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S↔R ~令和女子、昭和に放り出される~ 「1970年」マジありえない文化なのに人情に泣ける。そして未来へ繋がる……  作者: 髙井菜是


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【14】人類の進歩と調和②

お……幸子来た♪

とりあえず、壁時計は弘子ちゃんが自分の腕時計を見ながら合わせてくれた。


もう7時半を過ぎていた。

起きたとき、そもそも6時半じゃなかったってことか

適当すぎる


私は先に食べ終わって「ご馳走様でした」と言いながら思った

多分、自分の分は自分で洗うんだよね……


みんなの様子をチラチラ見ながら流しに持って行く。

えっと、スポンジと洗剤は……この水の溜まった桶は何だろう?

なんか昭和の洗い方とかあるのかな。この前、幸子んちで私も皿洗い手伝っとけば良かった。

……聞こう、どうせ何も知らない可哀想な子やと思われてるはずだ

「あのぅ、洗い方が分かりません」


みんな一斉にこっちを見る。

「あぁ、みうちゃん、ええで? そこ付けといてくれたらおばちゃんが後でまとめて洗ったるから」


う、でも……

「……あの、後で洗い方を教えてください」

今そのままにしたら、多分ずっとできない。それはダメな気がする


「ほーか? ……そやな、後でちゃんと教えたるわ!」


やり取りを見て弘子ちゃんと典子ちゃんが笑顔でウンウンと頷いてる。


なんだろう、なんかすごくホッとした

麦茶のおかわりを入れてまた席に着く。

みんなが食べ終わるまで待とう


「なぁなぁ、どこのパビリオン行く? うちはなぁ、アメリカ館や!」

「アメリカ館ええなぁ、私は日本館がええなぁ。日本の歴史や文化が見たいわぁ」


弘子ちゃんはバリキャリって感じだな。典子ちゃんはおっとり大和撫子って感じ。


「みうちゃんは? どっか回りたいとこあるー?」


回りたいとこ?

いや、昭和のパビリオンは全然わかんないよ


「おばちゃんは未来館がええなぁ」

え、おばちゃん行かないんじゃなかったっけ?


「未来館見てきて教えてな?」


あ、そういうことか

「はい! 見てきます!」

未来のことは任せて!


そんな話をしてると幸子がやってきた。

「おじゃましまーす!!」


典子ちゃんがサッと立って廊下を覗く。

「幸子ちゃーん、みんなこっちやで〜」

「ああ! 典子ちゃん、おはよう!」


ミシミシと廊下を歩いて幸子がやってきた。

ああ、幸子おばあちゃん、ほぼ確おばあちゃん、会いたかったよ!


「幸子ちゃん、麦茶飲むか〜?」

そう言いながら典子ちゃんがグラスに麦茶を注ぐ。


「おおきに〜」

幸子が席に着く。


「おはよう、幸子」

「おはよう! ちょっと早く着いてしもたわー」


ふふ、おばあちゃんちょっとせっかちだったもんね。


弘子ちゃんがシャキシャキ聞く。

「幸子ちゃんはどこのパビリオンに行きたいー?」

「そやなぁ、うちはソ連館やな!」

「ああ! ソ連館な! そこも面白そうやなぁ!」


……それん館?


それん、それん……聞いたことあるな

「……それんって、ソビエト連邦のこと?」

「そやで!」


うわ、その国、なくなるで?

あんまり覚えてないけど、確かそう習った

これ絶対言えない


そんな話をしてるとおばちゃんが静かに席を立った。

見てると何やらアルミのような容器をシンク横のスペースに4つ並べて、おにぎりやおかずを詰め始めた。


……洗い物のタイミングはいつなんだろ


みんなでワイワイ話してるのを作り笑いで頷きながらおばちゃんの方をチラチラ見ていた。


お弁当を詰めて私たちのいるテーブルに持ってきた。

「あとは風呂敷で包んでな」


風呂敷……すごい、本当に使うんだ

するとそのまま流れるようにおばちゃんがシンクのほうに向かった。

洗う? 洗うの? ちょ、教えてってば


慌てて立ち上がってシンクに向かう。

「あのっ洗い物っ」

「あぁ、ええんやでぇ? みんなとお喋りしとき。また後で教えたるから」

「あ、あの、でも、でも……」

このまま何もできないのは、やだ!


「できるようになりたいです! 教えてください!」

めちゃくちゃ大きい声になってしまった


幸子たちのキャッキャ話す声がピタッと止まって一瞬シーンとなった。すると幸子が

「ええやん! みんなでやろうや!」

「そやね! みうちゃん、教えたるわ!」

「みんなでやったらすぐ終わるわ〜」


3人ともやってきた。

「あんたらこないに集まったら動きづらいわ!」


おばちゃんは座ってて、と、4人で洗うことになった。

「ここはなぁ、ママレモンやから洗いやすいねん!」

「わかるわぁ、うっとこ田舎やからまだ粉のやつ使ってるんやでぇ!」

「みうちゃん、これがスポンジ、これが洗剤やで。ほんでな、こう、このくらい洗剤を付けてな……」


みんながひとつひとつ細かいところまで、やってみせて説明してくれた。

私はフンフン、なるほど、と思いながらやってみる。

自分でも、モタモタしているのがわかる。それでも、

「うんうん、そうやで、みうちゃん上手やで」って褒めてくれる。


4人でワイワイ言いながら、洗い物は終わった。

洗い物なんか、いつでもできる、調理実習でもやったことあるし、何も難しいことじゃない

そう思いながらも家では全くやっていなかった


お茶碗は、水に付けておかないと取れにくくなるとか、油物をこすったあとにグラスを洗おうとすると油移りするとか、そんな細かいところまで全く想像ができてなかった


初めて、本当の皿洗いをした気がした

清々しいまである


これ、言いたい。大袈裟かもしれないけど

「あの! みんな! ……ありがとう!」


3人が顔を見合わせたあと、嬉しそうな顔で笑ってくれた。


「さぁ、あんたら早く出んと行きたいとこ全部回られへんでぇ」


美羽、できたね! ちゃんと自分で言えたね! 偉いぞ!

「門をたたきなさい。そうすれば、開かれる」て言葉があったのを思い出したよ!

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