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大谷どん吉の超・ソウサク記   作者: 御王礼
第一章『ミラーマンと俺‼』

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第一章7『 補修室Aと俺‼』

「――なぁ、大谷。また赤点か!いくら何でもハンター活動が忙しかったからといって学業に何度も支障をきたしていては、ロクな大人にならないぞ‼」


ミラーマンとの一件から一週間が経った。


担任である国本ユウカ先生から終礼の際、「放課後、職員室に来るように!」と苦笑いを浮かべながら呼び出された。


「すいません、久しぶりのハンター活動で油断してしまいました。以後気をつけます!」


俺は先生へ深々と頭を下げる。


先のミラーマンとの戦闘で全身に傷を負った俺は、医師から五日間の入院を命じられていた。結果として、その期間は学校を休む羽目になったのだ。


「――ですから、国本先生のお力で何とか!今回の補修だけは今回は回避できますよね?」


しかし不運なことに、入院期間は定期テストと重なっていた。

体こそ回復したものの、全く勉強に身が入らないまま昨日テストに臨んだ結果、数学と英語の二科目でいつも通り三〇点以下の点数を叩き出してしまった。


「悪いが赤点を取った生徒は皆、生徒指導室にて赤点だった教科の再テストをして六〇点以上取るまで家に帰れない決まりだ。君も知っているだろう?私の一存で決められる話ではない」


国本先生は、自身の長い黒髪を悩ましげに掻き上げた。


「そ、そんなぁ~嫌だ、嫌だ!また、教頭と生徒指導室に入るなんて‼」


本校の教頭、藤田タカオは『鬼軍曹』の異名を持つ、厳しい強面の人物だ。

藤田教頭は特進クラスの担任も兼務しており、東大卒で体重九〇キロを超える元ラガーマンという経歴でも知られている。

過去に五回、彼と一対一で補習を受けた経験のある俺は、ひどい時には三日間連続で午後十一時まで解放されない地獄を知っていた。


これから始まる地獄の指導を思うと、逃げ出したくてたまらない。


だからこそ、俺は現状に絶望し、まるで幼稚園児のように駄々をこねていた。


「――が、今回は先日に教頭先生がコロナウイルス陽性だったことが判明して来られなくなってしまった。だから急遽、代役を立てることになった」


「おっしゃあ‼え?代役?」


てっきり補習が中止になるものと楽観し、ガッツポーズをしかけた矢先、「代役」という言葉に俺はたちまち真顔へと引き戻され、不安に駆られた。


「おい、入ってもいいぞ!」


「――はい!」


先生の呼びかけに応じ、すぐに扉が三度ノックされた。入室してきたのは、代理と思われる制服姿の生徒だった。


「国本先生、確認ですが後の彼の処遇は私に任せていただけるということで、よろしいでしょうか?」


俺の眼前に立ったのは、昨日のミラーマンの一件で共闘した、我が校の生徒会長にして文芸部員でもある木村エミリーだった。


「ああ、大谷の補修の面倒は木村に任せるよ。藤田先生も高校生にして英語、数学、国語の教員免許を持っている木村になら頼んでも構わないと言っておられたからな。じゃあ、後は頼んだ」


そう告げると、国本先生は机上の校務用ノートパソコンを開き、中断していた雑務を再開した。


「おお、マジか⁉てか、木村さんって…教員免許もっていたのか……」


三〇五〇年代の日本では、飛び級は当たり前の制度となっていた。

かつて教員免許の取得には大学進学が必須だったが、時代の変遷とともに制度は変わり、今や能力さえ認められれば、高校生でも試験に合格することで免許を得られる。


それにしても、まさか木村さんが教員免許を所持していたとは。 彼女がハイスペックなハンター科の生徒であることは重々承知していたが、その事実に俺は改めて尊敬の念を抱いた。


まあ、木村さんならスパルタな教頭との補習よりはマシだろう。


「フフッ、意外でしたか?私、昔からアイドル活動だろうが何でも興味があることは全力でやってみたくなっちゃうんですよ。今回は前回の件も含めて付き合わせてしまったので私が補修を手伝います。早速ですが、今から補修室へ向かいましょう!」


木村さんの右手の人差し指には、教頭から借りたのであろう、「補修室A」と書かれたプレート付きの鍵が絡められていた。


「はいはい、行けばいいんでしょ。行きますよ!」


俺は頭を掻きながら、木村さんに促されるまま、渋々と補習室へ向かうのだった。


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