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S↔R ~令和女子、昭和に放り出される~ 「1970年」マジありえない文化なのに人情に泣ける。そして未来へ繋がる……  作者: 髙井菜是


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【16】人類の進歩と調和④

どれだけ待つのかなー

未来館だけは! 絶対! 何時間並んででも絶対に行く

おばちゃんに、みんなでいっぱい話すんだ!


スマホがあればなぁ……何枚でも撮れるのに。誰かがカメラ持ってくるもんだと思ってたのに、1人も持ってないって、全く理解できないよ。


地図を見ながら進む。

「あ、あれちゃう?」


見ると、めちゃくちゃ大きい建物。そして

人人人人人人人人人人人人人人人、人ー!!!!

いや周りもすごい人だけど、未来館の行列は日本館よりかなり多く見える

あれ? ていうか……

「入口から、日本館より未来館のほうが近かったんちゃう?」


幸子がアハハと笑う

「ほんまや」


幸子ー!!


「並ぶで」

4人で最後尾に並ぶ。

これ、何分待ちだろう……違う、何時間待ちだろう


2025年の時も待ったけど、比べ物にならないだろうな。スマホ予約もないし

待つためにゲーム機持ってきてる人もいたなぁ。私は友達と喋ったりスマホ見たり……


4人で喋りながら、周りを見渡す。

なんだろう、人の多さも違うけど、昭和と令和でなんというか……人が違う感じがする

服装とかはもちろんだけど……表情? なんか明るい感じがする


傘をさしてる人、疲れたのか座りこんでる人もいるけど、なんだろ、みんなすごく楽しそう

あ、令和の人たちも楽しそうではあったけど、何かが違う


あ……わかった。決定的に違う

スマホだ

昭和にはスマホがない。だから下を向いてる人が少ないんだ

歩きスマホもない、イヤホンもない、待ち時間にすることって、休むか、人と喋るか、それしかないんだ


私、すごい。すごいことに気づいてしまったぞ


1人でウンウンと頷く。


ジリジリと進む行列、立ち止まる、ちょっと進む、一気に進む、ジリジリ進む、立ち止まる。

まだまだ続くぞ。


長い長い列。

天気が悪いのが逆に良かった、これで快晴だったら日差しがたまんないよ


待ってる間、4人で色んなことを話す。

「みんな、どんな仕事してるの?」


「うちはなぁ、百貨店で販売員やってるんやで」

あぁ、弘子ちゃんっぽい


「私は事務員やで」

「うちも事務員やけど、典子ちゃんとこみたく大企業やないからなぁ」


「え、典子ちゃん、大企業で働いてるの? なんていうところ?」

「キンダイ工業やで。」

「え! キンダイて、あのキンダイ? すごい! めちゃくちゃ有名やん!」

こんな昔からあるんや! すごい!


「な? すごいやろ? 典子ちゃん優秀やねん」

なぜか幸子が誇らしげ


「でも、なんとなく幸子が事務員って、ちょっと意外かも」

あのおばあちゃんが、事務員……


「どんなイメージか知らんけど。いやな、たまたま近くの会社が事務員募集してたから、まあええか、て」


軽いノリ! 幸子らしい。

「弘子ちゃんはなんでわざわざ大阪まで出てきたん?」


「うちな、夢やってん! 中学のときなぁ、親が初めて大阪の百貨店に連れてきてくれて、そらもう、お姉さんたちが眩しくてカッコよくて!」

「典子ちゃんも、キンダイ行くのが夢やったん?」

「うちは別に夢なんかなかったなぁ。少しだけ成績が良かったから両親が期待してくれてなぁ。うちは兄弟が多いから少しでも家計の足しになればな、くらいやね」

「幸子は? 夢なかったん?」

おばあちゃんの夢はなに??


「夢……夢ではないけど、料理人ってちょっと思ったことあるなぁ。ふふ、昔家族に料理作ったときに褒められてな、嬉しくて料理人ええな、て」


「料理人? あ、幸子っぽいかも〜。なんでならんかったん?」


3人が顔を見合せる。え、また何か変なこと言った?


「なんで、て……女が料理人て……なぁ?」

「うん、あんまり聞かんよねぇ」

「料理人は男の世界やからね」


え、昭和は女の人は料理人になっちゃダメなの?

「なんで女だとダメなの?」

「いや、ダメってわけじゃないと思うけど……それより、みうは? みうの夢はなんなん」


私の夢?


……私の夢、え、なんだったっけ

ちょっと考えてたら、前に並んでる知らないおばちゃんが話しかけてきた。

「若い子は夢がいっぱいでええなぁ」


みんなで愛想笑いする。

なんとなく、別に夢なんて特にない、と言いづらくて話を逸らした

「じゃあ、夢が叶ったのは弘子ちゃんだけなんやね」


「……うちな、また夢できてん」

「え、そうなん? 初耳やわ!」


典子ちゃんも聞いてなかった弘子ちゃんの夢


「うちな、今は販売員やってるやろ? そしたらなぁ、この服、誰が作ったんやろ、とか、誰が考えたんやろ、お客さんを喜ばせるってすごいなぁ! て」


「え、弘子ちゃん、まさか」


「へへ、うん、洋裁学校に行こうか、て思ってんねん」


「仕事しながら? 夜、学校行くん?」


「うん、そうしよ、思てる。そんでその先は洋裁店で住み込みで働いて、いつか自分で服を作って、この大阪で、大都会で、自分の作った服をたくさんの人に着てもらいたい」


……すごいなぁ、自分が何したいかちゃんと考えてどうやるかも決めてるんや。まだ20歳やのに……私は……

あれ? 私も、たまたま近くの会社が事務員募集してたからそこにした。ちょ、幸子と同じやん! これってやっぱりDNAかな?

ちょっと可笑しくて1人でふふっと笑った


「結構、進んだね。思ってたより早く入れるんちゃう?」

「ほんまやねぇ。次どうするか決めとく?」

「多分出た頃にはお昼やね。どっかでお弁当食べてからにしようか」

「月の石もみたいけどなぁ。ものすごい人気なんやろ?」

「ソ連館もえげつないらしいで」


また前のおばちゃんが会話に入ってきた

「ソ連館ほんまえげつないで。アメリカ館もなぁ、月の石見たさに4時間待ちの日もあったらしいで。知らんけどな」


4時間……みんな絶句した。


「……あとで、一応近くまで行ってみよ、そんで行列見てから決めよ?」

「そ、そやね」


4人でいっぱい喋ってたからか、待ち時間はそんなに苦痛じゃなかった

どんどん行列は進む。


入口が見えてきた!

三菱未来館!


やっと見えてきたぞ!

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