15話
穴だらけ。
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セイを先頭に開けた空間に足を踏み入れた俺達は、目の前の状態にどう対処していいのか分からなかった。
「セイ?これはどういう事だ?」
「僕も実際は初めてだからね、分からない事はあるさ。」
空間の先には、ウィコンティで見た台座と台座に座る球体。
そして、その後ろには白いフード付きのローブを身に纏った人物が立っていた。
「おめでとう!」
二度目のおめでとうである。もう少し説明をしてほしい。
「おめでとうとは、どういう事だろう?」
「お祝いの言葉だね。」
そうですね。この白ローブのコミュ障どうにかしてくれ。
「貴方はここのマスターですかね?」
「そうだよ。」
納得したかのようにセイが下がる。
「ここのマスターが健在なら、僕の任務は完了だ。引き上げてもいいよ。見た感じ、繭も無さそうだしね。」
「そうか、じゃあ帰るか。」
「待ち給え君達!」
「私はここに派遣された勇者ですが、マスターの確認が取れたので失礼しますよ。」
セイが強引に引き上げようとする。
「待ち給え!」
「到達者には望むものを与えるルールなの。」
ムッ、それは聞き捨てならない。
「望むものの制限は?」
「それぞれに価値ある物を一つ。私の叶えられる範囲のみ。」
大きく出たな。杏子の居場所。
いや、杏子を直接救って俺の元へというのは有りなのだろうか。
…駄目元で聞くべきだろう。
「では私は、最高の剣を一振り。」
「俺は家族を…親友を守れる強さをくれ。」
「俺は、杏子を俺の元に連れてきてくれ。」
「剣は与える。力は無理。杏子って?」
白ローブが箱からごそごそと剣を取り出し、ハイこれね、とセイに手渡す。
コーンは次の物をムムムと悩んでる。
「杏子は俺の妻だ。この世界の何処かで救いを待ってるはずなんだ。」
「どこかって?まずは探しておいで。出来なきゃ別ので。」
それが出来てれば苦労はない。
「出来れば物がいいね、ここから出たくないしさ。」
この白ローブは、有能なのか無能なのか…
なんでも望みを叶えてやる。くらい太っ腹になってくれ。
「じゃあ聞きたい事がある。その答えが望みでいいか?」
「聞こうじゃないか。」
「ウィコンティのダンジョンの最深部、つまりあんたらの居るはずの所に黒い繭があった。その中に子供が居たんだが、心当たりはないか?」
「ないね。」
くそ、手掛かりなしか。
「ところでコンティは?」
コンティとはウィコンティのマスターだと。
その不在を伝え、幾つかのやりとりを行った末、繭の子供をここに連れてくるようにと。
「娘はまだ小さい、ダンジョンを連れ歩くのは無理だ。」
大丈夫と白ローブが言うと、俺の足元の土がせり上がって俺を勢いよく持ち上げる。
「うおおおおおおおおお、おい天井おおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」
天井に押し潰されるかと思ったが、天井に穴が空いてそのまま土の中を押し上げられる。
押し上げられながら、モグラになった気分を10分程味わうと地上に出た。
斬新だ…
普通ワープゲートとか転移魔法陣だろ…
これを苺に味合わせるのは酷な気がするな。
乗り物酔いのような感覚に襲われながら、苺を連れにセイの借家に向かった。
「パパ、どこに行くの?」
「苺に会いたいって人がいるんだよ。」
…許せ娘よ。
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「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁ」
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」
「ハァ…ハァ…」
「…パパ…私、生きてる?一体何これ…」
お互い息も絶え絶えで最深部に到着した。
登りより降りの方が、圧倒的な破壊力だ。
まさかのほぼ自由落下とは。
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白ローブが苺をジロジロと観察し始める。
世が世ならば事案発生だと言っても過言では無いほどだ。うちの娘に何をするんだこいつは。
観察の様子をじっと伺うも、終わる気配はない。
待っていると、苺の様子に異変が見えだした。
「苺どうした?」
「パパ、なんか変なの。体の中が変…なの…」
「白ローブお前、何をした!」
「したのは君の娘さ。ほら開いてしまった。」
「おい、ありゃあなんだ?」
皆の視線の先には文字通り穴が浮かんでいた。
穴の先には赤黒いモヤがかかり、何かが穴の縁に手を掛けこちら側にズルりと抜け落ちた。




