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一年の宝物  作者: ゆみ。
34/37

思い出した、全部。

幼稚園の写真集を見つめたまま、

翔太と日向はしばらく動けなかった。


胸の奥が熱くて、痛くて、

涙が止まらなかった。


**翔太**:「……千景……」


**日向**:「あたしたち……忘れてたんだ……」


その瞬間、

二人は同時に立ち上がった。


颯が驚いて声を上げる。


**颯**:「お、おい翔太? どこ行くんだよ!」


翔太は涙を拭い、

震える声で言った。


**翔太**:「……千景に、会いに行く」


日向も、強く頷いた。


**日向**:「今すぐ……行かなきゃ」


理人は静かに立ち上がり、

二人の背中を見送った。


(……行ってあげて。

千景は、ずっと待ってたんだ)


---


翔太と日向は、

千景の家へ走った。


息を切らしながらインターホンを押す。


**翔太**:「黒瀬さん、いますか……!」


しかし、返ってきたのは母親の声。


**千景の母**:「あら……千景なら、まだ帰ってきてないの」


胸がざわつく。


次に向かったのは学校。


夕暮れの校舎は静まり返っていて、

千景の姿はどこにもなかった。


**日向**:「……どこにいるの……千景……」


翔太は、胸の奥に浮かんだ“ある場所”を思い出した。


(昨日……千景が泣いていたって、理人が……)


**翔太**:「……海だ」


日向は息を呑んだ。


**日向**:「行こう!」


二人は、夕暮れの街を駆け抜けた。


---


潮の匂いが漂う細い小道。

夕陽が海面を赤く染めている。


そのへりに――

千景は立っていた。


制服のスカートが風に揺れ、

黒い髪が夕陽に透けている。


千景は、海を見つめたまま、

小さく呟いていた。


**千景**:「……翔太くん……日向ちゃん…… 」

その声は、この世のにかき消されそうなほど弱かった。


翔太と日向は、

その姿を見つけた瞬間、

胸が締めつけられた。


**翔太**:「……千景!」


**日向**:「千景ちゃん!」


千景は驚いて振り返る。


---


颯、健斗、香奈、優里、雫華も、

翔太からの連絡を受けて走ってきた。


**颯**:「はぁ……はぁ……千景、大丈夫かよ!」


**香奈**:「心配したんだから……!」


**優里**:「よかった……見つかって……」


雫華は胸に手を当て、

千景の姿を見て涙ぐんだ。


**雫華**:「千景さん……」


みんなが千景を囲むように立つ。


夕陽の中で、

千景は小さく震えていた。


---


二人は千景の前に立ち、

涙をこぼしながら言った。


**翔太**:「……千景。 思い出したんだ。 幼稚園のこと…… 君のこと……全部……!」


日向も、涙を流しながら続けた。


**日向**:「あたしも…… 千景ちゃんを守ってたこと…… 卒園の日に言った言葉も…… 全部……思い出した……!」


千景の目が大きく揺れた。


**千景**:「……ほんとに……?」


翔太は強く頷いた。


**翔太**:「忘れてたんじゃない。 思い出せなかっただけだ。 でも……もう忘れない。

千景は……ずっと大切な友達だ」


日向も、涙を拭いながら言った。


**日向**:「千景ちゃん…… ずっと一番の友達だよ。 離れてても……ずっと……!」


千景の目から、

大粒の涙がこぼれた。


**千景**:「……うん…… うん……!」


夕陽の中で、

三人の涙がきらめいた。


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