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一年の宝物  作者: ゆみ。
33/37

タイトル未定2026/04/15 18:42

翔太の家のリビング。

みんなの笑い声が少しずつ静まり、

幼稚園の写真集のページがゆっくりとめくられていく。


ページの端が、

かすかに風に揺れた。


そして――

その写真が現れた。


砂場で泣いている黒髪の女の子。

その手を握る、小さな男の子。

前に立ち、誰かをかばうように腕を広げる小柄な女の子。


**翔太と日向は、同時に息を呑んだ。**


---


**翔太**:「……これ……」


声が震えていた。


胸の奥が、

急に熱くなる。


(知ってる……この子……

ずっと……ずっと前に……)


写真の中の黒髪の女の子が、

千景の横顔と重なっていく。


**翔太**:「……千景……?」


その名前を口にした瞬間、

胸の奥で何かが弾けた。


幼い頃の記憶が、

一気に流れ込んでくる。


――泣いていた黒髪の女の子。

――その手を握って「大丈夫だよ」と言った自分。

――「ちかげは、ぼくがまもるから」と笑った声。


翔太の目に、涙がにじんだ。


---


日向も、写真から目を離せなかった。


**日向**:「……千景……」


胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。


――泣いていた千景の前に立ち、

――男の子たちに向かって「泣かせたら許さない」と言った自分。

――千景が笑うと、自分も嬉しくなったこと。


全部、忘れていたはずなのに。


涙が、ぽたりと落ちた。


**日向**:「なんで……忘れてたんだろ…… こんなに……大事だったのに……」


翔太も、日向も、

言葉にならない感情に胸を震わせていた。


---


颯も健斗も、香奈も優里も、雫華も、 二人の変化に気づいて黙り込んだ。


雫華は、そっと手を口元に当てた。


(……千景さん……

翔太と日向にとって……こんなに大切な人だったんだ)


理人だけが、

静かに二人を見守っていた。


(……気づいたね)


千景が泣いていた理由も、

ずっと寂しそうだった理由も、

ようやく二人に届き始めた。


---


日向は、写真を胸に抱くようにして呟いた。


**翔太**:「……千景…… ずっと……ひとりで……」


翔太も日向もも、涙を拭いながら言った。


**日向**:「あたしたち……約束したのに…… “どんなにはなれても、一番の友達だよ”って……

なのに……忘れてた……」


二人の涙は、

幼い頃の約束がどれほど大切だったかを物語っていた。


そして――

千景がどれほど寂しかったかを、

痛いほど伝えていた。


---


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