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18話

別れがあれば出会いもある。


----------


「もどったぞ~!」

 元気に戸を開け再会を喜ぶのはコーン。

実に3ヶ月半ぶりに顔を合わせる家族の面々。


 以前のようにドワーフよろしく髭を拵(こしら)えてないため、見た目はそれほど分かってない。


「くさい…」

 抱かれてウリウリとされるトルンが迷惑そうに言う。

 

 苦笑いのアイシスさんが、風呂の用意をしてくれて、オッサン3人はそのまま奥に通される。

 

 さっぱりした後、苺は何事もなかったかのようにトルン達と遊んでいた。

聞けば少し前に目覚めたそうだ。


「パパ!もう二度とあんな所連れてかないでね!」

 ほっぺたを膨らませながら可愛く怒ってた。


 あんな所というのはダンジョンではなく、自由落下の方だろう。

俺もあんなの二度と体験したくない。


 魔素が溢れ出した時の事は、あまり覚えてないようだ。

魔族を見てたらトラウマになりかねないので、気を失っていたのは不幸中の幸いかも知れない。


「それで私達はコーヘーさん達と一緒に行くんですね。」

「ああ、済まないねジュレ。必ず迎えに行くから。」

「私はセイを信じてます。」

 咳払いしたくなるような、熱々っぷりが目に毒だ。

ジュレさんからしてみれば、ようやくの想いが実った訳だし大目に見よう。


 実のところ、余り悠長にしていられない。

もう時期は秋。9月に入ろうという頃。


 この辺りは雪が少ないようだが、カリエマやドエル村は雪が積もる。

カリエマまでふた月。ドエルまではそこからひと月。


 ドエルに着くのは12月。途中で降られるのは確定だ。

慌てて身支度を済ませ出発しないと、子供を3人も携え雪中行軍する羽目になる。


 ウィゾクウを出る際、セイには杏子の事も忘れずに頼むと念を押す。

分かってるよ。と中年になっても爽やかな笑顔で返された。


 さあ、まずはカリエマだ。

オッサン2人とおば…お嬢さん2人と、子供3人の長旅だ。


----------




「誕生日おめでとう、苺。」


「「「おめでとう!」」」


「ありがとうっ」




 9月2日。苺の7歳の誕生日だ。

この世界に誕生日を祝う風習はないが、コーン達はすでに馴染みの行事として受け入れている。


 馬車の中という事もあり、あまり祝いの席らしい事もしてやれないが、気持ちだけは伝えなければ。


----------


「パパ見て~」

 カゴに入れた紙吹雪を、盛大に掴んでばら撒く。

落ちてきた紙吹雪を、魔法で風を起こし舞い上げる。


 一人エンドレス紙吹雪でカイとトルンは大喜びだ。

ジュレさんのスカートも舞い上がって俺も心の中で大喜びだ。


 苺は魔素を消費する為、魔法を毎日使うようにさせている。

用途の大半は遊びの中で、子供の発想力は時々驚かさせられる。


 休憩地での食事が馬車旅唯一の楽しみで、収穫が終わったばかりの農村では美味しいものが頂けた。


「やっとカリエマだ。」

「見えるとホッとしますね。」

 アイシスさんは、カリエマから出る事なく育ったらしい。

今回の長旅は中々堪えるものもあっただろう。


----------


「おぉ~トルンや。元気だったか。」

 目尻がどこまでも下がっていくのは、コンドビア隊長。

普段の威厳はどこへやら。今は微塵も見られない。


 すぐに経つと告げると、トルンは置いていけと煩かった。

アイシスさんがそんな事はしませんと、隊長に食って掛かり、ちょっと涙目で可哀想になる。


 防壁の外では防衛隊が訓練中で、気づいた彼らに別れの言葉を掛けられた。

コーンへの恨みの言葉も混じってた気がしたが…


 雪は薄っすら降り始め。

予定より雪が遅れてくれて助かった。


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「今日は俺の番だな。」

「パパ気をつけてね!」

 夕暮れ時になると、俺とコーンの片方が森の狩りを行う。

見送ってくれる苺に手を振って、薄雪化粧の森に駆け出す。


「さて、今日の晩御飯は何が居るかな…」

 森を少し進んだ所で、野うさぎを見つけたのだが、先客が居た。

 

「グルルルゥ。」

 狼っぽい魔物が2匹。

しかし俺も野うさぎ(晩御飯)を獲られる訳には行かない。


 足元にあった小石を顔に投げつけ、怯んだ一瞬で駆け寄り蹴り上げ、ひっくり返った所を踏みつける。

 

 もう一匹に斬り掛かろうとした所で逃げていった。

 

 踏みつけられ暴れる魔物にトドメを刺して、辺りを見渡す。

 

 

「うさぎはどこ行ったかな…」

 やっちまったと反省しながらうさぎを探す。


 足跡を辿って見つけたのは、うさぎと戯れるようにフワフワと浮かぶ半透明の何かだった。

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