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S↔R ~令和女子、昭和に放り出される~ 「1970年」マジありえない文化なのに人情に泣ける。そして未来へ繋がる……  作者: 髙井菜是


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33/65

【33】決意

商店街に着いて、下着屋さんを探してウロウロする

相変わらずアチコチで歩きタバコ。マジでカオス


下着屋さんを見つけた。商品を手に取って見てみるけど、どれも私の好みじゃないし、つけ心地も悪そう……

仕方がないからとにかくシンプルなやつを選ぶ

中古品よりはマシだ!

物価がイマイチわからないから、高いか安いかもよくわからない。他の商品と比べてできるだけ安い方を選んだ。


次は傘屋さん

こっちに来てまだ5日目だけど、薄っすら日焼けしたような気がする。シンプルな日傘を買う


化粧品も欲しいけどなぁ……とりあえずおばちゃんにもらった使いかけの化粧品がなくなるまではやめとこう


……一生昭和にいるわけじゃないよね?

ふと考えて、ブルッとする


それはもう考えない! 答えなんてわからへん


さあ! 行くぞ! もうひとつの目的地へ


一旦下宿屋へ寄って、買った物を置いて、帰りが遅くなることを伝える

おばちゃん絶対心配するからね、報連相は社会人の常識や!


私は気合いを入れて歩き出す


15分ほど歩いて到着


立ち止まって、幸子のアパートを見上げる


行くぞ


2階への外階段を上がる


深呼吸、スー、ハァー、よし


……コンコンコン


しばらく待つ


ガチャ


ドアが開いて幸子が顔を出す

「みう! どしたん」


幸子!

顔を見た途端なぜか泣きそうになる

「あ、あの、ごめんね、突然」

「えー? かめへんで? 上がり」


……なんか、思ってたより元気そうなんだけど

「お邪魔します……」


奥の部屋のテーブルのところに正座する。

幸子が麦茶を入れてくれる

……まずは謝ろう。自分のことばかりだった、て、恥ずかしくてもちゃんと伝えよう。そして幸子の幸せが何なのか、聞いて協力するんだ!

「……ごめんなぁ、みう」


……え?


幸子が申し訳なさそうな顔で麦茶をテーブルに置く。

私は意味がわからなくて言葉が出ない

「うち、自分のことばっかりで……みうに八つ当たりしたんや。ほんま、堪忍やで」


え、なになに。違うよ! 私は首を振る

「今日みうがアルバイト終わる頃を見計らって、下宿屋に行こうと思ってたんやけど、この顔で行ったらなぁ? おばちゃん心配しはるから……そやから、みうが来てくれて助かったわ」


「違う!」

幸子がびっくりする

「そうやない、私が……私の方こそ自分のことばっかりで……幸子に嫌われた、て落ち込んで……そうやないのに、無神経なこと言って幸子のこと傷つけた、ごめん!」

ダメだ、支離滅裂だ


幸子がふふっと笑う

「嫌ったりせんわぁ。うちのこと心配してくれたんやろ?」

「そうだけど……私、本当に何にも知らんから、いや、知らんからで済まへんねん。ほんまに、ごめん」


幸子の顔を見る

まだ青いし腫れてる……くやしい


「……うちなぁ、物心ついた頃、近所の子から、私生児、父(てて)無し子、って言って虐められてたんよ」


「……うん、和夫さんに聞いた」

「和夫兄ちゃん!? え、なんでそんな話になったん?」

「あ……うん、その……私生児って言葉を知らなくて、どういう意味か聞いたら、そんな感じのことを……」

「……うちが妊娠してるって話は?」

「それは話してないよ! 誰にも!」

「……そっかぁ。まあいずれはバレるんやろけど」

「うん……それで……シゲル、さんには?」


幸子が嬉しそうにふふっと笑う

「それがな、昨日の夕方会いにきてくれてな……」

私はちょっと警戒して体に力が入る。

「なんかなぁ……もう酒はやめる、すまんかった、て」

「えっ、ほんまに?」

幸子が微笑んだまま頷いた。


「一緒になりたいと思っとる、て」

……一緒になりたい?

「え! プロポーズ!?」

幸子が恥ずかしそうに頷く。

わああああああ! 私まで照れる!


「なんで? なんで突然……」

「うーん。……殴ってしまってめちゃくちゃ反省したとか?」

「反省して、プロポーズ?」

え、そういうもんなのかな

「うーん……」


あ、せっかくのいい話やのに水差してしまった!

「もともと、考えてたんちゃう?」


幸子がちょっと考え込むように首をかしげる

「……うちな、結婚したくて、子供が欲しいなぁとか将来のことどう考えてるん? とかたまに聞いてたんやけど、絶対話逸らすし面倒くさそうにしてたんよ。……ほんま、なにがあったんやろ」


え、なにそれ最低

「う、うーん……やっぱり殴ってしまって、めちゃくちゃ反省したんちゃう?」

「そやなぁ……あんな風に帰っていって……普段ならまたお酒飲んで夜フラッと来るんやけど、昨日は珍しく素面(しらふ)で夕方来たんよねぇ。何考えてたんやろ」

なんか、本当にクズみたいな……いやいや、反省してお酒もやめるって言ってるんやし


「反省、したんよ。それで幸子のことが大切や! ってなったんやと思うで?」


幸子が首をかしげながらも、ちょっと嬉しそうに

「そやろか」

と言った。

ふふ。幸子、可愛い


あ!

「そ、それで、妊娠のことは!?」

「うん、その時に」

「それで!?」

「びっくりしとったけどな、大切にするわ、て、ギュッとな、うふふ」


ふわーーー!!



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