11.差し伸べられた手
突然頭上から女性の声が聞こえる。
莉愛が驚いて顔を上げると、そこに立っていたのは二十代半ばぐらいのセミロングの髪を綺麗に一つに纏めているフェミニンな服装を纏っている女性だった。
「どうしたの?大丈夫?」
女性が心配そうに莉愛に声を掛ける。
莉愛はその言葉にどう言っていいか分からず、体を強張らせる。
「あら?あなた、濡れているの?早く帰らないと風邪を引くわよ?」
女性が莉愛の前で屈みこみ、優しい声でそう言葉を綴る。
「だ……大丈夫……ですから……」
莉愛が女性から目を逸らし、震える声でそう言葉を綴る。
「あら?その髪……」
女性が莉愛の髪に違和感を見つけたのか、そう声を発する。
「………何かあったの?」
女性が真剣な表情になり、莉愛に尋ねる。
莉愛はその言葉に何も答えずに黙り込む。
「………もしかして、家に帰れない事情があるの?」
女性の言葉に莉愛は顔を背けたまま何も答えない。
女性が何かを考えこむ仕草を見せる。
しばらく静寂が流れていく。
「…………よしっ!」
女性が急に立ち上がり、そう声を発する。
「どうやら何か事情があるみたいね。でも、そのままでは本当に風邪を引いてしまうわ。とりあえず、私の家に来てくれる?」
女性がそう言って莉愛に手を差し伸べる。
しかし、莉愛はその手を取っていいかが分からずに女性から顔を向けたまま何も言わない。
「お風呂を沸かしてあげるから……。そのままじゃ本当に風邪を引いてしまうわよ?」
女性が優しい声でそう言葉を綴る。
その時だった。
――――クシュンッ……!
雨に濡れて体が冷えているのか、莉愛が小さなくしゃみをする。
「ほら!本当に風邪を引いてしまうわ!とりあえずいらっしゃい」
女性がそう言いながら手を取るように促す。
莉愛は女性のその言葉に戸惑ったものの、雨で体が冷えているのも本当だったので、女性の手を取り、付いて行くことにした。
***
「………ふぅ………」




