29話
巡り巡る。
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12月、白く染まったカリエマ。
俺と苺は雪に足止めされ、ウィアクティオンへは向かえなかった。
防衛隊の隊舎で世話になり、苺と共に採取依頼等を受けながら、春の訪れを待つ。
「パパこれ~?」
「それは毒草だよ。葉っぱが違うんだ。」
いつかの俺とコーンと同じやり取りで、苺に森の事を教えていた。
雪に埋もれた僅かに残った薬草を探し、苺は鼻を真っ赤にしながら魔法の炎を弱火で出して手を温める。
魔法に関しては、恐らくもっと色々な使い方があると思うけど、俺自身が使えない為、応用の発想を思い浮かべにくい。
苺には読み書き計算程度の事は教えているけど、科学的な知識など俺も大して無い為、基本的な事のみだ。
苺の頬の傷は、すっかり痕を残さず綺麗になった。
あの医者に会うのを忘れていたので、何者なのかは不明のままだ。
防衛隊員が怪我をした時に、いい薬があるからと残っていた塗り薬を渡して見せると、ありがとうと言いつつも、妙な顔をされた。
「そろそろ晩飯の確保をしないとな。」
「野菜も食べようね?」
そうだね、と頭を少しだけ乱暴に撫でてやり、獲物を探す為に森へ分け入る。
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「いた、苺はそこでジッとしててくれ。」
見つけたのは、一匹の野うさぎと、それを狙う2匹の狼っぽい魔物。
物凄い既視感があるな。
手近に投げる物が雪しかなかったので、諦めて走り込む。
刀を引き抜き一閃。魔物の胴が二つに割かれ、純白の景色に真っ赤な血しぶきが舞う。
返す刀は、もう一匹の眉間に当り、そのまま顔の上部が削がれ息絶えた。
バーンさんに頂いた刀も好調だ。
この斬れる感じは、今まで使っていた剣では味わえなかった。
「うさぎは探さなくてもいいよな。」
苺も魔物の肉には慣れてきたし、旗はぶち折ってやろうと思う。
「あっ、ユッキーだ!」
そうか、娘よ…
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(ちょっと!私を無視して帰ろうとしたでしょ!)
「してないよ。」
仕留めた魔物を引きずって苺に帰るぞと呼びかけたが、これが一緒に着いてきた。
(ちびっこ達はどうしたのよ?また遊んであげてもいいのよ!)
遊ばれて。の間違いだとは指摘しない。
大人な対応をしなければ。子育てを経験中の俺は分かってる。
「今は訳あって一緒にはいない。向いたいけど雪で動けなくてな。」
(そういう事なら助けてあげてもいいのよ!)
こんな風に、とユッキーはフワフワすると積もった雪が割れて地面が顔を出した。
ユッキー、ポンコツじゃなかったんだな。
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(人間は不便ね!こんな物がないと、行きたい所にも行けないなんて!)
「そういうお前は雪次第だろ。」
精霊はどこにだっていつでも居るんだから。なんて言う。
どこにでも居たら、珍しくもなくなってしまう。
手早く身支度を済ませた俺達は、防衛隊の馬車を借りて西の街道を走っている。
苺がユッキーに光を当て、キラキラさせて遊んぶ。
(あぁ~いいわ!最高よ!これよこれ!)
苺に喜んでるからもっとやってあげてくれ。と頼むと、苺がうーんと唸ると、やりすぎな程に眩しくなった。
(もうお腹いっぱい。食べきれな~い!)
フラフラと俺の頭に乗っかるとポテッと倒れ込んだ。
「魔法を食べるのか?」
(魔素よ!魔法なんか食べられないわ!)
精霊の食べ物は魔素なのか。
そういえばと思い出し、加護の事と木の精霊に会った事を話す。
(人間は多すぎるの!だから混じらないように繋ぐのよ!)
加護は飼い犬のリードか…
飼われた覚えは全くないし、なんの説明もされていなかった。
(それに貴方にもいい事あったじゃない!)
「何の事だ?」
苺の頬が綺麗に治ったのは、木の精霊の加護のお陰だったらしい。
ユッキーの加護のお陰ではない。
思い返せば、崖で痛めた足首を治療してくれたのは木の精霊だ。
木の精霊には感謝しないといけないな。
「そう言えば…傷の事なんで知ってるんだ?」
(だーかーらー!私達はどこにだっていつでも居るのよ!お見通しなのよ!)
冗談じゃなかったらしい。
この世界、お天道様が見ているを地で行くのか。精霊だけど。
(この辺りまでね!ここから先は自分でどうにかしなさい!)
「ありがとう、助かったよ。」
「バイバイ!ユッキー、またね~!」
ユッキーは苺光線をたっぷり浴び、キラキラしながら去っていった。
雪はもう殆ど積もっていない。
ドエル村やカエリマは山脈の近くだから雪や雨が降りやすい土地かもしれないな。
後半月程は掛かるはずだ。
ウィアクティオンのセイ達は無事だろうか?




