部活勧誘は戦場…?
入学式と自己紹介を終えた翌日。
放課後の廊下は、すでに異様な熱気に包まれていた。
「新入生のみんな〜!テニス部だよ〜!」
「軽音部、メンバー募集してます!」
「演劇部は初心者大歓迎!」
廊下の両側に部活の先輩たちが並び、まるで“新入生争奪戦”のような光景が広がっている。
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教室を出た瞬間、颯が叫んだ。
「うわっ、なんだこれ!通れねぇ!」
日向が目を丸くする。
「え、これ…本当に高校の廊下?」
香奈は腕を組んで言う。
「まあ、進学校って部活もガチだからね。勧誘も本気なんだよ」
その瞬間。
「君!バスケ経験者でしょ!?」
香奈の腕をガシッと掴む先輩。
「え、なんでわかったの」
「肩幅と雰囲気で!」
「肩幅で判断すんな!」
香奈はそのままバスケ部の勧誘ゾーンに連行されていった。
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「ねえ君、絶対テニス似合うよ!」
「いやいや、チア部の方が絶対映えるって!」
「軽音部でボーカルやらない?」
日向の周りに、なぜか男女問わず人が集まる。
「ちょ、ちょっと待って!順番に話して!」
香奈が遠くから叫ぶ。
「日向、初日から人気者すぎ!」
日向は半泣き。
「こんなに囲まれるのは想定外なんだけど!」
(いや、絶対想定してた顔だ…)
周囲の女子たちは心の中で思った。
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「君!そこの美人さん!」
演劇部の先輩が走ってくる。
雫華は首をかしげる。
「私ですか?」
「そう!君!その顔!その雰囲気!主役のオーラがある!」
雫華は淡々と答える。
「でも私、桜の天ぷらの研究で忙しいので…」
「研究内容が独特すぎる!」
先輩が頭を抱えた。
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「君、成績いいんでしょ?科学部どう?」
「え、あ、はい…でも私、ミスするし…」
その瞬間、はるかの手からハンカチが落ちた。
先輩「ハンカチ…?落としたよ!!」
はるか「すみません!」
「逆に面白いから来て!」
「理由おかしくない!?」
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「桐谷くん!サッカー部来ない?」
「いやいや、陸上部の方が向いてるって!」
「生徒会も興味ない?」
翔太は困った顔で笑う。
「えっと…とりあえず全部見てから…」
颯が肩を叩く。
「翔太、人気すぎて草」
翔太「助けてほしいんだけど」
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「君!英語部入らない?」
「え、英語部なんてあるんですか」
「帰国子女でしょ?絶対必要!」
健斗は苦笑い。
「いや、英語は好きだけど…他の教科が…」
「英語だけできればいいから!」
「それはそれで問題では?」
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「篠原くん、数学研究会どう?」
「いやいや、物理部に来てよ!」
「化学部も歓迎!」
理人は眼鏡を押し上げて言う。
「えっと…僕、そんなに器用じゃ…」
颯が笑う。
「いや、お前は器用だよ。顔も頭も」
理人「顔は関係ないだろ」
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「君!声デカいね!応援団どう!?」
「え、俺!?」
「君の声、体育祭で必要!」
颯は胸を張る。
「任せろ!俺の声は校舎の端まで届く!」
翔太が呟く。
「いや、実際届いてるけどね」
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勧誘の波に揉まれながら、A組のメンバーがようやく合流した。
香奈「はぁ…疲れた…」
日向「私、今日だけで人生で一番話しかけられたかも」
雫華「桜の天ぷらの話、5人にした」
香奈「なんで広めてんの!」
そこへ、颯が叫んだ。
「おい!翔太が囲まれてる!」
見ると、翔太が10人くらいの先輩に囲まれていた。
「桐谷くん!うちの部に!」
「いや、うちに!」
翔太「ちょ、ちょっと待って…!」
日向が呟く。
「翔太くんも大変だね…」
香奈が笑う。
「まあ、イケメンの宿命だよ」
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「はいそこまでー!!」
大河内先生が廊下に響く声で叫んだ。
「新入生を囲むな!怖がってるだろ!」
翔太「助かった…」
先生は腕を組んで言う。
「部活は逃げない!ゆっくり選べ!」
颯が笑う。
「先生、今日一番かっこよかった」
---帰り道-------
優里がぽつりと言う。
「なんだか…高校って忙しいね」
香奈「いや、A組が忙しいだけだよ」
雫華「明日も桜の…」
みんな「えええ!?また!?もう桜の話はいいって!」
笑い声が夕焼けに響いた。
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