【24】夢から覚めたら
はぁ
寝た気がしない。まだ2人は寝てる。
時計を見るとまだ6時……また電池切れとかじゃないよね
2人を起こさないようにそっと起きて自分の部屋に戻る。今日は喫茶店へ10時頃に行かないと。はぁ
……幸子、大丈夫かな。また殴られてないかな
はぁ
静かにトイレへ行き、台所を覗く。おばちゃんはまだ起きてない。はぁ
顔でも洗うか……はぁ
ガラッ!
「わぁ! びっくりした! なんやみうちゃん今日も早起きやな!」
飛び上がった。朝から元気すぎるよ、おばちゃん!
「おはようございます」
「おはよう。……眠れんかったん?」
「……あんまり」
「……そぉか、またあとで幸子ちゃんとこにでも様子見に行ったらええ」
「……だけど今日はアイツとデートだ、て……」
「アイツて……、はは。みうちゃんはホンマに幸子ちゃんのことが好きなんやね」
もちろん! 大好きさ!
「ここのみんな、大好きです」
「なんや照れるわ。みうちゃん今日はな、朝ごはんはパンやで。日曜日やから、おばちゃんもお休みやわ」
あ
「あ、あの、ごめんなさい、ちゃんと言ってなくて。今日はバイト先の喫茶店に朝から行くから、朝ごはんは……」
「……あぁ、アルバイトやな。何時頃行くん」
「10時頃の予定です」
「……あと4時間もあるで。軽く食べといたらどうや」
確かに
「はい。じゃあ……いただいていいですか?」
「そないにかしこまらんでも。ええで、ほなすぐできるからな、着替えてき」
なんか、みんなで喋るときはいいけど、なぜか2人きりだとかしこまってしまうな
身支度を整えて台所へ向かう。
「もうすぐできるでな、座って待っときぃ」
甘えさせてもらお
おばちゃんが、カチャカチャと準備してる姿をボーッと眺める。
お母さんを思い出した
まだこっちに来てたったの4日なのに、すごく遠い昔のことみたい
……ふふ、いつも「スマホ!」て言われてたなぁ。なくてもどうにかなるもんだな
「なんや、ニコニコして。思い出し笑いかぁ?」
そう言いながら紅茶を出してくれる。
「あ……。ふふ、はい。おばちゃん見てたらお母さん思い出して」
「お母さんなぁ、会いたいやろぉ?」
「へへ、そうですね」
チーン! とトースターが鳴った
バターを塗って出してくれる。
「ありがとう、おばちゃん。いただきます」
おばちゃんも一緒に食べる。サクサク。
おばちゃんが途中で「あ」と言って立ち上がった。
「おばちゃん、どないしたん?」
「洗濯機回してたん忘れてたわ」
あ!
「おばちゃん! 私、まだ使い方わからんのよ。教えて」
そう、結局まだ1回も使ったことがない。気づいたときにはすでに全部洗って干してあった。
「生活に慣れるまではなぁ、おばちゃんがしたろ、思てなぁ。……でも、よしゃ、教えたる!」
おばちゃんに付いて、台所の勝手口から出て洗濯機のところへ行く。
「これはなぁ、まだ1回目やねん。今から脱水やで」
ん? どういうこと?
「脱水したあと、もう1回こっちに入れてなぁ、それが終わったらまた脱水や」
ちんぷんかんぷんです
「えっと? 1回洗って、脱水。もう1回洗う? そして脱水……?」
「そやで。2回目はな、すすぎや」
わかんない
「まぁ、習うより慣れろ、やな。ほれ、ここから出して、こっちに入れるんや」
習うより慣れろか……はい。
「ほんでタイマーセットや! これ終わったらすすぎやで」
……ん? これ終わったらまた洗濯機の所に来て、洗濯物をまた戻すの?
え、めんどくさい……
一旦戻って食べかけのパンを食べる。
……このあとまた洗濯機か、なるほど、これは専業主婦やないと大変かもしれん
そのあとも洗濯機の使い方を教えてもらいながら、おばちゃんと色々話した。
もう、未来から来てることは知られたから、何も隠すことはない。
お母さんのこと、仕事のこと、……おばあちゃんのこと。
「おばあちゃんのお通夜の前日になぁ。そら大変な時に」
そうなんだよ。そしたらこっちでもおばあちゃんに会ったんだよ。確定じゃないしこれだけは内緒だけどね
……幸子。はぁ
そのあとは洗濯物の干し方も習った。
弘子ちゃんも起きてきて仕事にいくための身支度をしている。
さて、まだ時間あるなぁ
「お散歩でも行ってきたらぁ?」
うん、なるほど。のんびり昭和を見学しようかな
典子ちゃんに貰った靴を履いて出かける。
さて、どこへ向かうか
適当にアチコチ行ったら迷子になって、詰むぞ
ぽてぽてと、周りを眺めながら歩く。この辺って、どのあたりなんだろう。見覚えが、あるようなないような。でもあの商店街があの辺なら、多分うちのマンションも近いはずなんだよなぁ。うーん、50年も経つと全然違うのかな
あ、幸子のアパートに着いてしまった
……
そうだ、あの公園、じゃなかった、ナントカさんちの私有地? 空き地? そこに行ってみよう
もう少し歩く。
だいたい、なんでそんな所に居たんだろうなぁ
あ、ここここ
うーん、確かに、遊具もないし……
なぜかベンチはあるんだよなぁ
で、なんでここに着地したんだろう
周りを見渡してもピンとこない
いや、見たことあるような……ないような
……ま、いいや。戻ろ
来た道を戻ろうとすると、こちらに向かって歩く男性がいて、なぜか目に付いた
近づいてきて気づいた、アイツだ!
ドキドキする。腹が立つような、怖いような
あっちも私に気づいた!
……え? 目ぇ逸らした? ん? なんでだろ、絶対睨まれると思ったのに
そのままスッと通り過ぎていった。
ん? ん? なんだろ、なんか、印象が違うぞ
……いや、ていうか、今日デートや、て言ってたよね?
なんでアイツは1人で歩いてるん? 幸子の家に泊まってたんだよね?
……幸子!!
何があった!?




