思い出した、全部。
幼稚園の写真集を見つめたまま、
翔太と日向はしばらく動けなかった。
胸の奥が熱くて、痛くて、
涙が止まらなかった。
**翔太**:「……千景……」
**日向**:「あたしたち……忘れてたんだ……」
その瞬間、
二人は同時に立ち上がった。
颯が驚いて声を上げる。
**颯**:「お、おい翔太? どこ行くんだよ!」
翔太は涙を拭い、
震える声で言った。
**翔太**:「……千景に、会いに行く」
日向も、強く頷いた。
**日向**:「今すぐ……行かなきゃ」
理人は静かに立ち上がり、
二人の背中を見送った。
(……行ってあげて。
千景は、ずっと待ってたんだ)
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翔太と日向は、
千景の家へ走った。
息を切らしながらインターホンを押す。
**翔太**:「黒瀬さん、いますか……!」
しかし、返ってきたのは母親の声。
**千景の母**:「あら……千景なら、まだ帰ってきてないの」
胸がざわつく。
次に向かったのは学校。
夕暮れの校舎は静まり返っていて、
千景の姿はどこにもなかった。
**日向**:「……どこにいるの……千景……」
翔太は、胸の奥に浮かんだ“ある場所”を思い出した。
(昨日……千景が泣いていたって、理人が……)
**翔太**:「……海だ」
日向は息を呑んだ。
**日向**:「行こう!」
二人は、夕暮れの街を駆け抜けた。
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潮の匂いが漂う細い小道。
夕陽が海面を赤く染めている。
そのへりに――
千景は立っていた。
制服のスカートが風に揺れ、
黒い髪が夕陽に透けている。
千景は、海を見つめたまま、
小さく呟いていた。
**千景**:「……翔太くん……日向ちゃん…… 」
その声は、この世のにかき消されそうなほど弱かった。
翔太と日向は、
その姿を見つけた瞬間、
胸が締めつけられた。
**翔太**:「……千景!」
**日向**:「千景ちゃん!」
千景は驚いて振り返る。
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颯、健斗、香奈、優里、雫華も、
翔太からの連絡を受けて走ってきた。
**颯**:「はぁ……はぁ……千景、大丈夫かよ!」
**香奈**:「心配したんだから……!」
**優里**:「よかった……見つかって……」
雫華は胸に手を当て、
千景の姿を見て涙ぐんだ。
**雫華**:「千景さん……」
みんなが千景を囲むように立つ。
夕陽の中で、
千景は小さく震えていた。
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二人は千景の前に立ち、
涙をこぼしながら言った。
**翔太**:「……千景。 思い出したんだ。 幼稚園のこと…… 君のこと……全部……!」
日向も、涙を流しながら続けた。
**日向**:「あたしも…… 千景ちゃんを守ってたこと…… 卒園の日に言った言葉も…… 全部……思い出した……!」
千景の目が大きく揺れた。
**千景**:「……ほんとに……?」
翔太は強く頷いた。
**翔太**:「忘れてたんじゃない。 思い出せなかっただけだ。 でも……もう忘れない。
千景は……ずっと大切な友達だ」
日向も、涙を拭いながら言った。
**日向**:「千景ちゃん…… ずっと一番の友達だよ。 離れてても……ずっと……!」
千景の目から、
大粒の涙がこぼれた。
**千景**:「……うん…… うん……!」
夕陽の中で、
三人の涙がきらめいた。
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