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7話

都市カリエマにて異世界4度目の春を迎える。


----------


 そろそろ次の土地へ移る時期がやってきた。

とは言え、未だに杏子の消息は掴めない。酒場に貼らせて貰った尋ね人の張り紙にも、心当たりのある人は現れなかった。


 コーンの方は順調とはいい難いが、ここに来た頃より、お互いに成長したと思う。

コンドビア隊長には全く敵わないが…

 

「コーン、そろそろ俺は行こうと思う。」

「おう、じゃあ次は何処がいい?今の俺達ならウィコンティやウィゾクウでもいい線イケると思うぜ。」

 今挙げた二つは、どちらも難易度の高いダンジョンだ。

 

「いや、ウィバリムに行ってくるつもりだ。お前はやる事が残ってるだろ?」

「バカヤロウ、相棒を放っておく様な真似はしねぇよ。」

 コーンの友情が重い。

 

 ウィバリムは、ここより北にある中難度のダンジョンで、俺一人でもいい所までは行けると思う。

始めたのは二人だけど、元々は俺の問題だ。


 コーンの人生をいつまでも俺の為に使う訳に行かないだろう。

ここまで支えてくれただけでも、十分感謝している。


「そうだな、もう少し考えてみよう。」

「おう、そうだぞ。遠慮なんていらねぇんだ。」

 口ではそう言いながらも、近いうちに悟られずに旅立つ事を決めた。

 

----------


 あれから密かに用意を進め、ウィバリムへ行く足を確保するまでに一週間掛かった。

ウィバリムへは定期馬車が通ってない為、商人の馬車に護衛を兼ねて乗せて貰う。荷物を纏め、半年程で戻ると書き置きを残す。


 まだ薄暗い中、隊舎を抜け出し門で商人を待つ。

明るくなった頃、約束の商人と落ち合い馬車に乗り込む。


 複雑な気持ちを写し出すかのように、空に大きな雨雲がさした。


 馬車を走らせた直後、カリエマの見張り塔の鐘が鳴り響く。

鐘は鳴らす回数と間で意味を知らせる。



 あれは緊急事態の知らせだ。


 商人には巻き込まれないよう、そのまま出ろと促し、自分の荷物を放り投げ、馬車から飛び出す。

 

 何が起こったのか分からないが、急がなければと、気持ちが焦って、足がもつれる。

 

 息を切らして隊舎に辿り着いた時には、防衛隊の面々が続々と飛び出していた。

 

「おいコーヘーこっちだ!お前何処行ってたんだよ。」

「ハァハァ…ちょっと散歩にな。それで何があった?」

 コーンも未だにはっきりと情報を掴んでいなかった。

南門に招集が掛かったと、分かったのはそれだけだった。


「急ごう。」

「そりゃ俺のセリフだ。」

 慌てて避難する住民の流れに逆らい南門に向かう。

 

 コンドビア隊長を見つけ、状況を確認する。


「魔物の大量発生だ。一般人のお前らに戦闘の許可は出来ん。」

「手伝える事は?」

「住民の避難誘導を。街中に魔物が入るかもしれん、その時俺は見てないぞ。」

「それで十分。」

 手短に言葉を交わし、お互い成すべき事に取り掛かる。

 

 避難場所は神殿という事なので、そちらに人が流れるよう案内する。

人の流れが疎らになった頃、取り残された人が居ないか捜索に移る。


「コーンはあっち、俺はこっち、手分けして捜そう。」

「あいよ、ちゃんと戻ってこいよ。必ずだぞ。」

 今朝の事は気付かれていたようだ。

後できちんと謝ろう。


----------


 やっぱり魔物が中に入り込んでいた。

猪っぽい定番のやつだ。


 大通りを勢い良く突撃してくるのを、路地を使い躱して行く。

あの突進は未だに受け切る自信がない。


 魔物がターンして勢いの死んだ所に斬りかかり、一撃で頭と胴を切り離す。

 

 もう義手も軽い剣も、十分に馴染んで自分の物にしていた。

 

 振り返れば更にもう一匹が、こちらに目掛けて突っ込んで来る。

また路地に…と思ったが、大丈夫そうだ。


「私にお任せを。」

どっせーいという掛け声で、突進を完全に受け止めた。


 更に首をホールド!

 

 そこからぁ持ち上げるぅ!


 そしてぇ後方にぃ!

 

 決まったぁ~ジャーマンンンンスープレックスゥ!

 

 そんな実況が思い浮かんでしまうほどの迫力だった。

筋肉さんも、避難誘導に参加していたようだ。


 魔物は痙攣していたので、トドメは刺しておいた。



 筋肉さんとも別れ、それぞれ住民を捜索し、最終的には南門で合流となった。

隊員がまだ戦闘を繰り広げていたが、隊長を中心に殲滅が終盤に達しようとしていた。


「出番はねぇな、こりゃ。」

「あの隊長が居ればこうなるよな。」

 俺達は負傷した隊員の搬送を手伝う事にした。

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