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✿ 23

 リヒトの激励に、騎士達(みんな)が立ち上がり、臨戦態勢を取る。

 けれど、何度も攻撃を仕掛けているが、命中したのは先ほどの一撃だけ。このままでは結局体力が奪われてしまうだけだろう。

 でも、一体どうすれば……!?

〈姫、彼のあの〝剣〟には水晶の欠片が使われています。 あなたが(首飾り)に願いを掛けることで、彼に「力」を分け与えることができれば、あの(オトコ)を倒せるかもしれません〉

 〈守護者〉の提案に、私は目を丸くする。……でも、私、まだ「覚醒」していないんじゃ……!?

〈大丈夫、あの(オトコ)が無理に姫の「力」を引き出そうとしたことで、少しずつではありますが、あなたも「力」を使うことができるようになっているようです。 他の騎士達も力を合わせれば、きっと何とかできるはず〉

 ……確かに、このまま何もしないよりいいかもしれない。一か八か、やってみるしかない。

「みんな、こっちに来て!」

 私が呼び掛けると、リヒト以外の四人が一斉に振り返り、私の元へと駆け付けた。

「ねぇ、みんな! 私はこれから水晶に願いを掛けるから、みんなも私に力を送って! そうしたら、リヒトにみんなの力を私が送るから!」

 突然だったが、騎士達(みんな)はすぐにうなずき、私を円形に取り囲みながら、私に意識を集中させ始めた。

 首飾り(ペンダント)を握り、私はみんなの力が送られてくるのを感じながら、首飾り(ペンダント)――水晶に願いを掛ける。

(……お願い、水晶よ。 みんなの「力」をリヒトに分け与えて!!)

 すると、水晶からまばゆい光が放たれ、リヒトへと向かっていく。

 〝剣〟がその光を受け止め、水晶と同じ輝きを放ち始めた。

 リヒトは〝剣〟をより一層強く握り、ライヅの方に向き直った。


     ✿


「……面白い」

 ライヅが小さな声でつぶやく。

 彼女と騎士達(みんな)の「力」が込められた〝剣〟を手に、リヒトは意識を集中させた。

(〝剣〟よ、俺に力を! アイツを……止める力を貸してくれ!!)

 そして、一瞬目を閉じ、深呼吸をすると、一気に駆け出した。

 まずは〝剣〟を突き刺すようにして、ライヅに向け衝撃波を放つ。今までのように、当然かわされるが、リヒトはすぐに(きびす)を返した。

 思い切り地面を()()び上がって、空中で一回転すると、ライヅに方向転換し、そのまま一気に()け出す。

「やあ――――ッ!!」

 再度〝剣〟を強く握り締めると、リヒトは雄叫(おたけ)びを上げながら、再び意識を集中させ、〝剣〟を振るった。

 その(かん)、ほんのわずか。いつものように攻撃をかわせると思っていたのだろう、ライヅの表情に余裕がなくなっていた。

 ――決着はほんの一瞬だった。なんと、〝剣〟はライヅの胸を(つらぬ)いていた。

「な……に……」

 ライヅから驚きの声が漏れる。

 そのままライヅの身体は地面に崩れ落ちそうになったが、なぜかそれより早く、カレの姿は霧散(むさん)して消え失せてしまった。

 意に介することなく、リヒトは振り返りながら、〝剣〟をライヅのいた場所に向けて、言い放った。

「もう二度と、俺の〝ひめ〟に手を出すな」


    ✿


 戦いにはあまりにも呆気(あっけ)なく終わった。

 ……でも、これで安心だ。

「リヒト!!」

 私は気が付くと、リヒトの元に駆け寄っていた。

 リヒトは私を両腕で受け止め、優しく抱き締めてくれた。

「怖かった……怖かったぁ!」「安心しろ、もう大丈夫だから」

 優しく言葉を掛けてくれるリヒトの声に安心しながら、私は泣きじゃくっていた。

「兄さん!」

 他の騎士達(みんな)も私とリヒトの元へと集まってきた。

「さて、これからどうする?」「……まずはここから脱出する」「そうだね、その後は?」

 騎士達(みんな)でそんな会話を交わした後、一斉に私を見つめた。

 突然聞かれて、私は一瞬困惑するが、ふととあることを思いついて、口を開く。

「私、やっぱり『あの場所』に行ってみたい! なぜか分からないけど、あそこに行けば、何か、考えが思いつくような気がするから」

 騎士達(みんな)は私の言葉に顔を見合せ、うなずいてみせた。

「じゃあ、決まりだな」「それじゃ、出口を探しますか」

 そう話しながら、騎士達四人(みんな)が歩き出した。

 唯一、その場から離れずにいたリヒトが微笑み(わらい)ながら、私に手を差し出した。

「ヒメ、行くぞ!」「……うん!」

 私はその手を取り、リヒトとともに歩き出したのだった。

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