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一年の宝物  作者: ゆみ。
36/37

事故


車の急ブレーキ音が消えたあと、

海辺には、風の音と、みんなの叫び声だけが残った。


**翔太**:「千景……! 千景っ!!」


**日向**:「お願い、目を開けて……!」


理人:「救急車は呼んだ。あとは待つしか…」


千景は、車道の端に倒れていた。

小さな身体は動かず、

白い頬は夕陽に照らされて、どこか儚かった。


少女は泣きながら、千景の手を握っていた。


**少女**:「おねえちゃん……ごめんなさい……ごめんなさい……!」


颯も健斗も、香奈も優里も、雫華も、

みんな泣きそうな顔で千景を囲んでいた。


そのとき――

遠くからサイレンの音が聞こえた。


**ウウウウウ――ッ**


救急車が、海沿いの道を走ってくる。


---


救急隊員が駆け寄り、千景の状態を確認する。


**救急隊員**:「意識なし! 呼吸弱い! すぐに搬送します!」


その言葉に、

翔太と日向の顔が真っ青になった。


**翔太**:「そんな……千景……!」


**日向**:「いやだ……いやだよ……!」


千景はストレッチャーに乗せられ、

救急車へ運ばれていく。


その姿は、

まるで壊れそうなほど小さかった。


---


救急車の扉が閉まる瞬間、

翔太は震える声で叫んだ。


**翔太**:「千景! 絶対……絶対助かるから……!」


日向は涙を流しながら、

千景の名前を呼び続けた。


**日向**:「千景ちゃん……お願い……!」


颯は拳を握りしめ、

悔しさに唇を噛んでいた。


**颯**:「なんで……なんで千景なんだよ……!」


香奈と優里は抱き合って泣き、

雫華は震える手で胸を押さえていた。


**雫華**:「千景さん……どうか……」


救急車が走り去ると、

残されたみんなは、

ただ祈ることしかできなかった。


---


颯が震える手でスマホを取り出し、

千景の母親に連絡を入れた。


**颯**:「黒瀬さん……千景が……事故で……!」


電話の向こうで、

母親の悲鳴のような声が聞こえた。


同時に、

香奈と優里は学校へ連絡を入れた。


**香奈**:「先生……千景さんが……!」


**優里**:「救急車で……病院に……!」


数分後、

学校の先生から折り返しが来た。


**担任**:「すぐに向かう。 君たちも気をつけて来なさい」


翔太の家にいた理人にも連絡が届き、

彼はすぐに走り出した。


**理人**:「千景……!」


---


救急車を追うように、

みんなは走り、タクシーを拾い、

それぞれの方法で病院へ向かった。


夕陽は沈み、

空は群青色に変わっていく。


胸の奥に広がるのは、

不安と後悔と祈り。


**翔太** (千景……お願いだ…… もう一度……笑ってくれ……)


**日向** (あたしが……守るって言ったのに…… なんで……千景ちゃんが……)


海辺の風は冷たく、

夜の気配が静かに迫っていた。


千景の命を乗せた救急車は、

病院の灯りへと消えていく。


---


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