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一年の宝物  作者: ゆみ。
35/37

幼い記憶に。

千景を見つけ、涙を分かち合った帰り道。

夕暮れの海風は少し冷たく、

それでも三人の胸は温かかった。


翔太と日向は、

千景の少し後ろを歩きながら、

何度も彼女の横顔を確かめるように見ていた。


(……もう離れない)

(今度こそ守る)


そんな思いが、

二人の胸に静かに灯っていた。


そのとき――


**日向**:「あ……見て」


海沿いの歩道の先に、

小さな子どもたちが三人、手をつないで歩いていた。


黒髪の女の子。

その手を握る男の子。

そして、前に立ってはしゃぐ小柄な女の子。


まるで――

幼い頃の翔太、日向、千景のようだった。


千景は思わず微笑んだ。


**千景**:「……かわいいね。

あの頃の私たちみたい」


翔太も日向も、

胸がじんわりと熱くなる。


(あの頃の俺たち……)

(あたしたち……)


三人は、しばらくその光景を見守っていた。


---


そのときだった。


黒髪の小さな女の子が、

手に持っていたハンカチを落とした。


風に吹かれ、

ハンカチは車道の方へ転がっていく。


**少女**:「あっ……!」


少女は反射的に車道へ駆け出した。


その瞬間――

遠くから車のエンジン音が響いた。


**翔太**:「危ない!」


**日向**:「だめっ!」


二人が叫ぶより早く、

千景の身体が動いていた。


---


千景は、

まるで幼い頃の記憶が身体を突き動かすように、

少女へ向かって走り出した。


(守らなきゃ)


その思いだけが胸にあった。


車が迫る。

少女は立ちすくんでいる。


千景は少女を抱き寄せ、

力いっぱい歩道側へ突き飛ばした。


**少女**:「きゃっ……!」


そして――

千景の身体が、車の前へと倒れ込む。


ブレーキ音が響いた。


**キィィィィィ――ッ!**


翔太と日向の叫び声が、

夕暮れの海辺に響き渡った。


---


颯、健斗、香奈、優里、雫華も、

少し後ろから歩いてきていた。


車の急ブレーキ音を聞いた瞬間、

全員の顔が青ざめた。


**颯**:「千景…!?」


**雫華**:「千景さん……!」


七人は全力で駆け出した。


夕陽が沈みかける海辺で、

千景の小さな身体が倒れているのが見えた。


翔太と日向は、

泣き叫びながら千景のもとへ駆け寄った。


---

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