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〈あぁ……姫、ようやくあなたとお話ができますね〉
掲げた首飾りから、そんな〈声〉が聞こえてくる。
「どうして……?」
――今までは首飾りを握らないと聞こえなかった〈声〉がこんなにもはっきり聞こえるようになるなんて……。もしかして、「五人の騎士」が揃ったからだろうか?
〈えぇ、そのおかげもあるでしょう。 「騎士」達を探すうちに、あなた自身に眠る「力」が少しずつ「覚醒」に近付いていったのです。 とはいえ、まだ「完全」ではありません。 今はまだこの水晶に宿る「もの」である私とお話ができるのが限度ではあります〉
私がそんなことを考えていると、首飾りの〈声〉――水晶に宿る〈もの〉からそんな答えが返ってきた。
〈とはいえ、じきに、首飾り――水晶の欠片の「力」を使えるようになるでしょう。 「騎士」の存在があなたを少しずつ「覚醒」へと導いているようですから。 ――さて〉
突然、〈声〉がそれまでと違った話しぶりで、「本題」を切り出そうとした。
思わず私は佇まいを正し、その「本題」に耳を傾けることにした。
みんなには〈声〉は聞こえていないだろうが、私の様子に釣られるようにして、固唾を呑んでいた。
〈――姫、あなたに私の知る限りの「真実」をお話しましょう〉
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〈声〉は私に語った。
水晶が誕生したのはずっと昔――世界が始まった時まで遡ぼるのだという。
その理由は今も分かっていないが、この世に出来た当初から水晶には「力」が備わっていたのだとか。
強大すぎるその「力」を野放しにするにも行かず、世界を守る〝守護神〟様もその存在を認知し、悪用されないよう、〝力〟を使って分身からつくり上げた「存在」――水晶の〈守護者〉を生み出したそうだ。
そんな強大な「力」を持ち、〝神〟に守護されてきた水晶だったが、しばらくは人の目にも触れることはなかったそうだが、偶然にも水晶を見つけ出したのが、私のご先祖様――シェリーモルドの創国者だった。
〈声〉が伝え聞いた過去によると、創国者はとても清い心の持ち主だったそうで、精霊などの目には見えない「存在」達の「声」も聞くことができる、ちょっとした能力を持つ人だったらしい。もちろん、水晶の〈守護者〉の〈声〉もすぐに聞いていたそうだ。
水晶に「力」があることを知っても、創国者はその「力」を決して悪用することはなかったそうだ。むしろ、王国を築き上げるためだけにその「力」を少し借りるだけだったそうで、〈守護者〉の〈声〉――「導き」を聞き、その言葉にしっかりと従っていた。
そうしているうちにシェリーモルドが建国され、創国者は国と水晶を守っていくを決心したのだという。
ただひとつ、創国者は清い心の持ち主だっただけに、戦うことを嫌っていたそうだ。そこで、国と水晶を守護する協力者を見つけ出し、水晶の欠片を使って創られた〝剣〟をその協力者に授けたという。――この協力者が後に、「守り手」と呼ばれるようになり、私が見つけ出した「五人の騎士」の基となったのだった。
それ以降、創国者の血を継ぐものは代々、国を繁栄させるとともに、形を変えて誕生する「守り手」と水晶をずっと守護してきたのだという。
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〈――そして、シェリーモルドが現在に至るまでの間に、「予言の書」なるものが残され、そこにあなたが誕生し、王国を繁栄させる救世主となることが記されていたそうです〉
水晶の〈声〉――〈守護者〉が語った「真実」に衝撃を受け、私はただ黙り込むことしかできなかった。
「……でも、私、何も……」
〈えぇ、今はそうですね。 けれど、だからこそ危険な状況なのです。 いずれ、あなたは水晶の「力」を正しく使えるようになるでしょう。 でも、その「力」はあなたが考えているよりもずっと――悪用すればこの世界そのものに影響を及ぼすほどに、強大でもあるのです。 ――それだけに、【敵】はまだ「覚醒」していない姫を手に入れようとしているのです〉
思わず口からこぼれたつぶやきに、〈守護者〉はさらに衝撃なことを告げた。
〈――そして、【敵】はすでに動き出しています〉




