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S↔R ~令和女子、昭和に放り出される~ 「1970年」マジありえない文化なのに人情に泣ける。そして未来へ繋がる……  作者: 髙井菜是


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【13】人類の進歩と調和①

美羽、寝坊するなよ。

チュンチュン


……ん、うーん

見慣れない天井、見慣れない畳……そう、昭和だ、昭和の下宿屋だ

今日はみんなで万博だ! ふふ、楽しみ

あれ? 目覚まし……まだ鳴ってないよね。おばちゃんが昨日貸してくれて……ああ! やばい! 目覚ましセットする前に寝落ちした!

今何時? 時計を取って見る。


11時!?

ヤバい! え! 誰も起こしてくれなかったん?

置いて行かれたん? ひどい!!


悲しすぎて涙目になる

しばらく呆然としてたけど、トイレに行きたい


ずーん、と落ち込んだ気持ちを引きずりながらトイレへ向かう。


廊下に出ると、ふわっとお出汁のいい匂いがする。

あぁ、おばちゃんがお昼ごはん作ってるのかな?

私は置いて行かれたしお金もない。おばちゃん、私にもお昼ごはんくれないかな?


トイレを済ませて台所へ向かう。

おばちゃん、おにぎりを握ってる。あ、何か言わないとまた幽霊とか言われるかも。

「……あの、おはようございます」


おばちゃんがこっちを見てニッコリして

「おはよう! なんやみうちゃん、えらい早いやないの」


ん? 早い?

「え、あの、もう11時ですよね?」

そう、そして私は置いて行かれたんだ、悲しい。


「11時? なに言うてんの、まだ6時半やで?」


……ん?

「え、あの、でも……」

キョロキョロして台所の壁時計を見る。


6時半だ……

あれ? でも

「あの、昨日お借りした時計が11時で……」


「ほんまぁ? 電池が古かったんやなぁ。あとで新しい電池とりにおいで。朝ごはんあるでな、顔洗って着替えてき」


なんだぁ、良かった〜。置いて行かれたかと思って勝手にいじけてたわ、恥ずかしい


着替えてまた台所に向かおうとしてると典子ちゃんが起きてきた。

「おはよう」

「あ、おはよう、典子ちゃん」

「みうちゃん今日は楽しみやなぁ」

「うん!」

置いて行かれた、て疑ってごめん


台所へ行って、椅子に座る。


「みうちゃん、こっちおいで。お椀はここ、お茶碗はここ、お箸はここにあるでな」


「あ! あ、はい」


えっと、えっと、お椀……どれ使ってもいいのかな。お茶碗もなんかいっぱいある。

おばちゃんのほうをチラチラ見ながら選ぶ。


おばちゃんは気にしてないみたいでボウルに入った卵をかき混ぜてる。

ていうかね、さっきから匂いするなぁとは思ってたけど、魚! そこで焼くの? ……グリルなんかないんだね。

いや、煙! わ、わ、わ、煙がすごいことになってるよ! え、それで合ってるの? 台所すごいことになってきたよ!


おばちゃん普通の顔で

「もうすぐ焼けるでぇ」

とか呑気に言ってる。


慣れない手つきでお味噌汁とご飯をよそってテーブルに着く。

おにぎりが沢山置いてある。あ、もしかして万博へ行く私たちのために?


おにぎりを見てたらおばちゃんが、

「それな、今日のお弁当やで。みんなで食べ。あとで包んだるからな。あとな、水筒もあるで。昨日の晩に麦茶沸かして冷やしといたからな。入れて持っていき〜」


すごい、おばちゃん!

「ありがとうございます」

おにぎり、俵型だ。懐かしいな、おばあちゃんがたまに握ってくれたな。塩加減が最高だったなぁ。


焼き魚を出してくれる。

その頃には典子ちゃんも弘子ちゃんも着替えて台所に集まってきた。


「わぁ! おばちゃんおおきに! おにぎり美味しそう!」


本当に美味しそう。おばちゃん好き。


「隣の奥さんが言うてはったわ、万博はなんでも高いからな、行くなら弁当いるで、てな」


そうそう! 2025年の方もめちゃくちゃ高いって聞いてたからコンビニでお弁当買って行ったわ!

ここでは話せないな……


早く幸子来ないかなぁ。8時半に下宿に来るって言ってたけど……今何時かな?


壁時計をチラッと見た。


……6時45分?

え、起きてから15分しか経ってない?

んなバカな。もう30分は経ってるはず


「あの……時計おかしくないですか?」


みんなが時計を見る。おばちゃんが

「ほんまや」

と軽く言うと、弘子ちゃんがパッと立って時計のところに行く。


「おばちゃんまたネジ巻いてなかったやろ〜」

と言いながら時計の扉を開けて何やら取り出して時計の文字盤の所に刺してギッギッギッと巻いている。


私は何をしているのかわからなくて典子ちゃんに聞く。

「あれ、なにしてるの?」


「……え? ネジ巻いとんのよ?」


ネジ……なんで?

私が首をかしげていると

「お嬢様は時計のネジを巻いたりせんのやねぇ。お手伝いさんがおったん?」


「え、あ、いや……」

と私が困っていると


「あ、あ、いいんやで? 無理に話さんでも」


なんか、気を遣われてしまった

察するに、巻かないと時計は動かないってことなんだろう


え? でも……

「もし家中の時計が止まってしまったら、どうやって時間の確認するん?」


私の素朴な疑問に、みんなが顔を見合わせる。


「どう、て……。テレビとかラジオとか……電話で聞いてもいいし」


「……電話で聞く? あ、誰か友達とかに?」


またみんなが顔を見合わせる。

え、何か変な事聞いたん?


「時報、知らないんやね。あとで教えてあげるね」


え、なに、昭和にしかない何か? 現代にないの?

いや、みんな、なんか気を使うような何とも言えない雰囲気になってる。可哀想な子やと思われたんじゃない? やだもう。


各自自炊のはずが、なんだかんだと世話をやくおばちゃん。

幸子も弘子&典子もいつものことなんだろうね。


※皆さんは時報知ってます? 美羽だけかな、知らないの

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