↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
S↔R ~令和女子、昭和に放り出される~ 「1970年」マジありえない文化なのに人情に泣ける。そして未来へ繋がる……  作者: 髙井菜是


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/65

【26】動揺

!!!!!

「赤、赤……」

え、え、赤……ちゃん?


「あ、あんな? まだ確定ちゃうで? ……けど、多分……」


待って待って……え、えっと、ど、どうしよう

なんにも答えられない。

さっきからずっと、私なんにもわからない


「……まだ、病院には行ってないねん。だけどもう……2週間遅れてんねん」


そう言って幸子は自分を抱きしめるように膝を抱える。


……幸子も不安なんだ。そりゃ、そうだよね。でも、どうしたらいい? 何て言えばいい?


「アイツ……、シゲル、さんは、なんて?」

「まだ、言ってへん」

「……結婚、するの?」

「うちは……したいと思っとる」

「暴力振るわれても?」

「……結婚したら変わってくれる思うねん」


う、うーん、そんなものなのかな?

……あ! そうだ!

「幸子、未来ではな、シングルマザーなんか普通におるで!」

「シングル……マザー?」

「あっ、お母さんが1人で子供を育てるねん」

「……そんな、そんなんムリやわ! みんなから私生児って呼ばれてしまうわ!」


シ、シセイジ?

「……ごめん、幸子。シセイジって、なに?」


何も答えてくれない。

私、もしかして地雷踏んだ? ど、どうしよう。幸子のこと守りたいのに……


「……ひとりにしてほしい」


う、そう、だよね

「ごめんね……」

必死で絞り出してこれしか言えない


とぼとぼと、アパートを出て下宿屋へ向かう。


何もできなかった。幸子のこと、守る? 私が?

はは、何にも知らない、何にもできないのに?

未来でも、何にもしてこなかったし知識も中途半端。

こんな中途半端な私のせいで、幸子のこと、さらに傷つけた。絶対心細いに決まってるのに……


情けなくて申し訳なくて、だけどどうしたらいいかもわからないよ


ぼんやりしたまま下宿に着いた

「ただいま……」


おばちゃんが部屋から顔を出した

「あんたぁ、なにやってんのぉ。アルバイトちゃうかったん」


アルバイト?


「ああ!!」


忘れてた! ヤバい!

「おばちゃん! 今何時!?」


「……10時20分やで」


ヤバいヤバいヤバい!

くるっと向きを変えて走る!


自分からお願いしたのに! もお! 私最低や! 何にもできなかった上に遅刻までするやなんて!


喫茶店に着いた。めちゃくちゃ息が上がってる。少し整えてから……うぅ、入りづらい


カランカラン……


「いらっしゃい」

和夫さんがすごい目ヂカラで私を見る


「ああああの……すみません! 遅れました!」


「ああ、ええで。カウンター座っとき」


お客さんは、そんなに多くない。お手伝いに来てるおばちゃんと目が合ってペコっとする。

とりあえず、カウンターの一番奥に腰掛けた。


恥ずかしい、情けない、何やってるんだ私


コト、と和夫さんがお冷やを出してくれた。

「あ、あ、すみません」


和夫さんがジーッと見てくる

目ヂカラ! すごいから!


「何かあったんか」


何か……あった、あったけど、言えないよ

「あ、あの、えっと」

「またすぐに忙しなるで。話すなら今やで」


な、なに? なんかすごい見透かされてる感!


「……自分のことじゃないので、言えません」


和夫さんが、ふぅ、と溜め息をつく

「……幸子ちゃん」


身体がビクッとなる。

なに? エスパーなの?


「当たりやな」

「なんでわかったんですか!」


和夫さんがははっと笑う

「わからへんよ、1人ずつカマかけたろ思たら一発やったわ」


……カマかけた?

「ひっひどいです!」

「はは。そんで? 幸子ちゃんがどないしたん」

「言えません!」

「そうか。昼メシ食べるか? それとも朝メシ?」

「……あ。あの、本当にすみません。自分からお願いしたのに」

「あぁ、かめへんて。そんで? どっちにする?」

「あ……じゃあ、お昼でお願いします」


和夫さんがスッと厨房に入っていった。


はあああ

とりあえず、お水をいただく。喉が渇いていたからめちゃくちゃ美味しい


……大人ってすごいな、カマかけるやなんて、私には絶対に無理

いや待て、4つしか違わないんだった。私も歳だけなら立派な大人なんだよなぁ。うぅ、経験値の差かなぁ


幸子のこと、ちゃんと考えないと……。けど、何をどう考えたらいいの? 私は妊娠したことないからわかんないよ!


……幸子も、初めてのことなんだよね。絶対怖いよね。何をどうしたらいいか、幸子もわかんないよね


私に何ができるんやろ。……シセイジ、て、何やろ


ぐるぐると、出口のない迷路の中にいるみたい。そして幸子も多分……いやもっと不安な気持ちでそこにいるんやと思う。どうしたらいいんや!


頭を抱えていると、和夫さんがお昼の賄いのお皿をコト、と私の前に置いた。

「食べ」


顔を上げて、作り笑いで「ありがとうございます」と言った。


……とても食べる気分にならない。でもせっかく作ってくれたのに食べない訳にもいかない


重い手つきでフォークを握る

すると和夫さんが少しかがんで小さい声で言った


「わし、口は硬いで」


いやいや! いくらなんでも私が勝手に話していいことじゃない! 私は首を横にブンブン振った。


「はは、みうちゃんも口が硬いんやな」


……ひとつだけ、聞いてみよう

「あの……シセイジって、何ですか?」


和夫さんの目がピクっとした。そして目ヂカラが更に強くなる。


マスターの目ヂカラのイメージは、俳優のY.Yさんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。