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神隠し ~蛭子神社の怪異~  作者: 船橋新太郎
第1章・和都歴450年 7~8月 ~灰谷 墨子編~
21/22

第1章・19幕 相次ぐ謎

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


◎灰谷家


・灰谷 墨子 (はいたにすみこ)

蛭子里の生まれで、朝友と喜朗とは幼馴染。母子家庭だったが、半年前の冬に母と姉が行方不明となり、灰谷家へと嫁ぐ。非力だが賢く、里でも若く美人との噂。


・灰谷 朝友 (はいたにあさとも)

墨子と喜郎の幼馴染みで、墨子の旦那。墨子の境遇を想い、結婚に至る。里に小さいながらも畑を管理している。里でも良好なイケメン男子で通る。


・灰谷 美継 (はいたによしつぐ)

朝友と墨子の息子。純粋無垢で、母・墨子を慕う健気な少年。真っ白い甚兵衛が特徴的。


・灰谷 儀兵衛 (はいたにぎへえ)

朝友の父で墨子の義父。編み笠職人で、口数は少なく、嫁に先立たれてからは家事は墨子にお願いしている。神奈備の中心まで傘を売りに行くことがある。


◎旅人 


・忌部 耕助 (いんべこうすけ)

ある場所で仙術を幾つか修得したという神出鬼没の謎の中年。頭は禿げ上がっているが、宣教師の様な服を纏い、紳士的な振る舞いを見せる。若い男性を愛でる趣味を持つ。


・雪平 若子 (ゆきひらわかこ)

忌部の教え子。中性的の魅力が溢れる美男子。紳士的であるが、殺しを生業とする。化粧とお香を愛する自己愛と同性愛を重ね持つ。暇があれば常備するスカーフを手で靡かせる。


※『ケダモノたちよ』『~監査人・三ツ谷 華~ 』で殺し屋と判明


ーーー


・新堂 玲 (しんどうれい)

黄田組の一員。神奈備の貧民の出自。蓮太らと同じ歳でありながら、寺院に行かず、黄田組の使いから活躍し、大胡田の弟分として活動。寺院には行かずとも、書物など独学で知識を学び、知性的でもある。漆黒の装束で、ワイルドな風貌ながらイケメンで、ハスキーボイス。


・神籬 蓮庵 (ひもろぎれんあん)

置田村北部・神奈備の沙汰人で副統括。山奥の蛭子里近くの蛭子神社の神主。長らく消息不明とされてきたが…




■ ▢ ■ ▢





【前回までのあらすじ】


蛭子里に住む墨子は、山菜採りに北の森へと向かった、旦那・朝友と幼馴染・喜朗に合流する為、北の森へ、息子・美継と向かう。

森で、朝友と合流するも、喜朗の姿は見えない。

時間を掛けても喜朗の姿は見えなかった。神主・神籬すら見つからず、一旦帰宅をする。


新堂は神社へと部下と共に向かうと、蛭子里で偵察任務をしていた羽芝霞に遭遇。霞は奇襲を受け、辛くも離脱する。新堂らは、当初の目標、神籬と町田の生存確認へと神社へ向かう。

誰も見つからない新堂は、夜警をすると決め、その夜を迎える。

笹川は外の音を気にして、玄関に行くと、それは後藤が夜風に当たっていただけだった。

しかし、その奥で、不気味な息遣いの者が、二人を見つめていた。


3日後、交代で見張りをすることになると、後藤が残り、新堂は里へ、笹川は集会所へと戻る。

里に着くと新堂は健右衛門に、何事もないが誰も居ない報告を済ませ、集会所へと帰っていく。

健右衛門は、吉崎凛を寝取る為にも、吉崎時常殺害を目論む。


一方、墨子は、朝友が帰らない事に危惧し、神社を見に行くことに。家を出たところに、健右衛門と鉢合わせ、一緒に神社へ行くこととなる。しかし、神社に着くも、居るはずの黄田組は煙のように消えていた。

雨に濡れる墨子を見て、襲いたくなる衝動に駆られる健右衛門は、墨子を神楽殿の地下控え室へと追い詰める。3つの控え室で右に隠れる墨子に、左の部屋で健右衛門は誰かに遭遇したようだったが、それは『狂える花魁』といえる怪異で、あっけなく殺されてしまう。

墨子も、狂える花魁から命からがら逃げ延びるも、正気でない男に遭遇、刃物を振り上げられるが、そこへ新堂が男を撃退。墨子を助ける。

新堂も神器を使用する者だった。そして、黄田組から独立し、自分の組織を立ち上げようと決意する。

すると、墨子と新堂に声を掛けてきた人物、神籬が現れる。

説得に応じ、彼は墨子らと蛭子里へ避難する。

朝友も自宅にいるも、足を挫いたが、ある洞窟にて一夜を過ごし、大事には至らなかった。

次いで、忌部と雪平も里に現れると、雨の量とは反し、平和な月日が流れていく・・・



◎和都歴450年 8月6日

置田村・神奈備・蛭子里 15時


8月になると、里に旅人と名乗る2人組が現れ、神籬と毎日神社へ掃除などの手伝いをする。


「雪平さんと、忌部さんのお陰で、色々と助かります。」

神籬は御礼を欠かさず、彼らを頼る。


雪平と忌部が、神籬らを知るのはこの時だった。

※第7章・6幕 ❝いつものことだ。❞


「そうそう、黄田組、アレも七草と双子の対峙により潰えましたよ…」

忌部が新堂にそう話す。

「…! 黄田組が?…大胡田さんや笹川は?誰も生き残りは?」

新堂が黄田組の行方を気にする。

「さぁ?黄田の組長らしい人は、神籬さんと懇意にしていることで双子に庇護されたとか?」

雪平が答える。

「組長(オヤジ)…が…」

確かに、黄田は必ず神籬を見つけろと言っていた。双子との同盟の話も上がっていた中で、恐らくそう言わざるを得なかったことも、新堂は想像できた。

しかし、不義理な彼らに一切の同情はなく、生きているなら事実を伝えるのみと新堂は決めていた。


そして、龍の行水もまた…


「あれ?雨?」

物干し竿から取り込もうとする墨子は、その雨に気付く。


それが、止まぬ雨になるー

◎和都歴450年 8月11日

置田村・神奈備・蛭子神社 10時


「では、私達はこれで。」

「本当に行ってしまうのですか?」

神籬は忌部と雪平を引き留める。

「放浪し、人々を助けていますから。縁があれば、またお会いしましょう。」

忌部らは8日に、次なる旅の目標地点へ移動するとのことで、里を去っていく。


◎8月14日


その3日後、止むことを知らぬ大雨が、更に激化すると、止める墨子らを他所に、神籬は1人、神社へと巡回・掃除へと出掛けてしまう。


◎8月15日


案の定、その翌日も神籬は戻らなかった。


「神籬さん、まさか、お姉ちゃん達に…?」

「お姉ちゃん?墨子が言っているのは、墨子が神社の地下で出会ったという、バケモノか?」

墨子の話を確認する朝友。

墨子は頷きながら、儀兵衛の部屋へと走る。


ーガラッ!


「新堂さん!」

墨子は、儀兵衛に何らかの話だか儀式だかを受けるために、早朝から呼び出されていた。


「あ?ああ。今『儀式』が終わったよ。」



「(儀式?)とりあえず、神社に向かって!神籬さんを助けて!」

墨子が懇願する。


「わかった、わかった。」

新堂は編み笠をすると、大雨の中、玄関の戸を開ける。


「ーあ、そうだ。」


「ん?」

見送る墨子と朝友に、振り返る新堂。


「仮に俺が戻らない場合、神社へは来るな。」


「え?」


「最悪は、俺を含め、失踪した者は皆、殺されている可能性が大きい。どうしても、気になるなら、手練れを雇うか、乙名に助けを要請しろ。それくらいヤバい件だ。」

そう言うと、新堂は振り返らずに走っていく。


「…新堂さん…」


「親父、彼に施した儀式とは?」

朝友が尋ねる。


「ああ、昔から里に伝わる、『覚醒』の儀式だ。」

儀兵衛がボソッと話す。


「か、覚醒?」

墨子と朝友が疑問に思う。


(まさか、本当に居たんだな…儂らの息子が…

儂に出来る事は、せいぜいのこのくらいだ…


…鶴子さん…!!)




◎蛭子神社・社務所 11時


ージャァァァ…!


時間と共に、激しさを増す雷雨。

社務所が雨に打ち付けられ、屋根は飛沫をあげている。


「神籬さん?」

新堂が社務所の和室にて、神籬を見つけ、声を掛ける。


「…○○△△、□□…」


神籬は、何かを呟く。


「…なに!?」

聞き返す新堂に、同じく言葉を返す神籬。


「…そ…そんな…それが本当ならば…!」


新堂が神籬から聞いた内容とは、どんな事だったのか。



◎蛭子里・灰谷家 11時


ージャァァァ…


「新堂さんまで戻らないなんて…そしてスゴい雨…とても助けなんて呼びにも行けないわ…」

墨子は落胆する。

「お母!俺、行ってくるよ?」

美継が立ち上がる。

「バカなこといわないで!もう誰も失いたくないの!」

墨子は悔しながらに訴える。

「とりあえず、この嵐を凌ごう。それまでは様子を見るしかない。」

朝友がそう言うと、墨子も頷く。


丁度この日から、本編『ケダモノたちよ』でいう災厄、『龍の行水』により、外を歩くことも出来ない程の豪雨・嵐が祖柄樫山を襲う。


これから2年半後に、村の人々は、ようやく活動を再開する。

その時に、墨子を待ち受ける運命とは…?



ーそして2年半年後…


▼▼▼


▼▼


▼



◎和都歴453年 4月1日 7時 

神奈備・蛭子神社・地下室


薄暗い大きな部屋に、牢屋だろうか?檻が幾つかある。

そんな部屋で、神籬と、夜行衣を纏う男、そして顔の見えない男の2人の計4人が集まって、話をしていた。


「なるほど。そこまで分かっているなら、後は実行するのみだ。」

夜行衣を纏う男がそう言うと、神籬が頷く。

「我が組織は大陸の統治者らの意志そのものだ。この吉報を直ぐに伝える。双子へ放った使者にも、いずれ伝えなくてはな。この件はもはや完了目前だと。」

「じゃあ、もう墨子さんはどうでもいいですか?」

顔の見えない男の一人が、いやらしい口を開く。里に居た男のようにも見えるが…

「…構わん。」

「では、当初の報酬と言うことで。」

夜行衣を纏う男の返事に、ケダモノの様にニヤつくいやらしい男。

「我々も急ぎ、報告に戻り、次の計画に入る。おい、お前もついてこい。」

夜行衣を纏う男がそういうと、一歩前へと出る、もう一人の顔の見えない男ー


「わかりました。」

ーその男は、新堂だった。


「後の事は任せる。『神の子孫』と共に、帰国を急げ。澄(すみ)…!」

「わかりました。」

夜行衣を纏う男がそう言うと、返事をするのは、なんと『澄』と呼ばれるも外見は『神籬』だった。


残される謎、『神の子孫』とは?

そして『神籬』…いや『澄』という男の正体は一体…?


ーーー


神隠し ~蛭子神社の怪異~ 第2章へ続くー

次回2026/11/3(火) 18:00~

「第2章・1幕 澄という男」を投稿予定です。

   

※11月は秋の読書・強化月間です。

期間中は毎週(金) 及び11/3のみ 18:00に投稿致しますので、御期待下さい。

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― 新着の感想 ―
神の子孫とは誰のことなんでしょうか? 続きが気になります。
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