【5】働かざる者食うべからず
おばあちゃん助けて!
おばあちゃん! どこ! 今22歳の……あ、正確にはまだ21歳か、いやそんな小さなことはどうでもいい!
おばあちゃん!
幸子おばあちゃん……
て、あれ?
思わず幸子のほうを見てしまう
「大丈夫か?」
気遣ってくれる幸子に何も答えずマジマジと見つめる。
いやいや、昭和に幸子なんて山ほどおるわ! そんな偶然に縋るな!
できれば会いたい! 探せるかな……山本幸子……あ、待って、おばあちゃんは何歳で結婚したんだっけ? えーっと、……知らない、何歳で結婚したとか。お母さんに聞いて……いやだからスマホないんだって! いや持ってたって使えないんだよ! 落ち着け私!
「幸子、何か紙とペンある?」
大事な事だ。しっかり考えよう。
えっと、お母さんが生まれたのが昭和50年、西暦は……1975年、叔母ちゃんが2つ上だから、1975から、2引いて……おばあちゃんが初めて出産したのが1973年……今から3年後……
まだ、独身かも!
だとしたら旧姓だ!
山本じゃなくて、旧姓は、なんだっけ、えっと〜……
藤原だ! 藤原幸子だ!
あれ? なんか……どっかで最近この名前を聞いたような……
!!!!!
バッとまた幸子を見る
「いやさっきから何やねん、どないしたん」
「幸子、幸子の名字は何?」
「え? 藤原やで?」
藤原キターー!!!
え! うそ! え! 藤原! 幸子!
待て待て落ち着け! 同姓同名や!
よくある名前や!
「……誕生日は?」
「えー? なんやねん……11月10日やけど」
!!!!!
私は畳に倒れ込んで言葉にできずジタバタしてしまった
おばあちゃんやん! そんなことある?
え! 同姓同名で生年月日も丸っきり同じの他人なんかおる? いやおるかもしれんけど!
ほぼほぼ! おばあちゃんやん!
「幸子!」
私はガバッと起き上がって幸子を見る
「なんやねん」
ドン引きしてる幸子に私は抱きついた
「幸子ーーー!!」
「なんやねん! 頭いってもうたか」
良かった! おばあちゃんや! ほぼおばあちゃんや!
おばあちゃんが知らずに助けてくれたんや!
奇跡やー!
……これは、言わないほうが、いいよね、
うん、これは絶対言わない。
もしかしたら違うかもだし……
「みう、わかったから離してや」
肩をトントンと叩きながら幸子が離れる
「ひとまず、今日はここに泊まっていき」
うんうん! そうします!
「それでお盆明けやけどなぁ、うちも仕事があるしこのままここに置いておけんからなぁ。知り合いに住み込みで働けるとこないか聞いてみるわ」
住み込みで、働く?
「え? 働く?」
「そらそーや、働かな食うていかれへんやん、あんた金持ってないやろ」
はあああ、そうだ、スマホもなけりゃ財布もない、いや財布があったとてほとんどキャッシュレスだからほとんど現金も持ってない、いやだから、持ってたって昭和で令和のお金は使えない。
「……はい、おっしゃる通りです」
「ご飯もいるしなぁ、まかない付きのとこ探してみるわ」
おばあちゃん! こんなに若いときからしっかり者だったんだね! ありがとう!
「お……幸子、ありがとう」
「ええで、鶴の恩返し楽しみにしとくわ」
ふふ、おばあちゃん、面白い。大好き。
「あ! でも、今日は……」
ん? なぜか急に口ごもる幸子
「あ、なんか用事あったん?」
「ん? うーん。まぁ、大丈夫! どうにかするわ」
うわーん、おばあちゃんごめんねぇ
あ! もしかして、デートかな?
おじいちゃんとデート?
おじいちゃん! 若いおじいちゃんにも会いたいな! だって会ったことないもん!
「もしかして彼氏に会う予定だった?」
「あは、ばれてしもたか。まぁ、あとで電話しとくわ、大丈夫」
うはー! おじいちゃん! ごめんね! 今日はおばあちゃんは私のものだよ!
「電話するついでに何か晩御飯になりそうなもの買ってくるわ。みうはご飯炊いとってくれるか? 二合な」
「うん! わかった!」
幸子が出かけて行った。さて、ご飯を炊こう。
えっと、炊飯器は……
ここでイヤな予感、炊飯器はどんなものだろう? まさか炊飯器も何か回す系?
……あった。これだよね? ちょっと簡素な感じだけど、なんだか素朴で可愛く見える。
うんうん、これならいける。ご飯くらいは私だって炊いたことあるもんね!
さて、お米は……
米びつのボタンを押してシャーッと出すんだよね、どこ? あ、もしかして冷蔵庫? ……ないな
めちゃくちゃ探してやっと見つけた。米袋に入ったままだ。計量カップも一緒に入ってるけど、これどうやって計るの? どのくらいが一合なの?
ヤバい、全くわからない
スマホで検索……できない
え、わからないよ、わからないとき昭和の人たちってどうしてるの?
わからないことはスマホに聞けば、ほぼ解決だもんね
……スマホがまだない頃、どうしてたっけ




