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✿ 16


    ✿


〈あぁ……姫、ようやくあなたとお話ができますね〉

 (かか)げた首飾り(ペンダント)から、そんな〈声〉が聞こえてくる。

「どうして……?」

 ――今までは首飾り(ペンダント)を握らないと聞こえなかった〈声〉がこんなにもはっきり聞こえるようになるなんて……。もしかして、「五人の騎士」が(そろ)ったからだろうか?

〈えぇ、そのおかげもあるでしょう。 「騎士」達を探すうちに、あなた自身に眠る「力」が少しずつ「覚醒」に近付いていったのです。 とはいえ、まだ「完全」ではありません。 今はまだ(・・・・)この水晶に宿る「もの」である私とお話ができるのが限度ではあります〉

 私がそんなことを考えていると、首飾り(ペンダント)の〈声〉――水晶に宿る〈もの〉からそんな答えが返ってきた。

〈とはいえ、じきに、首飾り(ペンダント)――水晶の欠片の「力」を使えるようになるでしょう。 「騎士」の存在があなたを少しずつ「覚醒」へと導いているようですから。 ――さて〉

 突然、〈声〉がそれまでと違った話しぶりで、「本題」を切り出そうとした。

 思わず私は(たたず)まいを正し、その「本題(はなし)」に耳を傾けることにした。

 みんなには〈声〉は聞こえていないだろうが、私の様子に釣られるようにして、固唾(かたず)()んでいた。

〈――姫、あなたに私の知る限りの「真実」をお話しましょう〉


    ✿


 〈声〉は私に語った。


 水晶が誕生した(うまれた)のはずっと昔――世界が始まった時まで(さかの)ぼるのだという。

 その理由は今も分かっていないが、この世に出来た当初から水晶には「力」が備わっていたのだとか。

 強大すぎるその「力」を野放しにするにも行かず、世界を守る〝守護神〟様もその存在を認知し、悪用されないよう、〝力〟を使って分身からつくり上げた「存在(もの)」――水晶の〈守護者〉を生み出したそうだ。

 そんな強大な「力」を持ち、〝神〟に守護され(まもられ)てきた水晶だったが、しばらくは人の目にも触れることはなかったそうだが、偶然にも水晶を見つけ出したのが、私のご先祖様――シェリーモルドの創国者だった。

 〈声〉が伝え聞いた過去(はなし)によると、創国者はとても清い心の持ち主だったそうで、精霊などの目には見えない「存在(もの)」達の「声」も聞くことができる、ちょっとした能力を持つ人だったらしい。もちろん、水晶の〈守護者〉の〈声〉もすぐに聞いていたそうだ。

 水晶に「力」があることを知っても、創国者はその「力」を決して悪用することはなかったそうだ。むしろ、王国を築き上げるためだけにその「力」を少し借りるだけだったそうで、〈守護者〉の〈声〉――「導き」を聞き、その言葉にしっかりと従っていた。

 そうしているうちにシェリーモルドが建国され、創国者は国と水晶を守っていくを決心したのだという。

 ただひとつ、創国者は清い心の持ち主だっただけに、戦うことを嫌っていたそうだ。そこで、国と水晶を守護する(まもる)協力者を見つけ出し、水晶の欠片を使って創られた〝剣〟をその協力者に授けたという。――この協力者が後に、「守り手」と呼ばれるようになり、私が見つけ出した「五人の騎士」の(もとい)となったのだった。

 それ以降、創国者の血を継ぐものは代々、国を繁栄させるとともに、形を変えて誕生する「守り手」と水晶をずっと守護して(まもって)きたのだという。


    ✿


〈――そして、シェリーモルドが現在(いま)(いた)るまでの間に、「予言の書」なるものが残され、そこにあなたが誕生し、王国を繁栄させる救世主(メシア)となることが(しる)されていたそうです〉

 水晶の〈声〉――〈守護者〉が語った「真実」に衝撃を受け、私はただ黙り込むことしかできなかった。

「……でも、私、何も……」

〈えぇ、今は(・・)そうですね。 けれど、だからこそ危険な状況なのです。 いずれ、あなたは水晶の「力」を正しく使えるようになるでしょう。 でも、その「力」はあなたが考えているよりもずっと――悪用すればこの世界そのものに影響を及ぼすほどに、強大でもあるのです。 ――それだけに、【敵】はまだ「覚醒」していない(あなた)手に入れよう(・・・・・・)としているのです〉

 思わず口からこぼれたつぶやきに、〈守護者〉はさらに衝撃なことを告げた。

〈――そして、【敵】はすでに動き出しています〉

 

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