28話
時代を重ね固まるのは。
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「パパ、お尻が4つに割れちゃう~」
「どれどれ見せてみな。」
コーンの真似をする苺の愛らしいお尻に手を伸ばすと、パパのスケべと頭をポカポカと叩かれた。
今はカリエマに向かう商人の馬車に揺られている。
行動した理由は3つ。
1つはセイ達があまりにも遅い。
何かのトラブルで、足止めされている可能性がある。
もう暫く待つ選択肢は、雪の到来で今を逃せば春まで動けなくなる為選べなかった。
2つ目はウィバリムには繭が無かった。
元々ウィバリムへは繭を探しに来たのだから、これ以上滞在する意味はない。
3つ目は繭がある、もしくは魔族が関わっている可能性が高いダンジョンが判明した。
バリムに聞かされた、ゾクウの伝言がそれだ。
そしてカリエマに向かう理由は、セイ達にそれを知らせに合流する為だ。
街道は一本道だ。
仮にセイ達がカリエマを立っていても、すれ違うのは確実。対向する馬車にさえ気をつけていれば、入れ違いになる事はないはずだ。
「相変わらず、ここの防壁は立派だな。」
カリエマの防壁。これはバリムから由来を聞いていた。
ダンジョンの魔物が溢れ、それまであったダンジョンを囲む村々は壊滅状態となり、小さな農村だったカリエマに人々は身を寄せた。
戦える者は戦い、そうでない者は村を守る壁を造り村を守った。
それがこの防壁の由来だ。
尤も、当時にこれだけ立派な防壁を造ったのではなく、何度も改修を重ね、徐々に広く、徐々に高く、そして強固に今の形になったのだと。後にコンドビア隊長に教えて貰う事になる。
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街に入り商人と別れ、セイ達の居場所を探す。
すれ違う馬車は全て確認していたが、セイ達の姿は確認できなかった。
向かった先は、先生に紹介された鍛冶屋。
セイ達のカリエマでの用事はそこしかない。そこから辿ろう。
メモしてあった住所にあった鍛冶屋は、俺の知っている場所だった。
「君は確か…、コーヘーさん。やあ久しぶり。義手の調整かい?」
「やあガンス。義手はもう…ほら。」
左手を見せて、治癒の奇跡の事を話すと驚いて、ちょっと複雑な表情をしていた。
治癒の奇跡はガンスの商売敵だからな。
「バーンって人に会いに来たんだが…分かるか?」
「あぁ…、うちの爺ちゃんだ。…ちょっと待って。」
地図を書いてもらい、ちょっと偏屈だから気をつけてと見送られる。
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着いた先は小さな一軒家。
戸を叩くが、出て来る気配はない。
家の裏の方で叩く音が聞こえるので、不在ではないと思う。
ちょっと失礼して裏に回った。
裏には一面開放された作業小屋が備わっていて、一人の老人が真剣な表情で赤熱した鉄を取り出し、力強く槌を振るう。
「バーンさん!セイ…勇者がここに来ませんでしたか?」
「…………」
知らん顔である。
「先生の紹介なんですが!」
「…………」
手であっち行けとポーズを取られる。
これは取り付く島もない。
「あのお爺ちゃん怖いね。」
苺が怯えて俺の背中に隠れる。
俺もこういうタイプは苦手だ。
それでもセイの消息を辿る手掛かりである以上、諦める訳にもいかない。
一度ガンスの所へ戻って、助言を貰いに行く。
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「えぇ、勇者様の知り合いなのかい?」
勇者の威を借るアラフォー冒険者である。
使えるものは使おう。
「そういう事なら僕からも言ってみるよ。」
…使えるものは使おう!
人に頼ってばかりだな俺は。
「爺ちゃん、お客さんだよ。勇者様の知り合いだって。」
「知っとる。」
じゃあ教えてよ、爺ちゃん。
孫とはきちんと話しをしてくれるんだな。孫パワーは凄い。
渋々といった表情で、木の棒を取り出し俺に突き出す。
「振ってみせろ。」
これは俺が試されているパターンだ。
大人げないけど、フンッと全力の上段を見せる。
「まあまあか。」
なんか負けた気分だ。
次に取り出してきたのは一振りの剣。いや刀か?
片刃の湾曲した刃でシミターとか、カトラスとかいう類の物だと思う。
両刃の剣が主流だけど、こう言った物も稀に冒険者が使っているのを見た。
実際に持つのは初めてだから、使いこなすのは難しそうだ。
二度、三度、振らされては調整を繰り返すと、手に馴染むような仕上がりになり、爺ちゃんを見直した。
「これの代金は…?」
「いらん。ゲインに貰っとる。」
先生ありがとう。
手持ちがそれほど無かった俺は、内心とても冷や冷やしてた。
「預かりもんだ。」
バーン爺ちゃんが渡してくれたのはメモ。
「ウィアクティオンに魔族。」
開いてみれば、セイからの伝言だ。
西にあるウィアクティオンにコーン達と共に向かったと。




