幼い記憶に。
千景を見つけ、涙を分かち合った帰り道。
夕暮れの海風は少し冷たく、
それでも三人の胸は温かかった。
翔太と日向は、
千景の少し後ろを歩きながら、
何度も彼女の横顔を確かめるように見ていた。
(……もう離れない)
(今度こそ守る)
そんな思いが、
二人の胸に静かに灯っていた。
そのとき――
**日向**:「あ……見て」
海沿いの歩道の先に、
小さな子どもたちが三人、手をつないで歩いていた。
黒髪の女の子。
その手を握る男の子。
そして、前に立ってはしゃぐ小柄な女の子。
まるで――
幼い頃の翔太、日向、千景のようだった。
千景は思わず微笑んだ。
**千景**:「……かわいいね。
あの頃の私たちみたい」
翔太も日向も、
胸がじんわりと熱くなる。
(あの頃の俺たち……)
(あたしたち……)
三人は、しばらくその光景を見守っていた。
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そのときだった。
黒髪の小さな女の子が、
手に持っていたハンカチを落とした。
風に吹かれ、
ハンカチは車道の方へ転がっていく。
**少女**:「あっ……!」
少女は反射的に車道へ駆け出した。
その瞬間――
遠くから車のエンジン音が響いた。
**翔太**:「危ない!」
**日向**:「だめっ!」
二人が叫ぶより早く、
千景の身体が動いていた。
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千景は、
まるで幼い頃の記憶が身体を突き動かすように、
少女へ向かって走り出した。
(守らなきゃ)
その思いだけが胸にあった。
車が迫る。
少女は立ちすくんでいる。
千景は少女を抱き寄せ、
力いっぱい歩道側へ突き飛ばした。
**少女**:「きゃっ……!」
そして――
千景の身体が、車の前へと倒れ込む。
ブレーキ音が響いた。
**キィィィィィ――ッ!**
翔太と日向の叫び声が、
夕暮れの海辺に響き渡った。
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颯、健斗、香奈、優里、雫華も、
少し後ろから歩いてきていた。
車の急ブレーキ音を聞いた瞬間、
全員の顔が青ざめた。
**颯**:「千景…!?」
**雫華**:「千景さん……!」
七人は全力で駆け出した。
夕陽が沈みかける海辺で、
千景の小さな身体が倒れているのが見えた。
翔太と日向は、
泣き叫びながら千景のもとへ駆け寄った。
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