08:空と森
こんにちは、アストです。
今僕は森の上空を落下中です。
同行者は4人。
「クロエ、感知をっ!」
掛け声、クロエが頷く、その目に光が映る。
「・・・・・・小さい光無数、大きな光が1、規格外な光3っ!」
小さな光が一般兵士、規格外な三つが勇者、そして大きなものが。
「大きいやつがサブノだと思う、規格外のが勇者達、追われてるっ!」
なおも落ちている最中。
クロエがテストリア様を抱えながら指刺す。
「クロエ、足場をっ!」
合図と共に出現する魔法円。
それを足場に。
踏み込む。
斜めに。
勇者の元へ。
一番後続、勇者の一人へ。
ギロチン刀を二本振り下ろす。
森が破裂した。
円を描くように中心から吹き飛ぶ。
「ちっ、毎回毎回っ!」
舌打ち、反応速度が高すぎる。
どんな不意打ちにも対応する。
どうも勇者同士でもピンキリらしい。
そう思うと自国の勇者は外れ枠、いや自分にとっては当たりか。
ここで決められなかったのが致命的。
このままでは三体一になり圧倒的不利になる。
いや、もうなっていた。
僕の右手が吹っ飛んだ。
前から何かが飛んできて僕の腕をかっさらっていった。
「弓かっ」
前方が数回光る。
攻撃を中断、即座に回避行動に移る。
避けるのは無理と判断。
残った左手、握る巨刀で受けるも。
衝撃の大きさから身体は一気に後方へ押し出される。
木々をなぎ倒しながらどんどん後ろへ。
力任せに矢を弾くと、両足でしっかり地面を踏み込み、急停止。
完全に止まった時にはもう。
勇者が三人。
眼前にいた。
「なんだ、こいつ」
「人間? 子供?」
「人間のガキがこんなでかい武器持てるかよ」
相手はあの勇者。
それも三人。
そしてこっちはすでに深手を負っている。
もはや絶体絶命か。
いや、それも想定内。
程なく森の地が黒く染まっていく。
じわじわと浸食していく。
僕の損壊した腕に粒子が集まる。
それは完全に僕の腕を、ギロチン刀が握られた状態で復元してくれた。
そのまま回転。
駒のように回る。
二刀の刃によって周辺は切り裂かれ、僕を中心に大きく開かれた。
近い範囲にいた勇者達にもその衝撃刃は伝わったが。
軽く受け流される。
だが元々攻撃のためではない。
これは僕の位置を分かりやすくするため。
それは仲間にではあったが、敵にも同様の効果を与える。
また光、瞬く間に矢は僕に届く。
身体を貫こうと迫る。
先ほどは腕が飛んだが。
今度は弾く。
一本、二本、三本・・・・・・五本、十本、まだまだ来るも。
全部弾き飛ばす。
先ほど黒い魔法円がこの周辺を影で覆った。
その発生源は。
我らが王女、テストリア様。
本来生まれ持つ魔族の王としての資質。
それが僕らに力を与える。
王女が祈る。
力が湧いてくる。
相手を殺せと王女が願う。
相手を殺すと僕らが応える。
それは僕だけではない。
魔族であれば全員だ。
クロエも。
そして。
三つの爪痕。
勇者の背中に刻まれる。
魔獣サブノ。
黒い体毛、獣の耳、鋭い爪 そして尻尾。
例え勇者が三人いようとも。
今の条件なら。
負ける事はないだろう。




