自己紹介という名の公開処刑!?
A組の教室。
新しい机の匂いと、緊張した空気が混ざる中、担任の大河内先生が胸を張って言った。
「よし!まずは自己紹介だ!青春は自己開示から始まる!」
(いや、そんな名言みたいに言われても…)
クラス全員が心の中でツッコんだ。
「じゃあ、出席番号1番、天野優里!」
優里は静かに立ち上がる。
姿勢が美しく、声も落ち着いている。
「天野優里です。読書が好きで、静かな場所が落ち着きます。高校では勉強も部活も頑張りたいです。よろしくお願いします」
完璧。
すでに“しっかり者”のオーラがにじみ出ている。
颯が小声で言う。
「なんか…大人っぽくね?」
日向が頷く。
「うん、絶対モテるタイプ」
優里は聞こえていないふりをした。
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「次、石川香奈!」
香奈は勢いよく立つ。
「石川香奈です!バスケやってます!全国大会も行きました!よろしく!」
颯が「おおー!」と拍手し、教室が一気に明るくなる。
日向がすかさずツッコミ。
「香奈、声デカいって」
「初日くらい元気でいさせてよ!」
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「次、井上日向!」
日向は髪をふわっと整えて立つ。
「井上日向です。ファッションとかメイクが好きです。仲良くしてくれたら嬉しいです」
男子の何人かが「かわ…」と呟いた。
香奈が小声で言う。
「ほら、もうモテてる」
「やめてよ〜初日からそういうの恥ずかしいんだけど」
(いや、絶対恥ずかしがってないやつだ…)
クラス全員が思った。
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「次、緒方雫華!」
教室がざわつく。
立ち上がった瞬間、全員が息を呑んだ。
(美人すぎる…!)
しかし雫華は、淡々とした声で言った。
「緒方雫華です。趣味は…えっと、料理?最近は桜の花びらをどう調理するか考えてます」
教室「え?」
香奈「まだ考えてたんかい!」
雫華は首をかしげる。
「え、だめ?」
男子たちは“美人なのに変”というギャップに混乱していた。
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「次、加賀はるか!」
はるかは立ち上がった瞬間、椅子の脚に足を引っかけた。
「わっ、あっ、すみません!えっと、加賀はるかです!成績はいい方…だと思います!よろしくお願いします!」
雫華が小声で言う。
「はるか、落ち着いて」
「うん…ありがとう…」
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「次、桐谷翔太!」
翔太が立つと、女子の空気が変わった。
「桐谷翔太です。勉強もスポーツも好きです。よろしくお願いします」
(声まで爽やかってどういうこと…)
女子の心の声が揃う。
日向が香奈に囁く。
「イケメンすぎない?」
「うん、なんか腹立つレベルで完璧」
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「次、佐伯健斗!」
健斗は英語の参考書を持ったまま立つ。
「Hi, everyone. My name is Kento Saeki. I lived in the U.S. for five years. 英語は得意です。数学は…無理です」
颯が笑う。
「潔いな!」
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「次、篠原理人」
理人は眼鏡を押し上げて立つ。
「篠原理人です。理系科目が好きです。よろしくお願いします」
シンプル。
しかし女子の何人かがひそひそ。
「え、顔よくない?」
「眼鏡の下がイケメンって反則」
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「最後、藤堂颯!」
颯は勢いよく立ち上がる。
「藤堂颯です!みんなで楽しいクラスにしようぜ!以上!」
大河内先生が笑う。
「短いな!」
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自己紹介が終わり、昼休み。
香奈が弁当を広げながら言う。
「いやー、個性強すぎでしょA組」
日向が頷く。
「うん、翔太くんと理人くん、女子の視線すごかったね」
「お前もな」
雫華は弁当箱を開けながら言う。
「今日のお弁当、桜の塩漬け入れてみた」
「桜から離れろ!」
香奈が即ツッコミ。
はるかは笑いながらお茶をこぼした。
「わっ、またやった!」
「はるか、今日だけで3回目だよ」
「うぅ…」
一方男子側。
颯「翔太、女子に囲まれてたな」
翔太「いや、別に…」
健斗「I mean, you ARE good-looking, man」
翔太「英語で褒めるのやめて」
理人は静かに弁当を食べているが、女子が遠くから見ているのに気づいて固まった。
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優里がぽつりと言った。
「なんだか…本当ににぎやかな一年になりそう」
香奈「いや、もう今日だけで十分にぎやかだよ」
雫華「明日は桜の…」
「もう桜の話はいいって!」
笑い声が教室に広がる。
こうして、A組の“伝説の一年”は本格的に幕を開けた。
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