第1章・5幕 再捜索
今回の登場人物
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◎灰谷家
・灰谷 墨子 (はいたにすみこ)
蛭子里の生まれで、朝友と喜朗とは幼馴染。母子家庭だったが、半年前の冬に母と姉が行方不明となり、灰谷家へと嫁ぐ。非力だが賢く、里でも若く美人との噂。
・灰谷 美継 (はいたによしつぐ)
朝友と墨子の息子。純粋無垢で、母・墨子を慕う健気な少年。真っ白い甚兵衛が特徴的。
・灰谷 朝友 (はいたにあさとも)
墨子と喜郎の幼馴染みで、墨子の旦那。墨子の境遇を想い、結婚に至る。里に小さいながらも畑を管理している。里でも良好なイケメン男子で通る。
ーーー
・水戸部 雅代 (みとべまさよ)
喜朗の妻。育ちが悪く、喜朗の人の良さを利用する。美貌とスタイルは里でも墨子に引けを取らない上、それを武器として生きてきた。
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【前回までのあらすじ】
蛭子里に住む墨子は、山菜採りに北の森へと向かった、旦那・朝友と幼馴染・喜朗に合流する為、北の森へ、息子・美継と向かう。
森で、朝友と合流するも、喜朗の姿は見えない。朝友は帰宅するも、墨子と美継は少し森を散策する。
美継も消え、墨子は探し回る内に蛭子神社へと辿り着くと、美継を発見。彼は喜朗を見たというも、時間を掛けても神主・神籬すら見つからず、一旦帰宅をする。
墨子らが健右衛門と雅代の関係を疑いながら、帰宅すると、朝友はその件は保留にした。そして翌日に、神社へ喜朗を探しに行くと二人を安心させた。
一方、夜九時に、良からぬ企みをする勝巳は、灰谷家へと向かうが、健右衛門が訪ねてくると、その企みは失敗する。
その頃、雅代の元を訪ねる朝友は、寂しそうな雅代に一線を越えてしまうのだった・・・
◎和都歴450年 7月13日
置田村・神奈備・蛭子里・灰谷家 9時
「おい!黄田組だ!」
「…ん?ん…何?」
朝から朝友の大声で起こされる墨子。
朝友が、玄関で黄田組らしい男に何やら食料等を渡している。
「よし。ここは黄田八太郎様の治める地となる。無論、何か野党や害獣に困れば我々が対応する。以上だ。」
黄田組の男はそう言って次の家へと向かっていった。
「タダでさえ少ない少量なのに…」
墨子が愚痴りながら部屋の中へと戻る。
「ちょっと出てくる。」
朝友は走って家を出て行った。
◎水戸部家
「何?出す物がないってどういうことだ?」
黄田組員が雅代に怒鳴りつける。
「じゃぁ、そのカラダでもいい。今直ぐだ!」
「いやっ!」
玄関で雅代を押し、家の中へと倒す。
「やめろ!」
朝友が黄田組員を引きずり出す。
「これをやる。ここはこれで勘弁してやってくれ。」
朝友は更に食料を渡す。
「…ケッ!お前、この女の何なんだ?」
「友人だ。早く行け、それとも黄田組はただのケダモノなのか?組長がそれを許すのか?」
「知ったようなことを…まぁいい、わかった。今月は良いだろう。」
そう言って黄田組員は去っていく。
「ありがと…」
雅代は俯いてお礼をボソっという。
「無事でよかった。喜朗を探しに行ってくる。」
「どこへ?」
「蛯子神社へ行くよ。」
「き、危険よ!行かないで!」
雅代は朝友に抱きついて止める。
「喜朗の事もあるけどー」
朝友は雅代の両手を取る。
「ー最近は熊から黄田組と、治安も悪くなる一方だ。神籬さんに相談してくる。」
「でも、だからって貴方が行くことじゃー」
「ーもし戻らなかったら、美継を頼む。そして健右衛門さんに本格的に蛭子神社の巡回をお願いしてくれ。」
朝友の目から決死の覚悟の様なものが伝わる。
「朝友…」
ー・・・
雅代は、深く口づけをする。
「…雅代さん?」
「貴方は素敵…だから、なんか私、嫌な女だって分かってたけど、そうなれないみたい…貴方の、朝友の決断には従うけど、最後にまた立ち寄って欲しい。お願い。」
「…雅代さん…わかったよ。でも君は嫌な女じゃない。喜朗が帰ったら、しっかり迎えてあげて欲しい。」
そう言って朝友は家へと戻っていった。
◎灰谷家
朝友が帰宅すると、墨子は、美継と釣り道具を揃えて家を出るところだった。
「あ、じゃあ、言われた通り、釣りに行ってくるわ。」
墨子は道具を整理しながら玄関へと出てくる。
「ああ、気を付けてな。俺は神社にもう一度、喜朗を探しに行くよ。」
朝友が親指で神社の方角を指す。
「あ、お願いね。」
「ああ。」
「ねぇ、前に私と美継が神社に行ったときなんだけど…」
墨子は思い出したように朝友に話しかける。
「ん?どうした?」
「帰り道、何か…スゴく気持ち悪くて…」
「気持ち悪い?」
「誰かに付けられていたような…」
「まさか?それこそ、喜朗じゃなかったのか?」
「そしたら声をかけてくるわ。」
朝友と墨子の意見が割れる。
「熊とか?」
「…喜朗、大丈夫かしら…」
「…とりあえず、俺がなんとかする。2人は魚を頼むよ。」
そう言うと、朝友は、出発の準備をしに倉へと入って行った。
「…美継、行こっか。」
「うん。」
墨子と美継は谷川へ向かうため、まずは北の森へと向かった。
次回2025/8/21(金) 18:00~
「第1章・6幕 色恋余興」を投稿予定です。
※8月はお盆休み・強化月間です。
期間中は毎週(火)(金) 及び祝日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




