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S↔R ~令和女子、昭和に放り出される~ 「1970年」マジありえない文化なのに人情に泣ける。そして未来へ繋がる……  作者: 髙井菜是


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【7】衣食住①

1日が始まるよ

「みうー! 早よ起きやー!」


ん〜ハイハイ……

今、面白い夢見てたのに……あとちょっと寝させてよ、お母さん。


「みう!」

「もぉ〜わかったわかった……ふふ、お母さん、めっちゃ面白い夢見ててん、私、昭和に行ってな」


のそのそと目をこすりながら起き上がって声の主を見上げる。


「誰がお母さんやねんっ」


………あ


思い出した、夢じゃない、昭和だ、私、昭和に来たんだった。


「……おはよう幸子」

「おはよう! すぐご飯できるで! 顔洗ってき」


おはよう、おばあちゃん。多分、おばあちゃん。


洗面所なんてないらしく、台所の流しでやっていると聞いてドン引きしたけど、仕方ない。顔を洗って、幸子に貰った新品の歯ブラシで歯を磨く。

サビサビの鏡を見る。髪の毛ボッサボサ!


ヘアアイロンなんてないよね、それはわかる、さすがにわかる。

じゃあ昭和の人はどうやってんの?


ため息をつきながら部屋へ戻る。


「ほな食べようかー」


幸子が小さいテーブルに2人分の紅茶とバタートーストを並べてくれる。


「いただきます」


食べようとすると幸子が笑いながら

「うちはなぁ、昔っから食パンと紅茶やねん。ふふ、ハイカラやろ?」

「はいから……て、何やったっけ」

「え、ハイカラ知らへんの」

「聞いたことはあるけど……」


お互い見つめ合って、ぷぷっと笑い合う。


「未来人とは言葉もちゃうねんなぁ」

「ねぇ、食パンと紅茶って、昭和にもあるんやね、ちょっと意外だった」


2人とも食パンにかぶりつきながら話す。


「昭和にどんなイメージ持ってんねん」

「うーん……戦争があった時代、かな」

「いやいや、間違ってないけどなぁ……みうの時代は? 平和か?」

「うん、すっごく平和」

「そらええこっちゃ」


紅茶をすすってパンを柔らかくして飲み込む。


「そういえば、幸子はお盆休みなんだよね?」

「そやで」

「家に帰らんでええの?」

「……あー、ん〜。まあ、ええねん」


え、何その感じ、めちゃくちゃ気になる、でもなぁ、言いたくないのかな。


「お墓参りとかは?」


「ああ、お墓参りは今日行く予定やったけどなぁ。まあ別に行かんでもええから」


「あ、ごめん、私が来たからやんな」

来たくて来たわけじゃないけどね


「ええねん、ほんま行かんでもええから。明日でもええし。それより今日は下宿先とバイト先に行かなあかんな」


……私はこのままおばあちゃんの家に居たい。令和に戻りたいけどどうすれば戻れるかもわからんし……。

知らん人達とこのまま生きていくしかないの? 

怖いよ……


不安そうな私を見て幸子が肩をポンポンと叩く。

「みんな優しいから、安心しー。うちもできるだけ様子見にきたるから」


怖いけど、幸子にも人生があるからね、自分でなんとか生きていけるようにしないとね!


無理矢理自分に言い聞かせるしかない


幸子が、自分の洋服を少し貸してくれた。私が着てきた服は朝のうちに洗濯してくれたらしく、窓のところに干してあった。


「長袖やししばらく使わんやろ? そのうち取りにきたらええ」


朝のうちに下宿先への電話も済ませたらしく、すぐに向かうことになった。


15分ほど歩いたかな。

昨日は気づかなかったけど、暑いのは暑いのに、なんだろう、そんなに暑くない。地球の温暖化、とかって聞くけどこれがそうなのかな? 暑さが全然違う。

幸子のアパートにはエアコンがついてなくてびっくりしたけど、過ごせないことはなかった。令和だったら8月にエアコン無しなんてとても生きていけない。


「ここやで」

木造の古い二階建ての家の前に着いた。


幸子のアパートも少し古い感じだったけど、ここはもっと、かなり古いように見える


「この建物な、戦前からあるんやて」


へー、そりゃ古いはずだ


幸子がいきなり玄関をガラッと開けた。

「ごめんくださーい!」


「ひぇ! 勝手に開けていいの?」


「へ? なにが?」


なにが、て……

いや、もういいや、昭和ルールなんだよね、はい


「おー、幸子ちゃん! 久しぶりやなぁ!」

「久しぶり、おばちゃん、元気やった?」


ん? すごい親しげ。


「まあまあ、上がりー」


「はっ! お、お邪魔します!」


玄関広いなぁ。ちょっとした旅館みたい。

サンダルを脱ぎ、スリッパを履く。廊下を歩いて家の奥のほうに案内される。


庭の見える畳の部屋に連れて行かれた。広いなぁ。

10畳くらいあるんちゃう


「お茶入れてくるでな、座って待っとき〜」


「うちも手伝うで!」


「ええ、ええ、幸子ちゃんも座っとき〜」


うう、緊張するよ……

とりあえず幸子が座るのを見て自分も座る


「知り合いなん?」


「あれ? 言わへんかったっけ? うち昔ここに住んでてん」


1ミリも聞いてません


「子どもの頃とな、高校卒業してから昨年までな」


ん? ん?

ちょっとよくわからない、どういうこと?


「子どもの頃と? ん? え?」


「はは、ま、説明するほどのことでもないわ。なんせ昔住んでてん」


子どもの頃に住んで、高校卒業してからも住んだ?

どういうことだろう


「おばちゃん、ここ1人で切り盛りしててなぁ。たまーにご飯まで作ってくれとったわ」


そうだ、システム的なことがわからない


「えっと、大家さんってこと? 下宿ってどんな感じなのか全然わからへん」


「この家の一階がおばちゃんち、二階に5つ部屋があってな、それぞれに人が住んでんねん」


「ん? え? この家の中に沢山の人が住んでるの?」


「そやで?」


昭和……マジ昭和、意味不明

他人と、同じ家に、住む? あ、シェアハウス的な?


「……えっと、部屋に鍵はついてるんだよね?」


「鍵ぃ? ……どやったかなー、うーん、気にしたことないわ」


ああ、そうだよね、鍵かけない人だったね


そんな話をしてるとおばちゃんがお茶とせんべいを持ってきてくれた。



美羽がポ〜としてる間に幸子がサクサク進めるよ!

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