16.発見した○○
優弥が警察署の中にある、ある場所でパソコンの画面を見ながら、莉愛の事や智己の事を調べていると、気になる内容の事が出てくる。
(……これはどういうことだ?)
そして、その事をもっと深く調べるためにその部屋を出て別の部屋に向かう。
その部屋に着くと膨大な資料の中から、その年にあった事件のファイルを探す。
「これだな……」
優弥が一つのファイルを手に取り、そのファイルに書かれていることを目で追っていく。
そのファイルにはある人物の写真も一緒に貼られていた。
「………成程な」
そのファイルに書かれている事や、その写真を見て、優弥がそう小さく声を発した。
***
「どこに……何処にいるんだ……」
智己がリビングのソファーで苛立ちながら右親指の爪を噛み、そう声を発する。
思い当たる場所に足を運んだが、莉愛をその場所で見つけることはできなかった。
「くそっ……」
そう声を発すると、ローテーブルに拳を叩きつける。
「折角アレを持たせたのに肝心な時に限って……」
苛立ったままブツブツとそう呟く。
智己は何かあった時の為に莉愛にスマートフォンを持たせていたが、そのスマートフォンには位置情報が確認できるように設定を施してあった。
しかし、そのスマートフォンは家に置きっぱなしの状態で莉愛は家を出たため、位置情報で莉愛の居場所を特定することはできない。
「他に莉愛が行きそうな場所は……」
智己が莉愛との会話を思い出しながら、莉愛が行きそうな場所を考えた。
***
「……へぇ~、そこでそんなイベントがあるのね」
夕飯を作り終わり、優弥は帰りが遅いため、莉愛と百合は二人で先に夕食を食べていた。
夕食を食べながら、莉愛が百合にある話をする。
「はい。本当はそこに両親と一緒に行く予定をしていたんです。そのイベントは年に一回しか開催しないイベントだし、その期間しか見ることが出来ないので……」
莉愛が少し悲しそうに微笑みながらそう言葉を綴る。
「両親と今年もそのイベントを見に行くのを楽しみにしていたんです……」
莉愛が悲しそうにそう言葉を綴る。
毎年両親と楽しみにしていたイベント……。
両親と一緒に見に行っていた思い出のイベント……。
「……ねぇ、莉愛ちゃん……」
百合が優しく口を開く。
「そのイベントに良かったら今年は私と一緒に行かない?」
「…………え?」
百合が微笑みながら綴る言葉に莉愛は小さく声を上げる。
「私もそのイベントに行ってみたいし……。ダメかしら?」
百合が微笑みながらそう言葉を綴る。
莉愛がその言葉に戸惑う。
毎年両親と行っていたイベント……。
莉愛と大好きな両親との思い出の場所……。
でも、もう大好きな両親とは行けない……。
莉愛の中でいろいろな想いが駆け巡る。
両親との思い出の場所に百合と一緒に行ったら、両親との思い出が薄れてしまうのではないか……?
そんな考えが頭をよぎり、返事をすることが出来ない……。
でも、百合が自分の事を想って言っている事だというのも分かる……。
過去の思い出に縛られていたら、いつまで経っても前に向けないかもしれない……。
莉愛の中でいろいろな想いが巡るが、いつまでも過去の思い出に浸っていたら、そこから前を向いて歩きだすことは出来ないかもしれないと感じる。
「はい……。是非よろしくお願いします……」
莉愛がどこか泣きそうな顔をしているが、笑顔でそう応えた。
そして、そのイベントがいつかを百合に伝えた。
そのイベントの開催は三日後の八月二十一日だった。




