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神隠し ~蛭子神社の怪異~  作者: 船橋新太郎
第1章・和都歴450年 7~8月 ~灰谷 墨子編~
13/22

第1章・11幕 羽芝霞の偵察任務

今回の登場人物


■ ▢ ■ ▢


・灰谷 朝友 (はいたにあさとも)

墨子と喜郎の幼馴染みで、墨子の旦那。墨子の境遇を想い、結婚に至る。里に小さいながらも畑を管理している。里でも良好なイケメン男子で通る。


・新堂 玲 (しんどうれい)

黄田組の一員。神奈備の貧民の出自。蓮太らと同じ歳でありながら、寺院に行かず、黄田組の使いから活躍し、大胡田の弟分として活動。寺院には行かずとも、書物など独学で知識を学び、知性的でもある。漆黒の装束で、ワイルドな風貌ながらイケメンで、ハスキーボイス。


■ ▢ ■ ▢




【前回までのあらすじ】


蛭子里に住む墨子は、山菜採りに北の森へと向かった、旦那・朝友と幼馴染・喜朗に合流する為、北の森へ、息子・美継と向かう。

森で、朝友と合流するも、喜朗の姿は見えない。

時間を掛けても喜朗の姿は見えなかった。神主・神籬すら見つからず、一旦帰宅をする。


明くる日、黄田組が統治の名目で重税を徴収しに来ると、朝友は、灰谷家の分を出す。

黄田組は、次に向かう先は水戸部家。雅代が襲われそうになるところを助けるが、妙に恋心を抱かれる。

朝友は、喜朗・捜索の前に、時常と交わる雅代を見る。その際に、雅代の幸せの為にも、喜朗・捜索をしようと心に決めるが、時常は雅代を失うことに堪え切れず、喜朗・殺害を企てる。

朝友より早く、神社へと赴き、喜朗を探す時常に、不気味な息遣いの何者かが迫る。

翌日、時常が帰らない事に、不安を抱く凛。

里の皆、墨子と朝友、勝巳らを交えて話していると、黄田組の重税に苦しむ秀忠が現れる。今直ぐにでも黄田組と神籬に、話をつけたいと憤る秀忠に、健右衛門が、官人として黄田組へ向かう。

秀忠は、勝巳に焚き付けられるように皆の反対を他所に、神社へと向かっていってしまう。

秀忠は、神社へと着くと、社務所の和室まで入るも、入り口に気配を感じると、その後、行方不明となる。

その頃、健右衛門は、黄田組へと赴き、重税の件で交渉に来ていた。


大胡田は、今後は担当を新堂へと変えると、応接間を出て行く。新堂は、神社への偵察を引き受けると、健右衛門は里へ黄田組の税に対し、便宜を図ると約束する。

健右衛門は目的を果たし、里へと帰っていった・・・



ーザァァァ…


依然、雨が降り続ける中、玄関で健右衛門を見送る新堂。


「では、よしなに…」

そう言って笠を被り、雨の中を歩いていく健右衛門。

その後ろ姿に、頭を下げて見送る新堂。

(あの男、ケダモノの香りがスゴいな。)

新堂は、頭を下げながら、そう感じた。

◎和都歴450年 7月14日

置田村・神奈備・黄田組集会所・大胡田の私室 12時


「では、二人を連れ、神社へ行って参ります。」

新堂が大胡田に声をかける。

「お?そうか、町田のアニキ捜索か。」

「はい。」

返事をすると、そのまま部屋を出ようとする新堂。

「おい、新堂、ちょっと…」

「え?あ、はい。お前ら、玄関で待ってろ。」

大胡田が言い難そうな顔をすると、新堂が二人を所払いする。


「どうしたんですか?」

「ああ、町田のアニキだがな。」

「はい。」

「このまま帰らなきゃ…俺は自動的に若頭だ。この意味わかるな?」

大胡田は新堂の肩に手を回す。

「は、はぁ。邪魔、という事ですか?」

「どう取るかは、お前に任せる、が、これはお前の出世にも響くだろ?」

「大胡田さんの後に俺が?」

新堂が想像して話す。

「それも、お前の今回の働き方次第だ。わかるな?」

「はぁ…」

「何だ?出世したくないか?お前はそうでも俺の出世を妨害するようならー」

「ーわかりましたよ。とりあえず、神籬を探さなければいけませんから、町田のアニキはその後になるでしょう。」

「フン、真面目だなお前は…まぁ、宜しく頼むわ。」

「では、行って参ります。」

手で払う大胡田を背に、部屋を出る新堂。



◎蛭子里・灰谷家 12時


ーザァァァ…


一人の忍が雨の中、神奈備の偵察という密命を帯びていた。

蛭子里の灰谷家を偶然にも立ち寄り、話を聞いていたのだ。


「ーそうなのか…そんな事が…」

「あの藤香さんのお抱え忍者であるなら、是非、何とかしてほしい。神社に行く者、神籬さんへ会いに行く者、ここ最近で3人は行方が消えて、帰ってこないんだ。」

朝友が必死に訴える。

「わかった。私も戻り、報告するが、神社に立ち寄れれば一見していくよ。皆も気を付けて。では、これで失礼する。」

その忍は、そう言って灰谷家から煙のように去る。


「ふぅ、最後に蛭子神社を見ていくか。」

羽芝 霞(はしばかすみ)。守役・羽芝菖蒲の妹。姉に負けない忍術と諜報活動能力を持つ。やや近代的・女の子的一面もあるが、忍者としての才は非常に高い。藤香のお抱え忍者。白装束をベースに桃色と青色の花柄が体に巻き付く斬新なデザインの忍び装束を纏う。



◎北の森 13時


ーザァァァ…


雨の降る森で、神社の鳥居らしきものが見えてくると、1人の男が歩いているのを見かける霞。

「あれは…赤島会か?」

隠れ、茂みから茂へと後を付ける。


ートントン…


背後から肩を叩かれる霞。

「ー誰!?」

「尾行中、ですか?」


ードゴッ!


「がはっ…!」

新堂に見つかり、痛烈なボディブローを食らう霞。

「何処の忍ですかね?吐かせましょうかー」

表情を変えず、追撃に乗り出す新堂。


ーボムッ…!ー


(ー煙球か。恐らく中央所属の忍。まぁ、さして問題もない。逃がしておくか。)

新堂の元に部下二人が駆け寄る。

「問題ない。予定通り、神籬、町田のアニキの生存確認に掛かる。」

新堂が号令をかけ、神社へと向かっていく。


今回の羽芝霞の一連の行動が、後の本編での偵察報告で明かされた内容である。

※『第3章・5幕 置田北部・神奈備』より

次回2026/9/23(水) 18:00~

「第1章・12幕 夜警」を投稿予定です。

   

※9/21(月)~9/23(水)はSW・強化月間です。

期間中は毎日18:00に投稿致しますので、御期待下さい。

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― 新着の感想 ―
霞、危なかったですね。新堂もかなりの悪ですね。
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