第1章・12幕 夜警
今回の登場人物
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・新堂 玲 (しんどうれい)
黄田組の一員。神奈備の貧民の出自。蓮太らと同じ歳でありながら、寺院に行かず、黄田組の使いから活躍し、大胡田の弟分として活動。寺院には行かずとも、書物など独学で知識を学び、知性的でもある。漆黒の装束で、ワイルドな風貌ながらイケメンで、ハスキーボイス。
ーーー
・?不気味な息遣いの者?
花魁が着るような、打掛を着た正体不明の怪異。不気味な息遣いをしながら里の者に迫る。
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【前回までのあらすじ】
蛭子里に住む墨子は、山菜採りに北の森へと向かった、旦那・朝友と幼馴染・喜朗に合流する為、北の森へ、息子・美継と向かう。
森で、朝友と合流するも、喜朗の姿は見えない。
時間を掛けても喜朗の姿は見えなかった。神主・神籬すら見つからず、一旦帰宅をする。
明くる日、黄田組が統治の名目で重税を徴収しに来ると、朝友は、灰谷家の分を出す。
黄田組は、次に向かう先は水戸部家。雅代が襲われそうになるところを助けるが、妙に恋心を抱かれる。
朝友は、喜朗・捜索の前に、時常と交わる雅代を見る。その際に、雅代の幸せの為にも、喜朗・捜索をしようと心に決めるが、時常は雅代を失うことに堪え切れず、喜朗・殺害を企てる。
朝友より早く、神社へと赴き、喜朗を探す時常に、不気味な息遣いの何者かが迫る。
翌日、時常が帰らない事に、不安を抱く凛。
里の皆、墨子と朝友、勝巳らを交えて話していると、黄田組の重税に苦しむ秀忠が現れる。今直ぐにでも黄田組と神籬に、話をつけたいと憤る秀忠に、健右衛門が、官人として黄田組へ向かう。
秀忠は、勝巳に焚き付けられるように皆の反対を他所に、神社へと向かっていってしまう。
秀忠は、神社へと着くと、社務所の和室まで入るも、入り口に気配を感じると、その後、行方不明となる。
その頃、健右衛門は、黄田組へと赴き、重税の件で交渉に来ていた。
新堂は、神社への偵察を引き受けると、健右衛門は里へ黄田組の税に対し、便宜を図ると約束する。
健右衛門は目的を果たし、里へと帰っていった。
新堂は神社へと部下と共に向かうと、蛭子里で偵察任務をしていた羽芝霞に遭遇。霞は奇襲を受け、辛くも離脱する。新堂らは、当初の目標、神籬と町田の生存確認へと神社へ向かう・・・
「がはっ…!」
新堂に見つかり、痛烈なボディブローを食らう霞。
「何処の忍ですかね?吐かせましょうかー」
表情を変えず、追撃に乗り出す新堂。
ーボムッ…!ー
(ー煙球か。恐らく中央所属の忍。まぁ、さして問題もない。逃がしておくか。)
新堂の元に部下二人が駆け寄る。
「問題ない。予定通り、神籬、町田のアニキの生存確認に掛かる。」
新堂が号令をかけ、神社へと向かっていく。
◎和都歴450年 7月14日
置田村・神奈備・蛭子神社 14時
ーザァァァ…
新堂と部下二人は、1時間ほど掛けて、雨の降る蛭子神社の境内、社務所を回るも、特に誰もいなかった。
「どういうことだ?」
新堂は町田が居ないのは仕方ないとしても、神主である神籬が、これほどまでに人目に付かない事に異常性を感じた。
「新堂さん、どうしますか?町田さん、居るとは思えませんが。」
部下の一人が相談する。
「念のためだ。今日はこの社務所で一夜を明かす。」
「え…」
新堂が提案するも、二人は乗り気になれない。
「何ビビってるんだ?まさか本当に神隠しがあると思っているのか?」
「い…いえ。でも、現に何人か消えて、町田さんも、神籬も居ないとなると…」
「じゃあ帰るのか?」
新堂がバカにしたように言う。
「ここで一晩過ごし、何もなければ、それまでだ。何かあるなら、その異常を報告、解決するのみだ。違うか?ただの夜警だ。子供なら喜ぶ仕事に、ビビるな。見っともねぇ。」
新堂が現実的に今後の目標を語り、同時に戒める。
「わ、わかりました。」
社務所の和室にて、寝床を確保し、夜を待つ新堂ら。
◎蛭子神社 21時
ーザァァァ…
暇を持て余し、布団で横になる三人。
「あれ?何か変な音、しませんでした?」
笹川新之助。黄田組員。用心深いが故、臆病な性格だが、腕の立つ武闘派。
「そうか?気になるならお前、調べてこいよ。」
新堂が反対側に寝返りをうつ。
「え?い、いや、皆で行きましょうよ?」
「じゃあ、黙って寝ろ。」
そういって新堂は寝てしまう。
「…」
◎蛭子神社 2時
「…!」
笹川が妙な音に起きる。
「…やはり、何か音がする気が…ん?」
笹川が周りを見ると新堂は寝ているが、もう一人、後藤がいない。
「ご…後藤?新堂さん、後藤が…」
笹川は起き上がり、新堂を起こす。
「…なんだ?後藤?さっきトイレとかで出てったよ。」
そういって新堂は寝てしまう。
「そんな…」
笹川は、後藤の様子が気になると、布団から出て立ち上がる。
ーガラ…
廊下へと出て、正面のトイレの扉を開けるがいない。
「いない…」
ーガチャ…
玄関の扉が閉まるような音がした。
「え?誰かいるのか?」
笹川は、玄関へとすり足で向かう。
「ご…後藤…なのか?」
玄関に着くも、真っ暗だ。
ーザァァァ…
雨の音だけが聞こえる。
「後藤!?居るのか?」
笹川は玄関のドアを開けようと手を伸ばす。
ーガラッ!
笹川が開ける前に扉が開く。
「ひっ!」
笹川はその瞬間、目を閉じる。
「笹川?どした?」
後藤が声をかける。
「…ご…後藤か…良かった…」
笹川は胸を撫で下ろす。
「変なヤツだな。」
「何してた?」
「見張りを兼ねて、外の空気を吸いに。」
「びっくりさせるなよ…!」
そう言って二人は和室へと戻る。
ーザァァァ…
[スー…ファ~…スー…ファ~…]
雨音にかき消される不気味な息遣い。
神池の方の茂みに、煌びやかな打掛が、二人のやり取りを覗いていた…
次回2026/9/25(金) 18:00~
「第1章・13幕 報告」を投稿予定です。
※今回を以って、SW・強化月間を終了します。
次回からは隔週(金)18:00に投稿致しますので、御期待下さい。




