タイトル未定2026/04/15 18:42
翔太の家のリビング。
みんなの笑い声が少しずつ静まり、
幼稚園の写真集のページがゆっくりとめくられていく。
ページの端が、
かすかに風に揺れた。
そして――
その写真が現れた。
砂場で泣いている黒髪の女の子。
その手を握る、小さな男の子。
前に立ち、誰かをかばうように腕を広げる小柄な女の子。
**翔太と日向は、同時に息を呑んだ。**
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**翔太**:「……これ……」
声が震えていた。
胸の奥が、
急に熱くなる。
(知ってる……この子……
ずっと……ずっと前に……)
写真の中の黒髪の女の子が、
千景の横顔と重なっていく。
**翔太**:「……千景……?」
その名前を口にした瞬間、
胸の奥で何かが弾けた。
幼い頃の記憶が、
一気に流れ込んでくる。
――泣いていた黒髪の女の子。
――その手を握って「大丈夫だよ」と言った自分。
――「ちかげは、ぼくがまもるから」と笑った声。
翔太の目に、涙がにじんだ。
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日向も、写真から目を離せなかった。
**日向**:「……千景……」
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。
――泣いていた千景の前に立ち、
――男の子たちに向かって「泣かせたら許さない」と言った自分。
――千景が笑うと、自分も嬉しくなったこと。
全部、忘れていたはずなのに。
涙が、ぽたりと落ちた。
**日向**:「なんで……忘れてたんだろ…… こんなに……大事だったのに……」
翔太も、日向も、
言葉にならない感情に胸を震わせていた。
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颯も健斗も、香奈も優里も、雫華も、 二人の変化に気づいて黙り込んだ。
雫華は、そっと手を口元に当てた。
(……千景さん……
翔太と日向にとって……こんなに大切な人だったんだ)
理人だけが、
静かに二人を見守っていた。
(……気づいたね)
千景が泣いていた理由も、
ずっと寂しそうだった理由も、
ようやく二人に届き始めた。
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日向は、写真を胸に抱くようにして呟いた。
**翔太**:「……千景…… ずっと……ひとりで……」
翔太も日向もも、涙を拭いながら言った。
**日向**:「あたしたち……約束したのに…… “どんなにはなれても、一番の友達だよ”って……
なのに……忘れてた……」
二人の涙は、
幼い頃の約束がどれほど大切だったかを物語っていた。
そして――
千景がどれほど寂しかったかを、
痛いほど伝えていた。
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