【21】夢と現実と①
お前マジで
正志……マジで何言っちゃってんの?
私たち、おばちゃんを困らせないように色々考えて……いやまあ確かに答えは出なかったけど
どう言えば、おばちゃん困らないかな?
誤魔化す? うーん、いやだな
「なんやあんたら、鳩が豆鉄砲くらったような顔して」
だって……
「おばちゃん、それ聞いて、どう思った?」
あ、あ、やっぱこの質問取り消し! 待って、気色悪いとか言わないで!
「どないもこないも、ピンとこんわ」
ん? そんなもん?
シーンとしてたらまた幸子がぶっ込む。
「おばちゃん、みうが未来から来たのはホンマやねん。うち、この目で見たんよ」
「はぁ、そないなことがあるんやなぁ」
「え? おばちゃん、信じるの?」
「信じるもなにも……みうちゃんはみうちゃんやろ? 別にどっちゃでもええわ」
器! おばちゃん器デカすぎ!
「まあでも、納得やわ」
「え?」
「みうちゃん、未来におったから家事がなんもできんかったんやろ? さっき話してくれたやない、50年後は座ったままボタンひとつで家事ができる、てな」
う、確かに……
みんなが笑い出す。
「ほんまや、未来の人やから急須知らんかったんやね」
「洗濯機も初めてやったんやて?」
「あはは! 銭湯もや!」
なんか……めちゃくちゃ恥ずかしい
「でも、本物の未来の話、聞きたいわぁ」
「ホンマやね!」
「未来ではどんな生活やったん?」
「おばちゃんにも聞かしてぇな」
私は簡単に身の回りの話をした。
みんな、すごい目を輝かせてる。
「ペットボトルってのがあってな? プラスチックの透明な容器に色んな種類の飲み物が入ってんねん」
「洗濯機には蓋はひとつ、ボタンを押せばそれで完了、いいやつだと乾燥までやってくれるねん」
「銭湯は未来にもあるで! 私は知らんけど。だって行かへんもん!」
「一番すごいのは、やっぱスマホやな」
「あー! 初めて会ったときに言うてたやつや!」
みんなアレコレ聞いてくる。
だけど全部には答えられない。知らんだけであるのかもしれんやつとか、知ってても言葉で説明しきれんやつとか。もー! 語彙力!
話してると、静かにおばちゃんが片付け始める。手伝おうとすると「ええで、喋っとき」て言ってくれるけど、おばちゃん1人にさせるわけにいかんわ!
みんなで一斉に動いて、あっという間に片付いた。
まだまだ話し足りない。
おばちゃんは先に寝るわぁ、と部屋に戻っていった。
私たちは、典子ちゃんの部屋に布団を3つ、枕を4つ並べて4人で寝ることにした。ふふ、パジャマパーティみたい
「そういえば幸子ちゃん、最近全然タバコ吸ってないね? やめたん?」
「え! 幸子、タバコ吸うの?」
ショックや!
「あー、……うんまあな、なんとなくやめてん。それよりみう、あんたアレ、なんやったん?」
アレ?
「ほら、なんや本屋寄って、すっきりした、言うてたやん」
あぁ……
「うん、そやったね」
「ホンマや、なんやったん? なんや小学生向けの雑誌見てたよなぁ?」
みんなよく見てるなぁ
「あ、あれは、未来でむっちゃ有名な国民的人気アニメのキャラクターがな、表紙に載っててびっくりしたんよ。こんな昔からあったんや、て」
「そうなんやぁ。そんで? それが何でスッキリに繋がるん? また別のことぉ?」
めちゃくちゃ詰めてくるやん
「あ、あー、うーん……あの、な、実はな、」
みんながウンウンと聞いてくれる。
「みんながな、未来館で楽しそうにしてるのに、私は全然ワクワクせんかったんよ」
「……それは、だって、しゃあないやん。未来のこと知ってるんやもん」
「あ、いや、もちろんそれもあるんやけど……みんなは未来のこと考えて、こう、なんかキラキラしてるのに……私は未来に何も期待とかないし、夢なんてないな、て」
「あぁ、そういえばあん時、夢の話してたなぁ」
「うん、それでね、みんなと違って……私って、つまらない人間やなぁて思ったんよ」
「それでみうちゃん、元気なかったん?」
典子ちゃんはめっちゃ見てくれてる。
「へへ、でもな、あのキャラクターを見たときにぶわーっと色々思い出してん」
みんな頷いてくれる。
「あのアニメの劇場版を、初めて映画館で見たときの感動。めちゃくちゃワクワクしたんよ! おばあちゃんが連れてってくれてね、私の話をウンウンて聞いてくれて」
「なになに、みうちゃんがそんなにワクワクしたん? そのアニメっていう作品、どんなお話なん?」
ん?
「アニメっていう作品と違うで?」
「え? ん? アニメっていう題名やないの?」
「え、うちもアニメっていう作品やと思ってたわ」
えー!!
「……えっと、アニメっていうのは……漫画はわかるん?」
「漫画ぐらい知ってんで」
「その、漫画をテレビで放送するやん?」
「ああ、色々あるなぁ」
「それを、未来ではアニメって呼んでんねん」
みんなが、へぇ〜と頷き
「あれやんなぁ? テレビまんがのことやんなぁ?」
と、典子ちゃん
いや、なにそれ
アニメっていう言葉もまだないのかぁ……
「私が好きだったそのアニメはな? 未来からきたロボットがね、ドジな男の子を助けるために色んな未来の道具を出してくれるねん。それでその2人が友達みたいに仲良くて、他の友達ともケンカしたり協力したりしながら冒険するんよ」
「なにそれー! 面白そうやねぇ!」
典子ちゃんがジッと私を見て尋ねる
「みうちゃんは、ワクワクしたことを思い出してスッキリしたん?」
「あ……ふふ。それでね、思い出したんよ。私の夢」
女の子はめちゃくちゃ喋るので次へ続きます。もうちょっと付き合ってください。
(本当はまだまた喋り足りません)




