


 その時だった。



 ――――ジー…………。



「ん?どうしたんだ?俺の顔に何かついているか?」


 百合が優弥の顔をじっと見つめる。


 その視線に気付いて優弥がどこか訝しげな顔をする。


「百合??」


 百合の視線がなかなか優弥の顔から離れないので、優弥が頭にはてなマークを浮かべながら、どこか困っているような顔をする。


「ん~…………。うぅぅん、何でもないわ」


 百合が笑顔で優弥にそう声を掛ける。


 その言葉に優弥は更に百合の行動が分からなくて頭にはてなマークを乱舞させる。


「……あ、そうそう。実は莉愛ちゃんと約束したことがあるんだけど……」


 急に百合がそう話を切り出して、三日後に開催されるイベントの話を優弥に伝える。


「…………いいよ。折角だし一緒に行って楽しんでくるといいさ」


 優弥が微笑みながら百合にそう応える。


「ありがとう、優弥さん」


 百合が嬉しそうな顔をしながら、優弥にお礼の言葉を述べた。




***


「……じゃあ、行ってくる」


 朝、いつものように優弥が朝食を済ませると鞄を手に取り仕事に向かう。


 優弥がこの二日で掴んだ情報は、写真の人物の関係が莉愛とどう関係しているかという事と、その写真の人物の関係で犬飼智己の写真を入手できたので、莉愛に見せたところ本人で間違いないということだけだった。


 優弥は莉愛にフルネームを教えるように言ったのだが、まだ連れ戻される恐怖があるせいか、なかなかフルネームを明かしてくれない。


 ただ、莉愛と百合は少し打ち解けたところもあり、二人仲良く手を振って優弥を送り出してくれていた。




 警察署に到着して、優弥がいつものように扱っている事件の調査を行っていく。


 そして、その捜査をある程度終えると、休憩をとるために警察署内に設置されている自販機で飲み物を買い、その傍にある長椅子に腰を掛ける。


 その時だった。


「…………やはり、事故だったんですかね?」

「そうだな。特に怪しい人物も出てこないしな」

「一人娘を残して逝ってしまうなんて、やるせないでしょうね……」

「あぁ……。どうやら、娘の「莉愛」って子の為にバイオリンを受け取りに行く途中で事故に遭ったわけだからな……」



「…………え?」


 その場にやって来た警察官二人の会話が耳に入ると同時に二人の会話から出てきた「莉愛」という名前に優弥が反応して、小さな声を発する。


「……ちょっといいか?」





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― 新着の感想 ―
事件の内容が気になりますね。 兄がこれからどうしていくのか、刑事さんが主人公を守り切れるのか、続きが気になる作品ですね。実際にありそうな監禁からの逃亡劇で続きが気になりますね。主人公がこれからどうなっ…
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