16話
合体には夢がある。
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「コーヘー下がるんだ。アレはマズい。」
セイが俺達の前に出て、庇うように促す。
抱きかかえた苺は、ぐったりと気を失っている。
生きている様には見えるが、俺は気が気じゃない。
セイの背中の隙間から見える、黒いモヤを纏った何かがゆったりと立ち上がり
突如、耳にした者の身が裂けるような咆哮を上げた。
「お、おい、ありゃなんなんだよ…」
コーンが恐怖を心の奥に押し込め武器を構えるが、その手はカタカタと震えている。
「あれが本来僕が相手にするべき、世界の敵。…魔族さ。」
戦う意思を明確に込め、言葉を吐き出した後、白ローブから受け取ったばかりの剣を引き抜く。
「うわっ、これはなんだ。…気持ち悪い。」
鞘から抜かれたそれは刀身が七色に輝き、呪いの様にブツブツと呟く声が漏れている。
最高の剣じゃなく、サイコの剣だこれ。
白ローブを見れば満足気で、どうだい面白いだろう?と言わんばかりの表情だ。
随分と余裕じゃないか。セイの緊張感が台無しだ。
セイが無言で鞘に戻し、ここに来るまでに使っていた剣を構える。
セイの背中がどことなく気落ちしているように見えた。
「コーヘー、君たちは今すぐ逃げるんだ。アレは僕でも勝てるか分からない。」
「バカいってんじゃねぇよ。俺達仲間だろ!なぁ?」
コーンが俺にやるぞと意気込む。ああそうだ、セイも揃って全員無事に帰るんだ。
未だ意識を失ったままの苺を壁に凭れさせ、魔族に意識を集中する。
アレを倒さなければ、苺の無事も保証出来ない。ならやることは一つだ。
「やろう。」
「おうよ!」
「全く君たちは…、頼りになる仲間だよ。」
慣れたやりとりを交わし、セイとの連携出来る位置取りを決める。
「グルルルルロルロオオオオオ」
叫びなのか、言葉なのか、魔族が口を開く。
そして違和感。なんだ?
「ハッ!」
セイが斬り掛かり、戦いの火蓋を切る。
セイに続き、俺もコーンも剣を振るうも、弾かれる一方だ。
魔族の一撃は鋭く、躱しはずの左手を掠める。
ガコンという音と共に、拉げた義手が手首から外れ壁に打ち付けられた。
「グルルロルルロオオロ」
まただ、この違和感はなんだ。
戦いに集中しないといけないのは分かるが、何かが気になる。
「ゴハァ。」
コーンが魔族の一撃を喰らい悶絶。
今までの魔物なんか目じゃない。違和感になど構っている場合じゃない。
「グルルルオオルロロルウロ『こうるさいひとぞくめ』」
なんだと…?今確かに聞こえた。
魔族の話す言葉が。
「セイ!今の聞こえたか?」
「なん、だい?、話す、余裕は、無いよ。」
「こうるさいひとぞくめって。そう聞こえたんだ。」
セイは何を言っているのか分からないようだった。
そして部屋の隅で、沈黙を保っていた白ローブが口を挟む。
「面白いな君。君は本当に人かな?」
何言ってんだこいつ。
「ガルルオオルロオウオオロ『あのこどもはどこだ』」
子供ってなんだ。苺か?こいつ、苺を探しているのか?
「もううるさいな、面倒だけど終わらせよう。」
「ゴーちゃん!レムちゃん!」
いきなり白ローブの雰囲気が変わったぞ。
天井と床からゾゾゾと特大の上半身と下半身が現れる。
そのフォルムはゴーレムというよりは、超合金合体ロボのそれだった。
白ローブは下半身に飛び乗ると、上半身がその上に伸し掛かり、上下半身が合体。
えっ?潰れたぞ、今。
「ゴオオオオオオオオ!」
巨大な超合金ゴーレムは、唸ると拳を一振り。
轟音と共に巻き起こった風圧で、俺達は壁に叩きつけられた。




