↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/44

15話

穴だらけ。


----------


 セイを先頭に開けた空間に足を踏み入れた俺達は、目の前の状態にどう対処していいのか分からなかった。

 

「セイ?これはどういう事だ?」

「僕も実際は初めてだからね、分からない事はあるさ。」

 空間の先には、ウィコンティで見た台座と台座に座る球体。

そして、その後ろには白いフード付きのローブを身に纏った人物が立っていた。


「おめでとう!」

 二度目のおめでとうである。もう少し説明をしてほしい。

 

「おめでとうとは、どういう事だろう?」

「お祝いの言葉だね。」

 そうですね。この白ローブのコミュ障どうにかしてくれ。

 

「貴方はここのマスターですかね?」

「そうだよ。」

 納得したかのようにセイが下がる。

 

「ここのマスターが健在なら、僕の任務は完了だ。引き上げてもいいよ。見た感じ、繭も無さそうだしね。」

「そうか、じゃあ帰るか。」


「待ち給え君達!」

「私はここに派遣された勇者ですが、マスターの確認が取れたので失礼しますよ。」

 セイが強引に引き上げようとする。

 

「待ち給え!」

「到達者には望むものを与えるルールなの。」

 ムッ、それは聞き捨てならない。

 

「望むものの制限は?」

「それぞれに価値ある物を一つ。私の叶えられる範囲のみ。」

 大きく出たな。杏子の居場所。

いや、杏子を直接救って俺の元へというのは有りなのだろうか。


 …駄目元で聞くべきだろう。


「では私は、最高の剣を一振り。」

「俺は家族を…親友を守れる強さをくれ。」

「俺は、杏子を俺の元に連れてきてくれ。」


「剣は与える。力は無理。杏子って?」


 白ローブが箱からごそごそと剣を取り出し、ハイこれね、とセイに手渡す。

コーンは次の物をムムムと悩んでる。


「杏子は俺の妻だ。この世界の何処かで救いを待ってるはずなんだ。」


「どこかって?まずは探しておいで。出来なきゃ別ので。」

 それが出来てれば苦労はない。


「出来れば物がいいね、ここから出たくないしさ。」

 この白ローブは、有能なのか無能なのか…

なんでも望みを叶えてやる。くらい太っ腹になってくれ。


「じゃあ聞きたい事がある。その答えが望みでいいか?」

「聞こうじゃないか。」


「ウィコンティのダンジョンの最深部、つまりあんたらの居るはずの所に黒い繭があった。その中に子供が居たんだが、心当たりはないか?」

「ないね。」


 くそ、手掛かりなしか。

 

「ところでコンティは?」

 コンティとはウィコンティのマスターだと。

その不在を伝え、幾つかのやりとりを行った末、繭の子供をここに連れてくるようにと。


「娘はまだ小さい、ダンジョンを連れ歩くのは無理だ。」

 大丈夫と白ローブが言うと、俺の足元の土がせり上がって俺を勢いよく持ち上げる。


「うおおおおおおおおお、おい天井おおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」

 天井に押し潰されるかと思ったが、天井に穴が空いてそのまま土の中を押し上げられる。

押し上げられながら、モグラになった気分を10分程味わうと地上に出た。




 斬新だ…

普通ワープゲートとか転移魔法陣だろ…


 これを苺に味合わせるのは酷な気がするな。

乗り物酔いのような感覚に襲われながら、苺を連れにセイの借家に向かった。


「パパ、どこに行くの?」

「苺に会いたいって人がいるんだよ。」

 …許せ娘よ。


 

----------

 

「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁ」

「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」





「ハァ…ハァ…」

「…パパ…私、生きてる?一体何これ…」

 お互い息も絶え絶えで最深部に到着した。

 

 登りより降りの方が、圧倒的な破壊力だ。

まさかのほぼ自由落下とは。


----------


 白ローブが苺をジロジロと観察し始める。

世が世ならば事案発生だと言っても過言では無いほどだ。うちの娘に何をするんだこいつは。


 観察の様子をじっと伺うも、終わる気配はない。

待っていると、苺の様子に異変が見えだした。


「苺どうした?」

「パパ、なんか変なの。体の中が変…なの…」


「白ローブお前、何をした!」

「したのは君の娘さ。ほら開いてしまった。」


「おい、ありゃあなんだ?」

 皆の視線の先には文字通り穴が浮かんでいた。

穴の先には赤黒いモヤがかかり、何かが穴の縁に手を掛けこちら側にズルりと抜け落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。