第2章 すべての始まり
読んでくださって感謝でっす。
ある夜である、お産日の前日、レイアは夢を見た、瓦礫にうもれている子供の夢である、パッと目が覚めた。
なんだったのだろうか、とてもリアルな夢であった。レイアは予知夢の優れている家系の出身でバーレン家に嫁いだ、子宝にはあまり恵まれておらず、流産で一人の赤ちゃんをなくしている。しかし今度の赤ちゃんはすくすくとお腹のなかで元気に育っている、医者の先生もそういっている。
レイアは嫌な夢をみたと思い、ポットからコップに水をくみ、一杯飲んだ、こんな夢を見るなんてと思いベット脇の窓を開け、夜風にあたった、少し火照った体がひんやりとして気持ちが良かった。窓を閉めもう一度ベットに入り眠りについた。
バーレン家は代々魔術の名家で、主に火の魔術に精通している家系である、魔力はとてつもないものであった。ただ問題は現当主の、ラクド・バーレンであるが。魔術の才能がからっきしダメで、有名魔術学校をギリギリで卒業するなど、色々逸話があるのである。しかし、勉強の方は一流で何でもできた人でもあった。今の生計は貿易などで、ギルド活動などは一切していない。
ラクドは、赤ちゃんができたことに一番喜んだのはいうまでもない。生まれる前から名前や玩具の心配などしていたくらいである。
最初の赤ちゃんをなくしてから、ラクドはひどく落ち込んだが、二人目の赤ちゃんができてからより一層レイアのお世話をするようになった。
ラクドも夢を見ていた竜の夢である。町が炎に包まれありとあらゆるものが燃えて消えていくのを、まるで先先代が使ったとされる、竜の儀式である。見たことはないにしても凄まじい光景だったと先代から教わっていた。バーレン家の禁忌として固く封印されている魔術の一つである。あれはもう魔術ではなく魔法の領域であると先代はいっていた。
ラクドは夜風に当たるため外に出ることにした、少し冷たいが嫌な汗は夜風がスーッと飛ばしていってくれた。しかしあたりの風が轟々となり人影がぽつりと現れた。ラクドはゾクリとした。
「やぁこんばんは」そう影はラクドに声をかけた。
「いったいなんなんだお前は、こんな夜更けに」少し苛立ちを表しながらいった
「それはお互い様だろ、現当主ひっひっひ」
「貴様馬鹿にしているのか?」ラクドは火の魔術を影に打ち込んだ。
影はさっとそれをよけまた話しかけてきた。
「話を聞きな旦那、俺は悪いものじゃないかといっていいものでもない、貴様にとって明日不幸が訪れる。それを回避する方法を教えてやるよ。」そういい影はラクドに近づいてきた。
ラクドは脳裏に自分の子供の死がよぎった。はっきり言えば考えたくないことである、現在の最悪は子供の死と妻レイアの死である。
「どうすれば回避できる?」苛立たしくいった
「ひひ、私と契約しろ、さすれば助かるいましろというのではない、時期に分かる、さらばだ」そう言い残すと影はすっと消えて行った。
「いったいどうなっている?」ラクドは頭を抱え家に入って行った。
翌朝である。
ラクドはすぐさまレイアの元にいった。
「大丈夫か、レイアよ」
「何ですか?急に?」ふふふと笑ってラクドにいった。
「あぁなんだ何でもない。」そういってその場を取り繕った。
「一体何があったんです?」レイアの目は誤魔化せなかった。
ラクドは昨日のことをそして夢のことを妻に話した。妻はハッとした。様子もあったがいたって冷静に話を聞き、最後にはラクドにハグして、大丈夫ですよと言った。ラクドは安心した。
「あなたそろそろ仕事でしょ!今日も頑張ってね。」といい頬っぺたにキスをした。
「あぁ行ってくる!とその前に今日は出産予定日だったな、何かあったらすぐさま駆けつける。それに竜神様にお祈りにいかねば、それから、それから」
「そんなに心配なさらずさぁいってください」レイアは笑顔で言った。
ラクドは笑顔で家を後にした。使用人にはすぐ生まれる時は教えて欲しいと、頼み、馬車にのり竜神像まで向かった。
竜神とはバーレン家にとってなくてはならないもので、火の魔術を初めて使ったとされる竜神がまつられている、要するに先祖である。厳めしい姿はラクドにはさっぱりにていなかった。しかし、ラクドはことあることにこの竜神像に行くことと決めていた。魔術学校を卒業できたのもこの像があってのお陰だと思っているからである。
暫くお祈りを捧げていると、昨日の声が聞こえた。
「おはよう、バーレン家当主様、こんな所で油売ってていいのかね?ひひひ」不快である、昨日といい今日といい。
「お前は何が目的なのだ!」声をあらげた
「そういぁ~言ってなかったな簡単なことさ、子供を魔法学校に入れることだ!ただそれだけのこと!簡単だろ?そしてシンプル!」
「貴様ー!ほんとにそれだけなのか!」
「それだけさ、そ・れ・だ・け」
バーレン家は代々魔術の名門、アガラックに行くことが決まっている。それまで、様々な基礎知識を蓄え、名門校にいくのが習わしである。
「なら姿を現せ、そうすれば・・・」そのあとの言葉に続く前に影の気配は消えた。
「一体なんなのだ、何故、私たちに試練を与えるのです、竜神様」そう呟き竜神像の前から去った。
♦
レイアは少し不安であった、たとえ夢だとしても、たとえ何かの嫌がらせだとしても、不安感を募らせるばかりであった。
レイアはバーレン家に嫁ぐ前までは凄腕の占い師として活動していた。占い師の家系であったことも事実であったが、歴代で最も強い力を有していた。そのため、昨日の夢も不安の一つであった。瓦礫に埋もれた子供が実の我が子ではないのかと、そう案じていた。
「夢なら夢であって」そう不安を口にした。
ベットの横の窓を開けた。嫌なことを忘れさせてくれる風が部屋に入ってきてくれる。外は清々しいほど青く澄みきっていた。いい天気である。ふと夫との朝の会話を思い出した。嫌がらせなのかどうなのか分からない影の話である。本当に我が子が死ぬのを助けたければ契約をしろとの事であった。契約とはなんなのか少しきになった。
「契約・・・。悪魔・・・。なのかしら」呟いた。
「何故悪魔なら、我が子を助けたりするの?何故?」疑問は疑問を呼ぶのであった。
この世界、ランドステイルでは悪魔とは助ける側ではなく、奪う側である。悪魔と契約するということは、魂を取られる事を意味する。魂を取られるということイコール死ではなく、従属である。従属すれば死ぬまで契約が続く、たとえ何を犠牲にしても。
「でも子供を助ける、それは役目が違う、また別のもの・・・。」
こんがらがる一方である。レイアは思慮深く、何でも深く考えてしまう癖があった。
メイドのエルザをよんだ。
「なんでしょう奥様」
「一寸調べたいの」
「はい、何をでございますか?」
「天使についてよ・・・。」
「伝説上の生き物のですか?」
「ええ」
「分かりました今資料をお持ちしますね。」
エルザは部屋から天使に関する資料を持ってきた。
♦
一報が入ったのは20時30分を回った辺りだった。
「奥様が・・・。もうすぐ赤ちゃんが産まれそうですぞ。」
従者のパトリオットがあわてて部屋に駆け込んできた。
「そうか!急いで帰らねば。」貿易の商談があったがすべて部下に任せ、急いで馬車に乗り込んだ。
馬車も猛スピードで家まで走りこんでいった。
「レイアに何かあったか?」不安でたまらなかった。
「いえ、奥様はいたって健康ですよ」パトリオットは答えた。
「そうか・・・。まだつかんのか!?」
「いま飛ばしてる最中ですよ、旦那様」
「えぇいわかっておるわ」
「もう少しリラックスしませんと、体に毒ですよ。」
「分かっておる、貴様は馬車に集中しておれ。」
「分かりました。」
そんなやり取りをしてる間に自宅についた。
「レイア、レイア~」と自宅で叫んでいると。メイドのエルザが現れた。
「旦那様!お静かに、今お産の最中です。こちらへ」エルザに上着とバックを預け、レイアのもとにむかった。
「レイア大丈夫かい?」苦しそうなレイアを見ているのに耐えきれず、目をそむけた、そんなことをしているとエルザに叱られてしまった。
「旦那様!しっかりと、奥様の手を握ってください!それしかできないのですから、そうしていなさい!」
ラクドはすっかり怒られた子供の用になってしまった。
21時を回ったころである、元気な女の子が産声を上げた。
ラクドは安心した、何事も無く終わったことに。すっかり影の事も忘れていた。妻レイアも無事でなにより。しかしその安堵もつかの間の事だった。
ガンガンと自宅のドアをたたく音が聞こえた、すると赤ちゃんの呼吸も止まってしまうのだった。それにはさすがの医者も驚いてしまった。一向にドアをたたく音が止まないため、それどころではないが、エルザに出てもらうことにした。
エルザがドアを開けると影がぬーっとすごいいきよいで入ってきた。そしてレイアの部屋に入って行った。その影は、みるみる大きくなり、人の形になった。フードをかぶって顔が分からない。
一番に驚いたのはラクドであった。
「お前があの影なのか」フードをかぶった何かに、話しかけた。
「ああそうだ、ひひ、娘を助けたいか?ひひ」不気味な声である
「助かるのか?」ラクドは恐る恐る言う
「助かるさ、契約すればな」
待ってください、とレイアがその返答に声をはっした。
あなた様は天使なのでしょう?レイアはフードの何かにそういった
「天使?何故だ?私が・・・。」不気味な声は動揺を隠せない様子であった。
「天使とは与えるもの、奪う悪魔とは違います。わが娘が助かるのでしたら、私が契約します。」
「それは困る、あくまでも契約は貴様の夫であるラクドとだ。それに私は天使でも悪魔でもない」不気味さが薄れて行った。
「左様ですか、契約とは何をするのです。」
「16年後だ彼女を一人前の魔術師にするために学園に入れることだ、バーレン家なら問題なくできるだろう、それが契約だ。さすれば助けてやろう娘の命を」
「もししないと言ったら、助けてもらった後で。」ラクドはいった。
「それは彼女が望まないだろ、未来で決まっている。お前たちが選ぶ選択肢も」
「ならわかった、その契約・・・を・・・しよう・・・。」
「契約成立だ」フードは答えた
「ラクドよく選んでくれたな、苦難の道を、あるお方に変わって礼を言う。」そういうとフードを脱いだ、そこには、翼を持った人が現れた。天使である。
天使は、赤ちゃんに聖水を振りまいた、すると赤ちゃんは呼吸を始めた。
「レイアあなたの双眼恐れ入りました。さすがのものですね。」そう言うと一瞬にして姿をけした。
夫婦そろってあっけにとられた、しかし赤ちゃんは無事である。あまりの喜びにラクドはボロボロに泣きじゃくった。赤ちゃんと妻をギュッと抱きしめた。すると赤ちゃんは泣き始めた。
「こんな素晴らしことはあるものか、せっかくだし名前を付けよう」
「おお奇跡だ、目を開けたぞ、名前はなんにしようか、エリザベス、カトリーヌ、うーんうーん悩ましい、ベアトリスなどどうだろか?なぁレイアよ」
「あなた、今はそっとしておきましょう、やっと産声を聞けたんですもの。」
「ミ・・・ユ・・・・ウ・・・・」赤ん坊はそう泣いた。
ラクドは驚いていた、レイアもである。
「おおすごい、言葉を話せるぞ、神様が神童を与えてくださった。さっきミユと言ったな?なぁレイアよ、わが娘はミユとなずける、ミユ・バーレンだ」
そう決まるとミユは泣き続けた。
一泣き終えると、ミユはぐっすりと眠りについた。
「天使様は苦難の道とおっしゃった、いったいどういうことなのか、この子にもしもの事があればわたしは・・・。」ラクドはそのことで頭がいっぱいだった。
レイアは不安そうな夫の頭を撫でた。
「大丈夫ですよ私たちの子なんですもの、きっときっと・・・。」
「そうかそうだな・・・。」ラクドはそう自分に言い聞かせた。
全てはここから始まりなのである、どんなに抗おうとも変えられぬ運命、定め、抗うことで変わる個々の力も決まっている。ミウにとって、始まりの鐘が今鳴らされた瞬間でもあった。
まだ続きます打ち切りぽい感じ出してごめんなさい。
魔法についてはもう少し先になりそうでっす。




