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07:空と海

 こんにちは、アストです。


今、僕達は非常にわたわたしております。


「早く、まだなの、アスト、早くしないとっ!」


「わかってますっ! でも、転移魔法の座標指定はちゃんとしないといったいどこに飛ぶかも分かりませんっ!」


「あぁ~、こうしている間にもヴェパとサブノがぁ」


「元々魔法が使えない僕がこうして複雑な魔法使おうとしてるんですからしょうがないでしょうっ!」


 言葉もろくに理解してませんでしたからね、魔法なんて論外。


 あの二人なら他の魔族より魔力値は高い。


 現状、どの勇者が、それが何人、何も分からない。


 それでも行かなきゃならない。


 目的は勇者達への復讐、そして祖国の復興。


 そのどちらにもこの二人は不可欠。



    ◇


 飛んだ先は青。


 上が海、下は空。


 僕は頭から落ちている。


 近くには。


「王女様、クロエに捕まってくださいっ!」


 王女テストリア様とクロエ。


 そして。


「きゃあああああああああああああ」


 悲鳴を上げながらスカートを必死に押さえる女性。


「僕の手をっ!」


 差し伸べる。


 その手、その指をしっかり絡め。


 落ちていく。


 上は海、下は空。



 どんどん大きくなるのは船。


 船団。


 その周囲で光が交差する。


 戦闘中。


 細い水の渦、鋭い水流が何本も横を通り過ぎる。


「間違いない、ヴェパですっ!」


 うまく引き寄せられた、ヴェパの魔力が位置を補正してくれていた。


「着地します、衝撃に備えてっ!」


 少女の身体を空中で持ち上げる。


 体勢を変え、足は地面の方へ。


 刹那、何隻もある船の一つ。


 その甲板に足をつける。 


揺れる船体。


 衝撃で船が大きく前後へ。


 持っていた少女を優しく降ろす。


「ヴェパはっ!?」


 首は回り、船はさらに揺れる。


「あそこよっ!」


 クロエが王女を抱えて後ろへ。


 声は位置を。


 僕は背中で交差させていたギロチン刀を抜くと。


 跳ぶ。


 甲板の揺れはまだ止まる事を許されない。


「勇者・・・・・・いた、いたいたいたいたいたいたいたいた」


 どうも狂う、あれを見ると調子も脳も、呼吸が乱れる。


 点在する船を足場に。


 飛び乗る。


 移動する。


 近づく。


 勇者。


 見えた。


 殺す。


 死ね。


 死ね。


「死ねぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ


 ギロチンを一刀、勇者に向かって振りきる。


「うおっ!????」


 受ける。


 勇者、癪、止めた、止められた。


 海が光る、空も光る、衝撃がそれらを放つ。


 勇者の立つ船、ミシミシと。


 僕が構わず力を込める。


 沈む。


 勇者を船を、全部巻き込みながら。


 押す押す押す。


 押し出す。


 海に。


 蒼く澄んだ海。


 ミリミリと。


 ギシギシと。


 割れる、振り切った。


 耐久を大きく。


 勇者ごと海に押し込める。


 藻屑、残骸、僕、勇者。


 海に飲まれる、どこまでも広く、深く、その中。


 視界は透明、否青、否黒。


 泡、大量の泡、包み込む。


 こうなると僕はもう何もできない。


 沈むだけ。


 重いギロチンを二刀握り、また頭から落ちていく、今度は海の底へ。


 でもそれでいい。


 こっから先は彼女の領域。


 この中でなら彼女に敵う者はそういまい。


「食い散らかせっ、ヴェパ」


 暗い海の中。


 二つの目が光る。


 僕の声にならない声に応えるように。


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