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S↔R ~令和女子、昭和に放り出される~ 「1970年」マジありえない文化なのに人情に泣ける。そして未来へ繋がる……  作者: 髙井菜是


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【15】人類の進歩と調和③

いよいよ出発!

みんな自分のバッグにお弁当を入れる。私はおばちゃんから借りた「ハイカラ」なバッグに入れる。

よし! 準備OK!


玄関にキャッキャ言いながら向かう。

……あ


待って、私

ビーチサンダルしかないんだった!

ムリムリ! さすがにムリ!

これは昭和も令和も関係無しにムリなやつだ!


さっきの気分爽快はあっという間にどっかに飛んで行った。

「……幸子、私、靴がないよ。どうしよう」

「あ、ほんまや、うちのビーチサンダルしかないか」

「みうちゃん、靴のサイズなんセンチ? 私、使ってない靴持ってんで」


典子ちゃーん! 神!

「24です! 23.5でいけることもあるよ!」


「はぁ、大きいなぁ。でもすごい、ちょうど良かった。私のお母ちゃんがな、私が荷造りしてるとき手伝ってくれたんやけど、間違って弟の靴入れててん。それがな、その靴、おじいちゃんから新品で買うてもろたんをお母ちゃんが知らなくてな。ふふ。弟むっちゃ怒っとったみたいやわ」


「え、でも、弟さんに返さんでええの?」

「わざわざ靴返しに帰るのもなぁ。弟の高校入学のお祝いやったらしいから、返さな返さな思てるうちに1年以上も経ってしまったんよ〜。もうあのサイズは入らんからいらん、てだいぶ前言われたんよ。ちょっと待っててな」


2階に取りに行ってくれた。

持ってきてくれたのは新品ピカピカのスニーカーだ。


「ええの? こんな新品……サイズ24センチ、すごい、こんなことある?」

「ねー? ほんまびっくりやわぁ。うちは22センチやから使い道なくて困ってたとこやねん。みうちゃん使って〜」

「ありがとう! 本当に本当にありがとう!」


ピッタリで新品の靴! しかも歩きやすそうなスニーカー! 良かったー!


「こんな大きいズック履かれへんかったからホンマにちょうど良かったわぁ」

「……ズック?」

「? ズックって言わへん?」

「……スニーカーじゃなくて?」

「すにいかあ?」


あ、ああ、うん。察し

「ごめん、間違った。ズックやね」

ということにしておこう。


「あんたら、ほら、これ持っていき! 雨合羽、ちょっと古いけどな、傘は邪魔になるでな」


そう、なんか台風の影響で天気悪いらしい。残念だけど、人が少なくなるかもだし全然OK!


「ありがとう、おばちゃん!」

「「行ってきまーす!!」」

「行ってらっしゃい! 気をつけてなぁ!」


みんなで話しながら自然と、私と幸子、弘子ちゃんと典子ちゃんに分かれて歩く。


「みう、新しい生活頑張ってるみたいやなぁ」

「へへ、うん」


駅に近づくにつれどんどん人が溢れてくる。

でも私は知っている。未来の万博にも行ったし、なんなら今から向かう万博も未来では記念公園になってるからね。そこも行ったし太陽の塔だって見たことあるんだ


それにしても……人、多すぎん?

電車に乗るのも大変! はぐれないように幸子に必死について行く。弘子ちゃんと典子ちゃんもしっかりついてくる。


もしはぐれたら……

想像しただけでゾッとする

スマホ、ないんだよ? え、みんな平気なの?

ここどこ? も調べられないし、今ここにいるよーって知らせることもできないんだよ?

昭和、ヤバすぎ


絶対はぐれないよう幸子のシャツをギュッと握る。

「幸子」

「大丈夫かぁ? すごい人やなぁ」


会場の入口に着いた。

もー!!! 人! 人! 人!

エグいて! 私の知ってる万博と全然違う! マジでヤバい! 異常やわ!


なんかもう、熱気? というのか、なんだっけ、えっと〜、カオス! そう、カオスだ!

人の渦に巻き込まれてしまいそうで怖くなる

私の知ってる世界では経験したことのない熱がある


そんなことを考えながら目が回りそうな人の群れの流れのまま、いつの間にか入場していた。


な、に、これ……

すご……すごい! すごーーーい!!


人の多さもすごいけど、なんだろう、うぅ〜語彙力! 

圧倒される


多分4人とも口が開いていたと思う

見渡す限り、別世界にきたみたい

ま、私のタイムスリップのほうがすごいけどね


弘子ちゃんが興奮気味に指さした

「あれ! あれやんな! 太陽の塔、あれやんな!」


その方向を見てみる

そう、だね。多分あれだね

するとすぐ近くにいた知らないおばちゃんが答えてきた。


「そやでぇ。あれが太陽の塔や」


弘子ちゃんと典子ちゃんが手を握り合ってキャアキャア言ってる。


私は

あ、まだ幸子のシャツ握りしめてた。ごめん、しわくちゃになっちゃった


「どこ行くどこ行くー?」

幸子も興奮してるみたいでしわくちゃに気づいてない。良かった


「アメリカ館と日本館とソ連館と未来館やんな、全部行きたいよなぁ」

「うんうん、みんなの行きたいとこ全部行こ!」

「近い順に回って行くか……うーん。近いんかなぁ。よくわからんけど、多分、日本館か未来館かな」


幸子が地図で調べてくれた。

「よし! 行こう!」

「まずは太陽の塔のほうに行かへん?」

「そやね!」


太陽の塔の近くまで行くけど、人だらけでほとんど近寄れない。

だけど、見れたからね、良かった

あー! スマホがあればなぁ! めちゃくちゃ映えるのに!


「じゃあ次は日本館に行こうか!」

みんなルンルンで向かう。


そして、絶望する。


「なん、これ」

「これ、日本館に並んでる人?」

「え、嘘やろ」

「これ、入れるん?」


先が見えない。何百人いるのこれ、何分待ち?


私たちが立ちすくんでいると、また知らない別のおばちゃんが話しかけてきた。


「あんたたち日本館はまだ少ないほうやでな、ここなら入れると思うでぇ。おばちゃん前にきたことあるけど中広いでぇ。結構時間かかるで」


ちょっと、待て。整理しよう

「少なくて、これ。で、今日1日で、4つ」

「……ムリちゃう?」

「アメリカ館とソ連館は特に人気あるっていうてたよな」

「未来館もや」


みんな肩を落とす。


典子ちゃんが口をひらく

「日本館は、やめとこうや。私、日本館も行きたかったけど、それよりも絶対外せないのは未来館やねん」

「……そやな、うちもアメリカ館めっちゃ行きたかったけど、未来館だけは外せんな、と思っとった」

「確かに。うちも未来館は絶対行く思てたな」

「おばちゃんにお土産やね!」


みんなで顔を見合わせ、笑顔で頷く。

「未来館だけは、絶対行くで!」

「おー!」



開催年| 1日平均 | 1日最高 | 広さ

2025年| 15.8万人 | 22.5万人 | 約155ヘクタール

1970年| 35.1万人 | 83.6万人 | 約330ヘクタール


ヘクタールって言ってもよくわからないよね。

2025年は東京ドーム約33個分、1970年は約71個分。

※ネット調べ

参考までに調べてみました〜


ちなみに、美羽たちが行ったこの日(8/15)は台風の影響で荒天だったにもかかわらず、なんと693,364人の入場者数だったらしいよ!昭和の人たちの熱、すごいよね!

現代の私たちからすると、まさにカオス!

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