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その言葉に、身体がびくんと跳ね上がる。
「だけど、どうしたら……!?」
まだ「覚醒」していないだけに、私には何の「力」もない。今は何も――どうすることもできないのだ。
〈……本来なら、「五人の騎士」とともに旅をすることでじっくりと「その時」を待つのがいいのでしょう。 でも、今は本当に時間がありません。 ほんの少しの可能性ではありますが、もし糸口があるとしたら、「あの場所」を訪れることで何か変わるかもしれません〉
「あの場所」――昔、父とともに訪れた、水晶の眠る場所のことだ。つまり、一度城に戻らないといけない。
私はぱっと、「五人の騎士」を振り返る。私が〈守護者〉と何を話していたのか、みんなは聞くことができていないようだったが、何か一大事であることは理解してくれていて、私が説明するのをじっと待ってくれていた。
真っ先に、リヒトと目が合う。どうすればいいのか、問いかけてくれているような気がして、私は〈守護者〉から聞いた「真実」を早口に話した。
「――……【敵】が私を狙って、もう動き出しているの! でも、私には何の『力』もなくて……。 だけど、もしかしたら、一度城に戻って、水晶のところに行けば、何か変わるかもしれないの!」
みんなは私の話を聞いて驚いていた。けれど、リヒトが私の目の前に進み出て、言った。
「分かった。 とりあえず、少しでも可能性があるなら、城へ行ってみよう。 心配するな、お前のことは俺たちが全力で守るから!」
リヒトの後ろでは、他のみんながお互いに顔を合わせて、うなずき合っていた。そして、私の方にも向き直って、彼に同意するように深くうなずいてみせた。
「うん、みんな、お願い!」
――こうして、私は城を目指すことにしたのだった。
……けれど、その時にはもうすでに手遅れだったことを後に知ることになる。
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「……動いたか」「ええ、そのようです」
遥か彼方、上空の暗雲の中で【誰か】がそんな会話を交わす。
「あとはあなた様の合図で……」
恭しく一人がそう話すのを聞き、もう一人が「うむ」とうなずく。
そして、勝ち誇ったような笑みを浮かべ、指をパチンと鳴らした。
――その瞬間、地面が大きく揺れ動いたのだった。
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ぐらん、と大きく視界が揺れる。
「……っ!? 何……今の……」
思わず息を呑みながら、私はつぶやく。……なんだかすごく嫌な予感がする。
「大丈夫ですよ、ヒメさん。 僕たちがついていますから」
ハルトが私の側に近づき、そう声を掛ける。けれど、励ましてくれているハルトも少なからず、動揺しているようだった。
私たちはすでに城へと出発していて、一緒に中にいたタクト、カナトもどこか緊張した表情をしていたが、私のことを心配そうに見ていた。
「……うん」
そう応えながらも、私は嫌な予感を拭えずにいた。
それでも馬車は走り続け、どんどん城へと近付いていたが、距離が短くなるほど、不安は大きくなっていた。
おまけに、耳鳴りもしているような……。
ふと、馬車が急停車する。
窓の外を見ると、城へと続く道まであと少しというところだった。
私は馬を走らせていたリヒトとエイトの方を見た。窓から少しだけのぞいている二人の表情はとても険しいものだった。
不安に思っていると、ドンッと大きく地面が揺れ、再び視界も揺らいだ。かと思うと、どこからかドスッドスと足音が耳に入った。
「……ヒメさんはここに」
そう言って、ハルトが馬車の外へと向かう。他の二人も武器を手にして、後に続いた。
何があったのかと、私はもう一度窓の外に目を向ける。
その瞬間、私はひっと息を呑んだ。
「何……アレ……!?」
そこには、鎧を身にまとった得体のしれないモノが四方八方から、馬車の方に向かっていた。
みんなは馬車――私を守るようにして、それぞれの武器を手にし、謎の軍隊に目を向けていた。
「行くぞぉ――――!!」
〝剣〟を握り締め、リヒトが大声で叫んだ。
それと同時に、みんなと軍隊が駆け出し、戦いの火蓋が切られたのだった。
……どれぐらい、時間が経ったのだろうか。
私は何もできず、ただみんなを応援することしかできなかった。
軍隊は倒しても倒しても、数が減ることはなかった。ただ、みんなが終わりのない戦いに消耗されていくだけだった。
私は悔しくて、思わず泣きそうになる。
……ただこうして、ひたすら待つことしかできないなんて。私のどこに「力」があるというんだろうか。
私は首飾りを握り、ひたすら祈る。――どうか、みんなが無事でありますように。
すると、首飾りがまばゆい光を放ち、みんなのもとへと降り注いだ。そして、馬車を取り囲むと、光の障壁を作り出した。
みんなは光のおかげで少し回復したようだった。
私は首飾りを手にし、無事を祈りながら、みんなの帰りを待っていたのだった。




